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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十七章 とうとう三年生です!
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西郷さんが露骨に俺たちのグループに入ってこようとする(前編)

「ねーねー強志君ってどうして未来ちゃんと結婚したの?」

「好きだからに決まってるだろうが。それ以外に何かあるのかよ」

「政略結婚とかー」

「そんな身分じゃねえし」


 俺の後ろの席が竜神の席だ。窓際の一番後ろ。

 赤軍女子リレー敗退の原因となった西郷さんが竜神の机に半ば乗り上げて話してる。

「未来ちゃんはどうして結婚したの?」

 そ、そんなの、

 好きだからに決まって……。

 と言いたかったのに照れて言えなかった。


「つ、強志以上のいい男がこの世に居ないから」


「ふーん。じゃあさぁ、強志君以外のいい男が出てきたらそっちに乗り換えちゃうわけ?」

「出てくるわけないから乗り換えなんてあり得ない」

「じゃあ――」

 と続けようとした西郷さんを強志が押しのけた。

「あんま近寄るんじゃねえ。机に乗るな」

「えーいいじゃん」

 ちゃんと後ろを見ると、西郷さんはブラウスのボタンを3番目まで開いていた。

 ブラまでばっちり見えちゃったよ!

 見せブラとかじゃない、普通のブラ!

 ち、痴女だ……強志が狙われている……!

 どうすればいい? 俺も3番目まで開けてみる!? 達樹の言った通り胸の大きさなら負けてないし! 俺の方がおっきいし!


「駄目だ……できない……」

「どうした未来」

「何でもないのです……」

「またしょうもないこと考えただろ。オレがお前以外の女を好きになることなんかねぇから安心してろ。だから西郷も離れろ」

「えー、どうして? クラスメイトなんだからこの距離感で良くない?」

 よくない!


「おはよう未来、強志君……」

 虎太郎がぼーっとした顔で挨拶してきた。寝癖がついてるぞ。寝坊したんだなきっと。


「あ、おはよーコタローくーん!」

 今度は虎太郎に迫っていった。

「お早う……」

 挨拶だけ返すと露骨に突き出された胸を見ようともせずに机に突っ伏した。

「疲れてるみたいだな。大丈夫?」

「ん……昨日ちょっと撮影が長引いちゃって……」

「寝癖が付いちゃってるよ、かわいー」

 と、西郷さんがいきなり虎太郎の頭を撫でた。

「!?」

 虎太郎が飛び起きて椅子ごと下がる。

「西郷さん、居たんだ……」

「いたよー気付かなかったの? ひっどーい」

「おはようございます……?」

 達樹も入ってきて、西郷さんを見て不思議そうに言葉を止める。

「おはよー達樹君! 体育祭のリレー凄かったね! 愛華感動しちゃった!」

「あー、そっすか、ありがとうございます。つかブラ見えてますよ?」

 西郷さんは西郷愛華というらしい。


「えーどこ見てんの? エッチ―」

「いや、気にしないならそれでいいんすけどね。未来先輩、ご褒美ください」

「ご褒美?」

「赤軍を勝ちに導いたおれにご褒美。頭撫でてください」

 といって俺の前でお辞儀してきた。

「わかったわかった。よく頑張ったな、達樹」

 確かにあの勝利は達樹のお陰だったもんな。

「愛華も撫でてあげるー」

 達樹の背中に胸を思いっきり押し当てつつ、両手で撫でまわした。


「いや、西郷先輩はいいっすから」


 姿勢をそらして西郷さんを振り払う。


「何の用だ。そこの痴女」

 百合と美穂子が登校してきた。百合は竜神の隣の席だ。

 いきなり西郷さんに対して言葉の暴力を振るう。


「えー、愛華痴女じゃないしー。ねぇ、百合ちゃんたちって部活やってんだよね? アタシも入りたいなー」

「断る。パラゼ部はもう満員状態だ」

「一人ぐらいよくない? なにやってるかわかんないけど、愛華、一生懸命働くよ――?」

「いらん。うちの部は下着を見せつけてくるような下品な女はお断りだ」

「見せつけてないよー。これ以上ボタン閉めると胸が苦しいんだもん。美穂子ちゃんにはわかんないかもしれないけどぉー」

 なぜか矛先が美穂子に飛んで行った。まじでなぜ。


 美穂子だってそれなりに胸がある。そして西郷さんよりボンキュボンなのだ。

「んー、私にはわかんないなぁ。シャツのサイズ大きいの買った方が良くないかな? 変な人に狙われたら大変だし」

「ヤダ―お母さんみたいー。達樹君もそう思わない?」

 手を叩きながら笑う。


「思いませんよ。普通の忠告でしょ」

 あ、達樹が素で女の子相手に怒ってる! 珍しいな。


 ぽってりとした唇にゴテゴテにデコられた爪先を当てて、そうかなーと続けた。


「愛華、パラゼ部の皆と友達になりたいなー」

「お断りだ」


 百合って女の子好きなのにばっさりと切り捨ててる。

「おれも反対っすー。西郷先輩にはもっとふさわしい部がありますよ」


「ひどーい、ねぇコタロー君も一緒にお願いして」

 座った肩に胸を押し当てられ、また虎太郎が立ち上がる。

「悪いけど僕も反対だよ。ずっと6人でやってきてるし」

「仲良しなんだー。じゃあ愛華も仲良しになっちゃおっと」

 話が通じてないぞ。


「オレも反対だ。べたべたしてくる女は苦手だしな」

 強志がきっぱりと断る。

「えー、でも未来ちゃんも強志君にべたべたしてない? それはいいのぉ?」

「俺の妻だからな」

「そんな理由で? じゃあ愛華も強志君と結婚したーい」

 だ、駄目だ!


「いい加減にしろ! さっさと席に戻れ。ホームルームが始まるぞ!」

 ドン、と百合が机を叩いて言い放った。

「あ、やべ、おれも戻ります」達樹が走って二年の教室へと戻っていく。


 先生が入ってきてようやく西郷さんも席に戻ってくれた。

「はぁ……倍疲れた気分だよ……」

 ごと、と虎太郎が机に突っ伏す。

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