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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十五章 ようやく夏休みです!
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竜神のダミーを目指す虎太郎

「竜神君が好きな湖はどこかな?」


 虎太郎が竜神に問いかける。


「琵琶湖」

「理由は?」

「日本一でかいから」

「二番目に好きな湖は?」

「摩周湖。理由は世界で二番目に透明度が高い湖だから。いつか見に行きてえ」

「世界で一番透明度が高いバイカル湖は入らないんだ……?」

「あそこは悲惨な歴史があるから観光を楽しめないんだよ」

「……ああ、25万人が凍死したもんね…。じゃあ、一番好きな惑星は?」

「火星」

「一番好きな外洋は?」

「太平洋」

「嫌いなおにぎりは?」

「ない」


「一番好きな料理は―——?」


「ストップ。虎太郎さん、会話をしましょうよ。なんすかその尋問。竜神先輩もガチで答えすぎですって。こんなん受け答えする必要ねーでしょ」

 達樹が手のひらを立て虎太郎を止める。


「虎太郎の意図が謎すぎて突っ込めなかったんだよ」


 一方的にポンポン質問を繰り返す虎太郎に、俺たち全員が沈黙してしまってた。


「なんのつもりで質問しているんだ。竜神が好きなものを知るのにどんな意味がある」


 腕を組み足を組んで問いかける百合に、虎太郎は俺をちらりと見て視線を外し、答えた。


「竜神君に万が一何かあったら、僕が代わりになれるように―——好きなものを把握しておこうと思って」


「えぇ!?」「うわぁ……」「なるほど」「ちょ!?」

 美穂子、達樹、百合、俺が悲鳴みたいな声をあげてしまう。


 美穂子が目元を押さえ、深く息を吐いて声を絞り出した。


「虎太郎君は、もし竜神君が死んじゃったら髪を黒に染めて短髪にしてSPを目指しそうなメンタルだもんね……。竜神君になりかわって未来を獲るという下心とかじゃなく、ごく自然に竜神君になっちゃうの」


「あぁ……それわかります」


 達樹まで同意してしまう。


「オレが死んだ後なら未来に言い寄っても文句は言えねーが、オレの変わりじゃなく、浅見虎太郎として未来の傍にいろよ」

 竜神ががしりと虎太郎の頭を掴んで言う。

「……それは無理だ。未来は竜神君が居なくなったら話すことも出来なくなるんだよ。誰かが竜神君の代わりにならないと」


「要するに、竜神に何かあった時のため、竜神強志と全く同じ『好きなもの』と『嫌いなもの』を持ち合わせたにんげんを作ろうとしているのか。未来の面倒さもさることながら、虎太郎も中々にぶち壊れているな。面白い」


「百合ちゃん!」

 興味深そうに顔を傾げる百合を美穂子が叱る。


「竜神君に何かあったときは僕は竜人君のダミーになるよ。未来が未来として生きられるように」


 言い放った虎太郎に竜神が拳骨を落とした。結構な容赦のなさで。


「バカなこといってんじゃねえ。まずは自分が幸せになることを優先しろ。自分が幸せじゃない人間は他人も幸せにできねえからな……。どうしてこうオレの周りには厄介なのばっか集まってくるんだ。百合といい達樹といい虎太郎といい……」

「おい、私を達樹や虎太郎と同列にするな」

「完全に同列だろうが」

 百合が竜神の胸倉をつかむが、竜神の返事はにべもない。


「あの、お話し中のところ失礼しますが」

 両手を挙げても揉め合いになりかけた百合と竜神を止める。



「竜神が死んだらそこで終わりになると思うからダミーとかいらないよ。深いこと考えずそのまま見捨ててください」


「「「「「…………!!!!!」」」」」


 竜神、虎太郎、達樹、百合、美穂子が一斉に沈黙してしまう。


 たっぷり五分も押し黙ってから、


「やっぱり必要なのかな――竜神君のダミー――」

 美穂子がまたもや顔を掌で覆って声を絞り出した。


「虎太郎、竜神の好みだけじゃなく仕草もトレースしておけ。未来が竜神だと完全に勘違いできるようにな。身長も10センチ伸ばせ」

「うん。頑張るよ」

「身長って頑張って伸ばせるもんなんすか?」


「未来、オレが死んだ後はオレのことを忘れてくれ。お前がそんなじゃおちおち死ぬこともできねーだろうが」

「おちおち死ぬな!」


 絶対忘れられないしな。

最近誤字脱字が多くてすいません。漏れを発見したら教えていただけると助かります!

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