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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
一章 体の違いに右往左往する
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女の子宅に始めてのお呼ばれ※ただし会うのはお父さん

 それから数日が過ぎた。


 夏休みを控えた七月。俺の左手には常にリストバンドがされていた。


 考え事をしてるとつい触ってしまうのだが、それが「重い過去を背負った薄幸の美少女」に見えるらしく、クラスの連中は何くれなく世話を焼いてくれる。可愛いって徳だなぁ。リストバンドの贈り物なんか三十本超えたぞ。日替わりで使っても一ヶ月かかるな。


 それからそれから、墓参りにもいった。


 家の墓には、俺の骨が入ってる。俺が死んだら俺の体の骨は「上田早苗」として、上田家の墓に収められるのだろう。うーん、これもおかしな話だよな。

 墓参りには母ちゃんと二人で行く予定だったんだけど、浅見と達樹が引っ付いて来て、竜神までもが律儀に付いて来た。


「あらー、早速こんなにカッコいい彼氏が三人もできたの!? 本命は誰なのよ、未来。お母さんのお勧めは竜神君だけどねー」

 などと耳打ちしてきて、危うくDV発動しかけた。

 そんなある日、早苗ちゃんのお父さんから連絡があった。


「家においで」またも母ちゃんから又聞きだったんで、おじさんに確認できなかったんだけど、おばさんにいわれたんだから、友達を連れて行かないとな。


「先輩、連れていって下さい!」

「僕も行きたいな」

「俺も一緒に行こうかな。なぁ美羽。暇だしさ」

「私も行きたい! 花沢さん、一緒に行かない?」

 あれよあれよという間に大人数になってしまった。


 総勢八人。め、迷惑じゃないかな?


 電車で五駅離れた早苗ちゃんの家は、想像していたよりずっと大きかった。洋風の建物で庭には花が咲き乱れて、どこかお菓子の家のイメージがある。

 そういえば、お父さんは大手製薬会社の専務って言ってたな。羨ましいなあ。うちの築四十年の開かない窓があるボロ家と比べて(家が傾いて窓が開かなくなってるんだ)、感嘆の溜息を付いてしまった。

「うおー、綺麗だな」

 一般人代表で良太が声を上げる。


「誰がチャイムを鳴らす?」


 後ろの連中に聞くと「お前だろ」が異口同音で帰ってきた。

「知らない家のチャイムを鳴らすのって、なんか緊張しねー?」

「先輩カワイー」

 達樹に笑われ、速攻でチャイムを押す。ドアホンから「どなた?」と低い声が流れてきた。

「こんにちは、日向未来です。お招きいただいてありがとうございます」

「あぁ、未来君か。ちょっと待ってね」


 いくらも待たないうちにドアが開いた。


「いらっしゃ……」

「コンニチワ~~~~」


 ドアを開けたおじさんは、人のいい笑顔を浮べたまま、ぎょっと後ろに下がった。

 俺の後ろには達樹、竜神、浅見、良太、美羽ちゃん、美穂子、花沢がぞろりと並んでいる。

 個々は外見だけみれば標準以上の容姿をしているのだけど、固まって歩いたらなんの集団か俄に想像できない、胡散臭い存在感の塊となる。おじさんは度肝を抜かれたようだった。

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