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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十六章 2学期に突入!
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文化祭の打ち上げ

 文化祭は大成功だった!

 

 喫茶のお菓子も全部完売!

 打ち上げでみんなでカラオケ行って、そっちも大盛況。美穂子はともかく、竜神も虎太郎も歌上手いんだよな。

 俺も「歌って歌って」とマイクをわたされた。流れる曲は最近のアニメの曲。確かにこれ、歌えるけど。高音と低音の境目が難しいんだよな。

 でも歌い出すと楽しい!


 あっという間に三時間が終わって、会計をして外に出る。


「んー、今日はまっすぐ帰りたくない気分!!」

 テンションが上がった俺はカラオケ屋から出ると伸びをした。

「じゃあ飯でも食いに行くか。お前も疲れてるだろうからな」

「え! いいの?」

「あぁ。いつも作ってくれるしな。俺のおごりだ」

「それは駄目。ちゃんと家計費から出さないと」


「ファミレスか……しばらく行ってなかったな。私と冬月も同行する」

「冬月さんはともかく、お前が来るのか……」

 竜神がふぅ、と息を吐いた。と同時に百合にケツをけられる。


 ファミレスは意外にもすいていた。それでも待っている人はいたから、順番表に「りゅー」と書いた。


「おい、お前コタロー呼べよ。女もつれてこさせろ」

 どこかから大声が聞こえた。虎太郎? まさか…!

「そ、そんなの無理っすよ。虎太郎さんは明日も撮影があるから休ませておかないと、俺が怒られるし」

 やっぱり達樹だ。

達樹が話しているのは六人席の三席をひとりで使って背もたれに腕を乗せ、なんとテーブルに足を乗せた男だった。行儀が悪すぎるぞ。

 多分25歳以上なのは間違いないと思う。


「じゃあお前の時に歌ってた女どもを呼び出せ」

「あぁそりゃいいな。上物だったし」

 達樹を挟んで座っている男たちが下品な笑い声をあげた。


「お断りします。つか先輩ら彼女らに相手してもらえると思ってんすか? あんたとはレベルが違いますよ」

「なんだと?」

 キンと音がしたかと思うほど、達樹の視線が険しくなった。

「聞こえなかったのかよ。テメーらがレベル低いつってんだよ」


「てめえ……!」


 男がスマホをバン! とテーブルにたたきつけて、達樹の胸倉をつかんで引っ張った。

 そのまま殴ろうとするが、拳は竜神の手で阻まれていた。

 

「り、竜神先輩? な、なんでここにいるんですか?」

 一番驚いたのは達樹だ。

「は、離しやがれ!!」

 達樹を殴ろうとした男が、どうにか自分の手を引き出そうとしている。

 だが竜神の握力の前では自力で剝がすこともできないらしい。


「お前の交友関係の愚かさにはあきれたもんだ」

 百合がいやそうな顔で達樹に言う。

「ゆ、百合さんまで……す、すんません……」

 俺も竜神の陰に隠れるように立っていた。」

「いいから女どもはこっちにこいよ」

 隣のテーブルに座ってた、多分こいつらの仲間みたいなのが出てきた。

 百合に手を伸ばそうとしていた男の顎を、冬月さんが手の甲でスパンとたたく。

 男はそのまま床に転がった。


「な……気絶してるじゃねーか、責任をとれ!」

「なにが責任だ。手を出したのはそいつらが先だ」

「…うぐ……」

 百合の反論に、男は何も言えなくなってしまってる。


「あ、あの、お席にどうぞ、ご注文を伺いますので……」

 勇気あるスタッフさんが、声をかけてくれる。


「うるせー! ブスは引っ込んでろ!」

 金髪に髪を染めた男がスタッフさんを前蹴りしようとした!

