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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十九章、三年の2学期です!
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まさかの結婚式(前編)

「久しぶりだな諸君!!!」


 ばーんとドアが開いて入ってきたのは……。

 顔を見てうんざりしてしまった。というか既視感が半端じゃない。

 もちろん入ってきたのは三郎だ。


「また来た……」

「お前が絡むとろくなことにならないのだが、今度は何をしに来た」

 百合がドンと机を叩き、最初から戦闘モードに入っている。


「まぁ前回色々あったからそのお詫びもかねてきたんだが……」

「さっさと目的を言え。回りくどい」


「じゃあ言おう。ボクが強志君と未来ちゃんの結婚式を開いてやろう!」


「え」

 思わずわたしの口から声が漏れてしまった。

「場所は帝国ホテル。300人席だ。費用は全部こちらが出す。親類縁者だけでなく、クラスメイトが全員入るほどの規模だ! 好きな女が違う男と結婚する……考えるだけでゾクゾクする」

「へ、変態!」

「というかまだ未来を諦めていなかったのか」

 百合が顔をしかめた。


「迷惑だ」

 あっさりと竜神が拒否してしまった。

「オレ達はオレの出来る範囲でやると決めている」

「だが、そうすれば早くて五年後になるだろう。その時君の隣に未来ちゃんが居ると確信できているのか?」


「う」

 いや、う、じゃないよ強志!


「いるに決まってるだろ! 変なこと言うな! 百合の言う通り、三郎がいるとろくな事にならないんだからさっさと出て行けよ!」

 立ち上がってドアを指さした。


「えーもったいなーい!」

 琴音が声を上げた。

「お金全部出してくれるんでしょ? ならやっちゃえばいいのに。アタシ、ミキミキのウェディングドレス姿見たいよー!」

「私もピアノひいてあげる! あまーいウエディングソング!」

 メイちゃんまでそういい出す。


「そうだ。祝儀も必要は無い。君たちは身一つで来てくれればいいんだ」

 三郎がふふん、と息をつく。

「えー、じゃあ私も行きたい!」「お、俺も日向さんのドレス姿見てみたい……」「おれもおれも」「はーい、先生も見てみたいですー」


 今は朝のホームルーム中だった。担任の柊先生まで手を挙げている。


「じゃあ決定ということでいいかな。未来ちゃんと竜神君は次の日曜日に迎えに行くから準備しててくれ」


 ぱしん、とドアが閉められる。

 相変わらず嵐みたいな奴だなぁ。

「どうする? 強志」

「オレははんた――「絶対やって! 見に行くから!」「やった方がいいって!」「ただで未来ちゃんのウエディングドレスがみれるんだぜ!」


 反対意見を出そうとした強志に、次々とクラスメイトが押し寄せてくる。

「未来のウエディングドレス姿か……」

 強志の態度が軟化した。

「そうだな、やってみるか。それでいいか? 未来」

「うん!!」

 ウェディングドレスはともかく、結婚式をして名実ともに強志がわたしのお婿さんだと見せつけるんだ! 


