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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十四章 とうとう二年生です!
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修学旅行一日目!(夜の恋バナ)

最初は男部屋三人称視点、後半は女部屋未来視点です!

 時間ぎりぎりまで長風呂を楽しみパウダールームに籠る女子とは違い、男子は半数以上が時間より早くに部屋に戻っていた。


 竜神も虎太郎もその口だ。


「なー竜神」


 畳の上にあぐらをかいて荷物の整理をしていた竜神に、直正と島村が質問を投げかけた。

 次の瞬間。


「二度と言うんじゃねえ!!」


 竜神は怒声を上げて座卓に拳を落とした。

 男二人がかりでも動かすのに苦労する黒塗りの重厚な座卓が、ミシィイ! と悲鳴を上げる。


 部屋にはほとんどの生徒が戻っていた。

 自分の怒鳴り声のせいで一気に部屋の温度が下がったのをすぐに反省し、竜神は部屋から出た。このままここに居続ければほかの人間にまで気を使わせる。さすがにそれは本意ではない。

 竜神は一階まで降り、まだ営業している土産物屋の前のソファに腰を下ろした。


「竜神か。未来を待っているのか?」


 風呂上がりの百合が竜神の前で足を止めた。

 答える前に、穏やかなテノールが「あの、竜神君……」と割り込んだ。虎太郎だ。


「直正君達にお願いされて僕が代表で謝りにきたんだけど……竜神君がクラスメイト相手にあんなに怒るなんて珍しいね……寺戸君、泣いてたよ」


 去年の文化祭で竜神と共に駄菓子屋の宣伝をさせられた157センチのクラスメイトである。


「……なんで……寺戸君が泣くんだ……? オレが話してたのは直正と島村だし、寺戸君は部屋の遠くに居たはずだろ」

「よっぽど怖かったんじゃないかな?」

「しまった……! 後で謝っとかねーと……」

「何があったんだ?」

 百合が虎太郎に質問を投げかける。


「島村君と直正君が竜神君に『未来とやったのか?』って聞いて――、竜神君が凄く怒って出て行って……」

 虎太郎の話を聞いた百合は呆れた溜息を吐き、項垂れた竜神を見下ろす。

「お前、その程度の会話ぐらい流せずにどうする。どうせやって無いんだろうが」

「事実なんかどうでもいい。未来がやっただのやらないだのって目で見られるのが嫌なんだよ」


「……? よくわからないんだけど、やったって、何を? 何の話をしてるのかな?」

 内容を全く把握できない虎太郎が不思議そうに首を傾げる。

「セックスだ」

 百合が簡潔に言い放った。



「!!!!!?????」



「こいつは、直正達に、未来とセックスしたのかと聞かれて腹を立てているんだ。わかったか世間知らずが」

「ご、ごめ。ご、僕、そんなこととは夢にも、」

 急激に頬と頭に血を上らせたせいで眩暈を起こして虎太郎がよろける。


「わかってるよ。謝る必要もねーって、おい、お前まで泣くなよ」

「ほんとごめん……!!!」

 脱兎のごときとはこのことか。踵を返し全速力で逃げだした。


「あ、こたろー」

 未来や美穂子とすれ違ったことさえ気が付かず階段を駆け上がっていく。


「虎太郎が真っ赤な顔して半泣きで逃げてったけど何かあったの?」

「……様子見てくる」


 自分の問題なのに虎太郎までも巻き込んでしまった。このまま放置する事など出来ずに、竜神が立ち上がる。


 部屋に戻り、もう一度「もう怒ってねーけど二度と言うなよ。あと虎太郎を利用すんな」と直正と島村に釘を刺し、膝を抱えて静かに泣いてた寺戸に謝り、虎太郎の姿を探す。


 虎太郎は――。

 安否の確認をして、竜神は再び一階に降りた。


「どうだった?」

「布団被って押入れん中に引きこもってた。しばらくほっとく」

「あいつも軟弱な男だな全く……」

「お前に容赦がなさすぎるだけだと思うけどな……。もっと言葉を選んでやれよ」

「お前は未来に対しても虎太郎に対しても過保護が過ぎる! 虎太郎は物を知らないにもほどがあるだろうが! このままだと恥をかくのはあいつ自身なんだぞ! 友人である私たちが荒療治をしてやらなくてどうする!」

