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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十四章 とうとう二年生です!
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10の37218383881977644441306597687849648128乗

 修学旅行から帰ってきた数日後。


 席に座った虎太郎が女子じゃなく男子と話していた。直正君と藤堂君、島村君だ。

 竜神だけじゃなく虎太郎にも話しかけてくれるとは出来る男だな、藤堂君!

 虎太郎は異常に女子にもてるから、やっかまれるを通り越し男子に遠巻きにされちゃってるのに。


 琴音が選んだ男なだけあるよ。

 前の彼氏は二股をするような最低な男だったけど、乗り越えたことで男を見る目が上がったんだろうな。


「えええええ!? 竜神君はそんな男じゃないよ!! 万が一――――――の可能性もないか……百不可説不可説転分が一にでも竜神君がそんな事を言い出したら、全殺しされるのを覚悟で半殺しにするまで頑張るよ!! 内臓の一つ二つ破裂させるぐらいするよ!!!」


 虎太郎が物騒な叫び声をあげる。どうしたんだろ。

 ところで、不可説不可説転って仏教における最大の単位だっけ……? 単位は10の37218383881977644441306597687849648128乗とかなんとか。こないだ数学の先生が言ってた。これは実用できる数字じゃない、悟りの域を示すものだ、とも。

 こういう雑談ってなんか覚えちゃうよな。肝心の授業の内容は全然頭に入ってこないのに。


「オレがなんだ?」

 丁度前のドアから入ってきてた竜神が虎太郎の机の前で足を止める。

 虎太郎が何かを答え――――。


 竜神がその場にしゃがみこんで虎太郎の机に突っ伏した。


「さすがに傷ついた……」

 心底傷ついた声で嘆く。小声なんだけど、低いせいか良く通るせいで俺の席まで聞こえてきた。


「……ご――誤解しててわりぃ……」

「なんか可哀そうになってきたわ」

 直正君と島村君が謝罪する。


「その噂流してる奴を見かけたら訂正してくれ……。オレ、自分がぶっ殺されそうになっても、んなこと絶対できねえから……」

 ヨロヨロ立ち上がり、虎太郎の席から一番遠い場所にある自分の席に向かう。


「藤堂君たち、何の話をしてたんだ?」

 憔悴っぷりが半端なかったので心配になり、てってってっと竜神の席に駆け寄って訊いてみた。

「なんでもな「竜神がお前に性的な奉仕をさせているという噂が流れてるんだよ。虎太郎や達樹相手にセックスをさせ、二人から金を巻き上げている、とな」


 竜神の言葉に百合の声がかぶさる。


 あまりの内容に、俺はたっぷり2分は沈黙し――――。


「藤堂おおおおお!! 誰がそんな噂を流してるんだよ!!? 一発ぶん殴ってくるから相手を教えろおおお!!!」


 俺は思わず藤堂に突っ込み、胸倉を掴んで持ち上げていた。推定180㎝で推定80キロは微動だにしなかったけどな!!


「あ、えと」

 俺の迫力にびびったのか即答してくれない。

「どうどう未来。噂を辿ろうとしても無理だからやめとけ。卒業した連中かもしれないだろ」

 竜神が俺の背中をぽんぽんと叩く。

「どうして怒らないんだよ竜神……!! こんなの悔しいよ!! 国際指名手配犯クラスの悪人顔ってだけでどうしてそこまで言われなきゃならないんだよ……!!!」

「お前も結構容赦ねえよな……」


「けど……、未来先輩を見ていると、竜神先輩に『体売ってこい』って言われたら、即、売りに行きそうだからコエーっすよね……」

 遊びに来てた達樹が眉間に皺を寄せて言う。


「当たり前だろ。竜神がやれっていうなら千人相手でも一万人相手でも頑張るよ」

 俺は迷いなく即答した。竜神が望むなら体を売るぐらい簡単だ。


 ガターン!

「おい、竜神が死んだぞ」

「死んでる場合じゃねーっすよ先輩! あれをどうにかできるのは竜神先輩だけなんすよ!!」

「未来いいい!! 体罰!!!」

「うゃー!」

 美穂子に思いっきりケツを叩かれてしまう。

「未来はどうしてそうなの!? どうしてそうなの!!?? 竜神君は絶対そんなこと言わないって分かってるけど、百不可説不可説転分が一にでもそんなこといわれたら自分から別れるぐらいに強くなって!!!!」

 そんな無茶な……。俺、竜神にだけは嫌われたくないから、体を売るぐらい平気なんだけどな。


 死亡から蘇生した竜神が俺の肩を掴む。

「オレは、絶対に、言わないからな! お前にそんなことをさせるぐらいならオレが死んだ方がマシだ!むしろ死ぬから覚悟しとけよ!」

「う、うん……」


「本気で……すまねえな……竜神……それと……浅見と、達樹も……」

「誤解してて悪かったよ……」

「達樹、竜神、虎太郎、わりい!!」

 藤堂、直正、島村が異口同音に、三人に謝った。そして。


「日向ってヤンデレだったんだな……!!!」と嘆いた。


 ヤンデレ?


「意味不明なこと言うな。竜神を殺したり傷つけたりなんて絶対できないよ。竜神に新しい彼女が出来て、別れを切り出されても即別れるし。次こそ幸せになってねって笑って言えるもん。……捨てられたわたしは首を吊るかもしれないけど……」


「それもヤンデレなんだよ……」


 そうなの?

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