――――☆


 冷泉家の車で送られた先は帝国ホテルだった。

 と、言えども結婚式のプランを考えるのは結構大変だった。

 結婚式場となった帝国ホテルに出向き、スタンダードなプランを選んでいく。

 メイちゃんの演奏や、琴音たちも歌いたい!と言ってきた。それからバンド部も、ギャル軍団も。

「時間は少し長めに取って置くか」と強志がゲストの時間を延ばす。


 続いて結婚式のコース料理から試食をする。


「これが結婚式当日のお客様にお出しする料理となっております」

「んー! 美味しい!」

 この前食べたディナーも美味しかったし、料理には何の不満もない。

「あぁ、美味いな」

「デザートも美味しい! みんな喜んでくれそう!」


 ウエディングドレス選びには美穂子と百合も協力してくれた。


「未来は胸があるからマーメイドラインでもよさそうだな」

「駄目だよ百合ちゃん! 未来なんだよ、プリンセスラインが一番だよ! 頭にティアラ乗せて、童話の中に出てくるお姫様みたいになるのがいいよ」


「あぁ……確かにそうかもな。その姿で強志との結婚式をさせるのは腹が立つが」

「なんで怒るの? 結婚式は花嫁さんが主役なんだよ? 未来には一番綺麗な姿で出席して欲しいでしょ?」


 などといいながら、美穂子はプリンセスラインのドレスを選びまくってる。


「あ、これ可愛い!」

 ひときわゴージャスなドレスで美穂子の手が止まった。


「これを試着して!」

「う、うん」

 試着室も広いなー。俺の部屋ぐらいありそう。

 変なとこを感心しつつ、美穂子一押しのドレスをプランナーさんの手を借りて試着する


「わぁ……」

 試着室の中で感動の声を上げてしまった。

 ほんとに童話に出てくるお姫様にでもなったような錯覚に陥ってしまった。


「とてもお似合いです! 花嫁様にはどれもお似合いですけど素晴らしく着こなしていらっしゃいます!」


 プランナーさんもうっとりと褒めてくれた。


「美穂子、百合、どうかな?」


 試着室から出て二人にも聞くと、


「きゃああ、やっぱりかわいい、完全にお姫様!」

「この姿で竜神の横に立つのは多少問題があると思うがな。脅され売られた嫁にしか思えん」

「そんなはずないだろ!」


 自分で鏡の前に立ってターンしてみる。


 うん、自分で言うのなんだけど、可愛い……かも。

 強志はどんな恰好してるのかな? あっちは達樹と虎太郎だけじゃなく、クリスマスの時コーディネートしてくれた音無連さんと音無麗さんが選んでくれてる。


「未来ちゃん、ドレスは決まった!?」

 バンと音を開けて音無さん兄弟が入ってきた。

 メイクのプロとヘアアレンジのプロだ。俺達のお祝いにと社長である巴さんから手配してくれたのだ。

「あら、可愛いじゃない。未来ちゃんのセンスにしては上出来。

「選んでくれたのが美穂子だったからです」

「なるほど。未来ちゃん、顔はいいけどセンスがないからお友達に選んでもらったのは正解よ。うん、可愛いわ」

「結婚式の恰好を見せ合うのは当日のお楽しみにしましょ。それでいいわよね未来ちゃん」


「はい!」

 わたしは最後に前強志にもらった肘近くまである手袋をはめて、もう一度鏡の前でターンした。


「お色直しは何回するんだ? どうせ冷泉の金なんだ。五回ぐらいやっとくか?」

 百合が言う。

「そんなにしたら体力がもたないよ! 一回でいい」

「じゃあ何色にする? やっぱりピンクかなー、未来にぴったりの色だし。わ、これ素敵! 花が一杯あしらってる」

 はしゃぐ美穂子にまた更衣室に押し入れられてしまった。


「失礼します、お客様」

 プランナーさんがどっかいったなーと思っていたら壮年の女性と警備員を一人ともなって戻ってきた。


「はい?」

 ピンクのドレスというより、布で作られた花のドレスと言った方がいいようなドレスを着て俺が振り返る。


「もしよろしければ、お客様に当ウエディングのモデルになっていただけないかと……」

「え!?」

「ティアラもお持ちいたしました」


 移動式のケースの中にティアラが入っていた。ベルベットのクッションの上に置かれてる。

「こちら、有名デザイナー、モリイのティアラでございます。是非これをお付けになってください」

「モリイか。低く見積もっても一千万を下らんな」

 百合が唇の端を釣り上げた。

「ええええ! そんな高いもの、怖くてつけられません!」

「大丈夫です。お客様の容姿を引き立てるアイテムになるかと」

 あれ? 微妙に話がずれてない?


 あれよ、という間に、俺は厳重に保管されていたドレスやティアラをつけさせられてしまったのだった。

「総額三千万かな?」

「うーやめて百合……汚したら弁償もできない額になっちゃってる……!」

「でもさっきのドレスより素敵だよ! 未来にぴったり! ショルダージュエリーも綺麗……!」

「ああ」

 着心地も全然違って、俺はありがたくそのドレスを選ばせてもらったのであった。

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