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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十四章 とうとう二年生です!
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おっぱい星人! 剣崎君!

「う――、と、とどかない……!!」


 教室後ろの掲示板に貼られた『今週の校訓』のプリント。全校生徒の9割以上が読んでないだろうに、毎週毎週各クラスに配布される。


 廊下ですれ違った柊先生に『これ、変えといて』とプリントを渡されてしまった。


 掲示板に貼られたプリントを貼り替えるぐらい簡単だからと二つ返事で引き受けたものの、先週分のプリントがめっちゃ高い場所に貼られていた。背伸びしてもプリントを押さえるマグネットに手が届かない。


 こういう時、自分がチビだと思い知って悔しくなる。

 先週このプリントを貼り替えたのは多分男子だ。自分の手の届く高さに普通に貼り付けたんだろう。でも、それが、俺にとっては背伸びをしても到底届かない場所にある。それが悔しい。


「うや!」

 ジャンプして遥か頭上にあるマグネットに手を伸ばす。

 届かない。


「もう一度――」

 少し膝を折り、溜めてからのジャンプ。中指の爪が触れた。もう少し高く飛べば取れる。

二回目ジャンプ「ぅや!」三回目ジャンプ「うゃ!」四回目ジャンプ「ぅゃ」五回目ジャンプ「ゃ」

 頑張って頑張ってチャレンジを続ける最中に――――。


「跳ねるな!」

 聞き慣れた声に止められてしまった。


「とめないでくれ竜神。もう少しでマグネットに手が届きそうなんだ! 今週の校訓に負けたくないんだ!」


「そうじゃないでしょうがああ!」

 竜神と一緒に教室に入ってきたメイちゃんに頭をどつかれる。

「あんたが跳ねるたびにパンチラしてたのよくっそダッサイ白と水色のストライプパンツがちらっちらしてたのよ!! どうせ見せるんならもっと可愛いパンツ履きなさい!!!」

「!!!????」


 跳ねて無いのにスカートを押さえてしまった。


 おそるおそる教室に目をやり、「み、見えてましたか……」と敬語で聞いてしまう。

 こっちを見ていた男子が一斉に目を逸らした。


「!!!!!!!!」


「ご、め、お見苦しいものを」


 ぶるぶるしながら頭を下げる。

「何であんたが謝ってんのよ!!!」

「だ、だって」


 一方的にパンツ晒したのは俺だし、


「謝る必要はない」


 眼鏡を掛けた男が席を立った。


 剣崎君だ。


 眼鏡を掛けた男子生徒だ。このクラスには虎太郎がいるから目立たないが、他クラスの女子がイケメンイケメンと騒いでた記憶がある。身長だって高く、成績も虎太郎と上位を争うぐらいに頭がいい。


「日向の魅力はパンチラじゃない。胸だ。跳ねるたびに、たゆんたゆんと揺れる巨乳は至宝で国指定文化財となってもおかしくはない。パンツなど誰も見ていない。胸だけを見ていた」


 あれ? こいつ頭良かったはずなのに何言ってんだ?


「日向は計算でやっていない。無防備に跳ねるからこそ可愛い! その宝を彼氏だからと言って止める権利は無い!!!」


 眼鏡を押し上げ、カカッと眼光を光らせた剣崎の顔面を竜神の掌が掴んでもち上げた。


「こういうおかしな連中に絡まれるから跳ねるな」

「ご、ごめんなさい」


 1年の頃は男子にも女子にも遠巻きにされてたのに、2年になってから濃い人が増えたような気がする……。


「剣崎君は未来をそういう目で見てたんだ……」


 竜神に続き教室に入ってきた虎太郎が呟く。モデルを始めてから自分の喜怒哀楽の感情を制御する癖がついたのだろうか、声は地を這うほど物騒なのに笑っていた。


 視線だけで切り刻まれそうな笑顔に剣崎が後ろ歩きで逃げて行った。


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