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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十六章 2学期に突入!
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未来の誕生日(婚約指輪)

パン、パンパンパン!


「うや!」

「先輩誕生日おめでとうございまーす!」


 お昼休みになってパラゼ部部室へ入った途端、達樹がクラッカーを鳴らして出迎えてくれた。 び、びっくりした!


「驚かすなよーでもありがとうな達樹」

「どうぞ、これ、プレゼントっす」


 おもちゃ屋のロゴが入った紙袋を押し付けてくる。

「わ、クッパの彼女だ!」

 俺の家にはクッパと名付けているカメの縫いぐるみがある。それの女の子バージョンだった。

「ありがとう! クッパに家族を作ってやりたかったから嬉しい!」

「私からはこれ」

 美穂子からのプレゼントは可愛い入浴剤だった。バカ面動物がたくさん書かれてる! こんなの初めて見た。超嬉しい!

「見た目は可愛いけど、お湯に溶かすと血のような真っ赤な赤に染まるの」

「ゃー!」

 なんだよそれホラーだ!

 思わず美穂子に押し返しそうになったんだけど、

「嘘だよ。中身は桜とかミントのバスバブルだから竜神君と一緒に使ってね」

「り、りゅうと!? それは無理! 恥ずかしくて死ぬもん! 一緒にお風呂なんて無理無理!」

「ふふふー」

 美穂子が意味深に笑う。


「私からのプレゼントはこれだ」

 百合が後ろから抱きしめてきて、俺の肩に腕を回して袋を差し出してきた。


 俺でも知ってる有名ブランドのショッパーには、リップが入っていた。色はピンク。


「唇が艶めくリップだ。お前は元が良すぎるからこのぐらいがちょうどいい」

「メイクかぁ……そうだよね、そろそろ勉強しないと……」


「ぼ、僕からは、これで……」

 虎太郎が差し出してきたのは缶入りのお菓子だった。

「このクッキーめっちゃ高いやつだろ! ひとりで貰うのもったいない、皆で食べようよ」

「でもそのネックレスより――」

 何か言おうとした達樹の口を虎太郎が封じる。


 あ、ところで、

「竜神からは!?」


 竜神は手ぶらだった。


「家に帰ってから渡す」

「また商品券じゃないでしょうね」

 達樹がにやりと竜神に言う。

「勉強したから商品券じゃねえよ」


 ケーキは夜食べるから、ということで、お昼にはなし。でも美穂子が小さなブラウニーを作ってくれてて、カーテンを引いて17と描かれた蝋燭を吹き消す。


「おめでとうございます!」

「おめでとー!」

「おめでとう」

「おめでとう」


 改めてお祝いの言葉とバースデーソングを歌われて嬉しくなってしまう。

 ブラウニーも、いつもよりちょっと豪華な美穂子のお弁当もめちゃくちゃ美味しかった。


――――


 家に帰ったら、まだ着替えてもないのに竜神がソファに座ってくれ、と言い出した。


 俺の真正面に座った竜神が神妙な顔をしている。

 眉根をよせて眉間にしわを寄せて、怖い顔がさらに怖くなっちゃってるぞ?


「どうしたんだよ改まって」

「――――これ」


 四角い箱が差し出された。それが指輪のケースだと認識するよりも早く、竜神がケースを開いた。


 中には控えめにダイヤが散りばめられた銀の指輪が入っていた。


「ゆびわ……?」


「婚約指輪。自分でバイトした金で買ったから、高いもんじゃないんだけど……受け取ってくれるか?」


「婚約指輪……?」


 だからあんなにバイトを入れてたんだ。

 ひゅっと息を呑むと、涙がボロボロ流れて来た。

「未来、嫌だったか? また贈り物外したか?」


 竜神が隣に座って、抱きしめてくれた。

「違うよ! 嬉しすぎて涙止まんない……!! 大好きだよ竜神……!!! 最高の誕生日になっちゃった!!」


「そうか……よかった」

 竜神がほっと息を吐いてわたしを抱きしめていた腕を緩めてくれた。


 竜神のシャツに涙のシミが広がるのがわかるのに、涙が全然止まらない。

 そんなわたしの左手を取って、薬指に指輪をはめてくれた。


「綺麗……」

 泣きながら笑ってしまう。

「未来」


 え?


 くい、と顎を上げられ、そのままキスをされた。

 初めての、唇へのキス。


「――――――!!」


 恥ずかしいけど嬉しいの方が大きい。


「オレも未来が大好きだ」

「うん……!」


 初めてのキスは涙の味だった。



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― 新着の感想 ―
[一言] そう言えば、強志、CDの印税で入った金を、なぜ婚約指輪のために使わなかったのでしょう? あんな「棚からぼた餅」のような金じゃなく、ちゃんと働いて稼いだ金で買いたかった?
感想一覧
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