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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十四章 とうとう二年生です!
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ハサミ、が、下着を切り裂く感触

 指先から体温が無くなりまともに動くことさえできなくなる。


 足の先からもだ。


 蹴りつけて逃げ出すべきなのに、全身から力が抜けていく。

 怖い。

 

 竜神の名前は呼べない、それを叫べば負けだ!


 男相手だと動くこともできなくなるけど、女の子相手には勝たなきゃ――!


 足を押さえつけられているのが悔しい、自由だったら蹴り飛ばしてやるのに。


「やだ……!!」


 刃先が下着の中に入ってくる。腰骨に開かれたハサミの剣先が当たる。

 怖い、

 ハサミってこんなにこわいの!?

 幼稚園の頃からずっと使ってた工作の道具だとしか思って無かった。

 なのに、なのに、冷たい切っ先が体に食い込み下着を挟むと心臓を鷲掴みにされたみたいに怖かった。


 じゃき、と、大きなハサミの音が上がる。


 スカートと一緒にパンツが切り刻まれる。バチリとパンツが弾かれギリギリの場所までたわむ。


「ひっ、ぐ……!」


 ようやく全員の手が離れ、俺は大きく開かれた上着とスカートを押さえて蹲った。

 女たちが爆笑して見下ろしてくる。


 泣きたく無いのに涙が出てくる。ほんと情けない。

 悔しい。


 カシャカシャカシャカシャカシャカシャ、とシャッター音が上がった。始めに俺を押さえてた暗い目をした女子がスマホを構えていた。


「未来ちゃんのビッチビチ事後画像ゲットー!」


 スマホの画面を向けてくる。


 そこには真っ赤な顔をして切られた制服と下着を押さえる俺の写真が収められていた。


 完全に隠しきれてなくて、腹と太ももが露わになってる。何よりも、俺の顔が、人から見れば「欲情している」顔そのものだった。


 連射モードで撮った写真の一枚の表情だ。何十枚とったかわかんないけど、他の写真は全部嫌がってた顔のはずだ。そのうちのたった一枚がおかしな顔になっただけ。

 でも、それがネットにでも公開されれば、日向未来は露出して欲情する女なんだって大多数の人に決めつけられる。


 人は自分が見た写真の欠片しか信じない。


 後からどれだけ違うと否定しても信じてくれるはずない。



 やだ、怖い、やめて!


 叫ぶより早く、一閃した何かが女の手からスマホを叩き落とし、縦に蹴り潰した。


 大きな足の下でベキベキと音を立て最新型のスマホが粉々になっていく。


「――――!?」

「…!!!」


 俺も、周りの女たちも一斉に息を呑む。










 踏みつぶしたのは竜神だった。







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