 だが、隣にいた百合のハイキックで、股関節が曲がっちゃいけないぎりぎりまで曲がってしまってる。


「では、私たちの席まで案内してもらおうか」

 女性には優しい百合がふわりと笑った。


 俺たちに絡んできた男たちは総数は約十人。

 一番偉そうなボスの拳は竜神の掌のあざで真っ青になっていた。

 そして、店から出て行った。


「た、助けてくれてありがとうございます」

 俺たちと一緒の席に着いた達樹が頭を下げる。

「ダチを作るのはいいが、ああいう年下だけ集めてボス面してるやつにはかかわるな。同世代から相手をされてないってことだからな」

「……はい」


「や、やっと見つけた……」

 

 虎太郎がテーブルに腕をついてテーブルの横に座り込んでしまった。随分と息が荒い。


「こ、虎太郎さん? なんであんたまで」

「百合さんから僕のせいで達樹君がリンチされてるって連絡が入ったんだ……ファミレスってだけしか教えてくれなかったから片っ端から探すことになっちゃったよ。でも、竜神君がいてくれて良かった」


 最後にはーと息をついて、椅子に座った。


「ところで、なんで僕のせいで喧嘩に?」

「あー」

 達樹が目をそらす。言い訳を考えてるんだな。


「女を釣るためにお前を呼び出せと詰め寄られていたんだ」

 百合があっさりと暴露してしまった。


「そ、そうだったんだ……、何かあったらすぐ連絡してくれてよかったのに」

「いや、無理っすよ。顔に怪我でもしたら俺が社長にぶっ殺されますから」


 とろーり流れるチーズの入ったハンバーグの美味しいご飯をたべて、外に出ると。


「まってたぜ」

 柄の悪い連中が20人ぐらい居た!

「まじかよ……」

 達樹が顔を青くさせている。


「懲りないやつらだな。まぁいい、腹ごなしにするか」

 す、と百合がまず一歩でる。

 さすが鋼の百合! 度胸が段違いだ。

 止めようとする俺の頭に、竜神のジャケットがかけられた。

「見ないで後ろ向いてろ」

「う、うん…」

 と言われても気になってジャケットの下から喧嘩を見てしまった。


「ふざけんな……!」

 鉄パイプを持った男が百合にとびかかってきた!

 当たる前に竜神が鉄パイプを受け止めて相手の腕をひねり上げた。

 引き寄せられ、ほぼ倒れた男に百合が踵落としで地面に沈める。


「――」

 虎太郎は有無を言わせず、自分の言葉も何もなく、

 蹴り技で次々と相手の戦意を失わせている。空手をやってるだけあって、一撃必殺だ。


 同じ蹴りわざなのに、百合は 舞ってるみたいに綺麗だった。

 

「いい加減にしろよこの糞野郎が!」

 達樹は自分の頭から血が流れているのに、それに気づかないぐらい興奮して相手をボコボコにしていく。 

 

 ヤンキーどもが地に倒れるのは数分もかからなかった。

 最後の一撃が終わると、窓から見ていたお客さんたちが拍手をくれた。


 四人対二十人だからな。そりゃ拍手もしたくなるんだろうな。

「達樹、血が出てるぞ」

 そっとハンカチで拭う。

「あ、すいません」


「救急車を呼ぼう。頭の傷は怖いからね」


ファミレスの駐車場に倒れてる連中も頭から血を流している人がいるけど、そっちはスルーだ。喧嘩を売ってきた方が悪い。


「僕のせいでみんなごめん」

 虎太郎のせいじゃないのに俺たちに謝って、救急車で運ばれる達樹の付き添いとしてついていった。

「こいつらは警察に引き渡すか」

 百合はかわいらしく本当におびえたような演技で警察に通報した。



 あ、この騒ぎは冬月さんがばっちり録画してて俺たちは正当防衛ということで無罪でした。

 相手が鉄パイプとか持ってたからね。


 そして、これはいいことなんだけど、達樹の夜遊びはぴったりとなくなったそうだ。

 行くとしても同級生の友達だけ。しかも7時前には帰ってくるようになったんだって。

 


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― 新着の感想 ―
[一言] 『ああいう年下だけ集めてボス面してるやつにはかかわるな。同世代から相手をされてないってことだからな』  まったくごもっとも。『馬鹿者は、自分を尊敬する大馬鹿者を、必ず見つけ出す』の典型ですね…
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