「正論だけどな。お前、楽しんでるだろうが」

「なぜわかった! あいつの反応はクッソ面白い。未来とは別の意味で楽しいオモチャだ」


 ククククククと口を三日月にして笑う。


「何があったかわからないけど、虎太郎が可哀そうだってことだけはひしひしと伝わってくるよ」

「百合ちゃん、手加減してあげてね」


――――


 もうすぐで消灯だ。

 10時半消灯って早いけど、明日の朝も早いから早めに寝なきゃな。


「よしっと」

 荷物の整理も終わり、俺は、窓際から三つ目の布団にころんと転がった。

 周りにこれだけ人が居て寝れるかなぁ……? 疲れたから寝れると信じたい。明日は京都なんだ。寝不足でふらふらなんて絶対やだ。


「電気消すよー」

「うん」


 明かりが消え、常夜灯だけになる。

 よし。寝るぞー。


「ねーねー未来ちゃん……」

 いきなり出鼻をくじかれた。

 藤岡さんだ。あれ? いつの間に未来ちゃん呼びに?


「何?」

「竜神君とはエッチしたの?」

「―――?」

 質問が頭に到達するまでかなりの時間が必要だった。


「し――――してるわけないだろぉぉぉ!! 女の子がなんて質問してんだよぉ! 世界が止まったぞ!」

 余りのショックに布団から飛び起きちゃったじゃないか!!! 一気に耳まで熱い!!

 布団は頭同士を向かい合わせに5組ずつ敷いてある。

 俺は列のど真ん中に寝てた。藤岡さんはそんな俺の左斜め前だ。

 質問する方も恥ずかしかったようで頬を紅潮させてる。常夜灯のせいでそう見えるだけじゃないよな!?


「マジで!? 日向、竜神とやってなかったの!? あんなエロイ体しといて!」

 ままま曲山さんまで……! ってエロイ体ってなんだよ!体は関係ないだろ! いや、あるのか? あるな!

「やったとかやらないとか言わないで! すっげー……」

 後が続かなかった。生々しい? 恥ずかしい? 全部なんだけど全部をどう伝えていいのかわからない。

「信じられない……一年の頃からあんだけバカップルしてたのに……!」

 バカップルなんてしたことありません。何を言ってるんですか琴音さん!


「と、とにかく、竜神はぽんぽん手を出してくるような男じゃないよ……」

「じゃーまだキス止まりなんだ。意外ー!! 竜神君って超ー肉食系っぽいのに」

「キスもしてないよ! ってもうやめて! こういう会話ほんとダメだから!」

「えー!!? キスもしてないの!? うっそでしょ!?」

「お揃いのリストバンドして、いつも一緒に登下校して、部活も一緒で、竜神君といえば付属物に未来がくっついてるのに!」

 女子に一斉に食いつかれ、俺はどうしていいのかわからず言葉を呑んでしまった。


「はいはーい、未来に対するセクハラ質問タイムは終了。今の話、竜神君の前でしちゃダメだからね。すっごく怒られるよ。普段は優しいけど、怒らせたら怖いんだから」

 美穂子がパンパンっと手を打って止めてくれた! ありがとう、助かったよ美穂子……!


「実はあたし……好きな人居てさ……」

 琴音がいきなり切り出してきた。

「え!? 琴音……好きな人が居るの!?」

「うん……」

 そっか、二股野郎のことは吹っ切ったんだ。よかった……!


「誰!?」

 仁井田さんが食いついていく。


「と……藤堂」


「えー藤堂……、ちょっとごつくない?」

「結構優しいんだってあいつ。ミキミキはどう思う?」


 どうって聞かれても困るぞ。藤堂君の事なんて天然さんだって事しか知らないもん。

 竜神に話しかけてくれたから良い人だって思いたいけど、実は変人かもしれないし、推測だけで下手なことは言いたくない。特に、人間関係には。


「実は明日告ろうかなって……」

「まじで!?」

 あぁ、だから俺のシャンプーを借りたがったのか。


「そっかー、竜神君と未来ちゃんってまだキスもしてなかったんだ……」

 話を戻さないでください!! 藤岡さん!

「じゃーさ、修学旅行中にやっちゃえば? 思い出になるよ絶対」

「え!」

「あまり言ってやるな、藤岡。未来は思い込みが激しいから、急かせば二人の仲がこじれるかも知れないぞ」

「そうだよ。竜神君と未来は二人のペースで進展していくのが一番いいよ……。……琴音ちゃん、頑張ってね」

「うん! ありがと! 美穂子」


「たしか、京都では琴音の班と藤堂の班は同じ行動の予定だったな。告白して断られ気まずくなって修学旅行の思い出がさんたんたる物にならないように祈るんだな」

「花沢……そんな現実的な話しちゃダメだってば……」

「ひど過ぎない?」


 百合の言葉と曲山の突っ込みに琴音が落ち込む。

 一人、一人と寝息を立てていき、俺もいつの間にか深い眠りに落ちていた。


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