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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十五章 ようやく夏休みです!
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ツイッターに休みなく投稿できる人って凄すぎる

「うやー! このお店盛り付け綺麗ー」

「可愛いねー!」


 初めて入ったカフェ。

 頼んだメニューは真ん中にアイスが盛られベリーがふんだんに散りばめられたパンケーキだ。色鮮やかなソースの盛り付けに、美穂子と一緒にはしゃいでしまう。


「へー、凄いなぁ」

「美味そうだな」


 砂肝料理を頼んだ竜神と虎太郎も盛り付けに感心してる。周りのテーブルのお客さん達はこぞって携帯で撮影してた。

「うめー」

 達樹もちっちゃなフライパンに入った具沢山のカレーグラタンを食べ、あっという間に半分も減ってしまった。


「達樹、ツイッチャーやってるんだろ? アカウント教えてくれよ」

 クラスの女子が達樹がツイッチャーしてるって噂してた。なんとなく聞き流して忘れてたんだけど、周りのお客さん達が携帯で撮影してるのを見て思い出してしまった。


「いいっすよ――って、あああ、しまった、この飯撮影すればよかった……!」

 達樹が頭を抱えて呻く。

「そんなに嘆くこと?」

「虎太郎さんの日常を報告するためにやってるとこあるんですよ……。おれが虎太郎さんとこに転がり込んだっていったら、巴さんが、良質な情報上げるならバイト料くれるって言ってくれて……サクラエンターテイメントの事務所の審査を通してアップしてるんです。一呟き1000円で」


 呟き、せ、千円!?


「えー!!! いいなー」


「あんまよくねーっすよ。投稿数も設定されてるんですから。ここの飯撮っときゃ一回分稼げたのに……」

「うわ……、けっこう大変だな……」


 ツイッチャーで呟くだけでお金を稼げるなんて羨ましい……と一瞬だけ思ったけど、俺に同じことが出来るかと聞かれたらできないな。何を書けばいいのかわかんないのに、コンスタンスに上げるとか無理だもん。


「先輩達といると話してばっかだからついついツイッチャーのこと忘れちまう……。カップメードルの時だっていいネタだったのに……」


 達樹が落ち込んだ表情でカレーを口に突っ込む。確かに、6人で居る時って全員が携帯を握らないな……。


 食後にドリンクを飲みながら達樹のアカウントをチェックすると、なんと10万人単位のフォロワーがあった。達樹の癖に生意気だ。


 内容はほぼ虎太郎の事で、写真もあるけど達樹と虎太郎、もしくは竜神の背中や手だけが映っている。


 俺や美穂子、百合のことは一切書いてない。

 どうして? と聞くと。


「女の子を一緒に写したら、過激なファンに襲われるかもしれないでしょ? 女の子の話題は絶対にNGていわれてるんです」


 納得。


 俺もやってみようかなー。なんて思っちゃったけど、日記でさえ2日以上続かなかった。ツイッチャーなんて無理と即諦める。毎日配信してる人たちってほんと凄いよ。それだけで尊敬できちゃうなぁ……。



――――☆



 数日後に、『バイト料が入ったんで来てください!』と、達樹からメッセージが来た。

 場所は虎太郎のマンションだ。


「きたぞー!」

 竜神と一緒に玄関をくぐる。


「未来ー」

「遅いぞ」

 テーブルに着いた美穂子と百合が迎えてくれた。

 遅くないぞ百合。約束の時間より時間より5分早いんだから、とか文句をいいつつ、室内に入る。


 テーブルにつくと、アイランドキッチンで料理してた達樹が料理を運んできた。

「どうぞ」

「わぁ、おいしそー!」

 美穂子が手を叩いて喜ぶ。


 テーブルに乗るのはアボカドとトマトとチーズのサラダだ。続いて出されたのは熱々海鮮とキノコのアヒージョ!

「これ、お前が作ったの? すっげー!」

 思わず身を乗り出してしまった。カフェの料理以上に綺麗だったんだもん。

「凄いでしょ? 頑張ったんっすよー!」

 達樹も自分で絶賛する。


「誰でも作れる料理じゃないか。アヒージョは煮るだけだしサラダは切るだけだ」

 百合がズバッと酷評した。

 作ってもらった料理にそゆこと言うな! 実際、美味しそうなんだから! 切るだけ、煮るだけでも見た目が美味しそうな料理を作るのって難しいんだぞ。

 家庭科1の男が作ったとは思えないよ。

 さすが、虎太郎の「食べたい」無茶ぶり攻撃に答え続けただけあるな。


「おはよ……」


 もう昼だというのに、部屋から髪ぼさぼさのままの寝ぼけ状態で出てきた虎太郎が、俺達に気が付かないままテーブルを横切っていく。洗面所に入り、出てきて、寝ぼけたままテーブルに座る。


「いただきます……」と挨拶だけして、寝ぼけ状態のまま食べ始めている。

「起きろ」

 百合がゴンと頭を殴ると「え、あ、百合さん!? 未来!? 美穂子さん!?」と目を見開いた。

「おはよー虎太郎君」

「もう昼だけどな」

 美穂子と俺が挨拶をすると大慌てで自分の恰好を見下ろして着替えに行った。相変わらず寝起きが悪いな。着替える必要も無いと思うんだけどな。


 俺は丁度いい厚さに切られたパンをアヒージョに浸す。アヒージョって具も美味しいけど、オイルに浸したパンが一番美味しいと思う。

 達樹もパンをオイルに浸そうとしたのだが。


「達樹、撮影しなくていいの?」

「あ、やべ! 忘れてた!」


 慌ててスマホを手にし料理を撮影する。




――――☆




 達樹は、しょっちゅう撮影するのを忘れてたけど、俺と、美穂子で何度も注意して、ご飯や遊んでる風景を撮影させた。



 そのかいあってか、達樹のツイッチャーの登録者数は順調に増え続けて行った。

 そして、達樹が俺達にスマホを見せつつ詰め寄ってきた。


「先輩! ツイッチャー懸賞で『南海パラダイス島旅行』が当たりました!!! 6人ご招待でソコトラ島の植物を移植した島にご招待だって! 洞窟の地底湖も、洞窟温泉もあるらしいっすよ、みんなで行きましょうよ!!」


 ふぁ?

 ソ、ソコトラ島って何? それはともかく、洞窟温泉には入ってみたい! すっごい気持ちよさそう!! よくやった達樹!! 協力し続けてよかったよ……!!


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