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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十五章 ようやく夏休みです!
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スカートって突風が吹くと、前を押さえても後ろが上がる、あるある

 登校日の登校時。

 唐突に突風が吹いて俺のスカートが捲りあがる。それこそパンツが丸出しになる勢いで。


 慌てて前を押さえたんだけど、

 お尻の方のスカートまでも勢いよく上がり、きゃあ、と、情けない悲鳴を上げてしまった。


 なに、この、時間差攻撃!

 前が上がってから後ろが上がるってありなの!?


 パンツが丸出しになる寸前で、俺のスカートを重たい何かがガードした。

 隣を歩く竜神が鞄で押さえてくれたのだ。


「あ、ありがと……」

「おう」


 す、スカートの防御力低すぎい!!!


「あれ? 今日虎太郎お休みなの?」


 今日も登校日、夏期講習の日だ。虎太郎がお休みするなんて珍しいな。

 俺の机の前にしゃがみ込んでた達樹が机に顎を乗せたまま器用に言った。

「ドラマの撮影があるんですよ。すっげーわき役だけど、初出演ってことで昨日の夜から緊張して超めんどかったっすよ」

「え!? ドラマ!?」

「近くで撮影してるんです。学校終わったら観に行きますか?」

「行きたい行きたい!!!」

 同級生がドラマに出るなんて変な感じ!! 絶対観に行きたいよ……!


 と、いうわけで、学校が終わると同時に速攻で観に来ました!

 現場はなだらかな坂になった芝生だ。頂点の広場にテーブルと椅子を置いてカフェ風にしてる。

 ごっついカメラを抱えるカメラマン、ごっついマイクを掲げる音声さん、


 主演は芸能人にうとい俺でも知ってる有名人で、視聴率20%を叩きだしたドラマの続編だった。

 なのに、意外とギャラリーが少ない。こんなもんなのかな?


「撮影場所は非公開なんですよ。周りでギャーギャー騒がれたら撮影できないから」

 こそっと達樹が耳打ちしてきた。なるほど。


 休憩中なのか、役者さん達がくつろいで談笑してる。

 ギャラリーの人たちが「あ、あの子って」「虎太郎君の……」と達樹や竜神を指さし始める。

 ん? やばいかこれ。逃げるべきか?

 よくわかんないけど見られるのが面倒なので、竜神の陰に逃げ込んだ。

 のに。


「未来、竜神君」


 厄災が向こうから来た。


 虎太郎が駆け寄ってきたのだ。

 ギャーだのキャーだのウソーだのの悲鳴がギャラリーから上がってくる。

「え、あ」

 俺は、周りを気にするより先に、虎太郎の恰好に目が行ってしまった。

 黒のカラコンを入れ、髪を真っ黒に染め、緩くパーマまで当てている。


 まるで、別人だった。


「あ? 虎太郎か? 変装してんじゃねーよ誰かわかんなかったろうが」

 竜神が眉を顰める。

「うん……。僕の髪も目もドラマに合わないからってこの格好させられたんだ。……でも、結構気に入ってるんだけどな。似合わないかな」


「似合わねえ」

「似合わないな」

「まぁ、虎太郎さんっぽくねーっすよね」


 竜神、俺、達樹が同時に言う。なんか違うもん。


 虎太郎はがっかりするものの、似合わないものは似合わないのである。


「未来、来たの」


 ズドーンと効果音が出そうな迫力で巴さんが虎太郎の影から現れた。

「き、来ましたけども」

 答えると同時に首ねっこを掴みあげられ、撮影現場に放り込まれた。


「この子を虎太郎と絡ませて。だけどエロも恋愛もNG。知り合い以上友達以下の関係で」


 え、な、な、何!?


 意味わかんないまま、監督さんが大ハッスルし、椅子に座らせられた。

 な、な、なぜに、俺みたいな一般人が高視聴率ドラマに出演する羽目になったんだ。

 ぶるぶる震えそうになるけど、俺はただ椅子に座るだけでよかった。

 しかも、超隅っこに映る程度の存在だった。よ、よかったあああ!!!!

 超隅っこに座る俺の前に、超わき役の黒髪虎太郎が対面に座る。


 ただ、それだけのシーンだったのに。カメラ3台で撮影された。なんで?


 後日、ドラマの宣伝に俺と虎太郎がテーブルに付くシーンがコマーシャルに流れて、ほんと何で?ってなった。


 撮影の翌日、黒髪のままの虎太郎が登校してきた。


 俺達の目からすると完全に別人の虎太郎だ。そんなのが音声は無いけど嬉しそうに、自然な笑顔で、笑って席につく。


 なんか腹立ってペシペシ虎太郎の頭を叩いてしまった。


「え、あ?」


 叩かれた頭をさすりながら、俺を虎太郎が見上げたものの、よくわからないといった顔をしたままだった。まぁ、当然だ俺もよくわかんないもん! でも、虎太郎はあるがままの姿でいてほしいと思うのです。

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