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モブ君(ある朝突然)絶世の美少女になる  作者: イヌスキ
十四章 とうとう二年生です!
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【パラゼ部活動開始!】巨大パフェ攻略

「パラゼ部、活動開始だ。今日は6人でジャンボパフェを食べに行くぞ!」


「ぱふぇ?」


「ああ。夢屋5階の太陽堂のジャンボパフェだ。食べたいと言っていただろう」


「え――――」


 言った! 確かに言った! 俺の愛読書、ガールズPOPにパフェの特集がされてて、その中にあったんだ。太陽堂のジャンボパフェ!(人数6人~10人用パフェ) 美穂子と二人で「いつかは食べてみたいね」って話もした!


「あ――あれ、食べに行くの!? でも予約制だよ!?」

「もちろん予約済だ。会計も済ませている」

「えええ! 一万円もするのに! お金はちゃんと払うよ」

「部活動だから気にするな。とにかく、全員行くぞ」

「すっげー楽しみっす! おれ、あれ、自分で食うどころか、食ってる奴を見たことも無かったんですよね」

「うん! どんぐらいでっかいんだろうなー! 行くぞ達樹」

「はい!」


 余りの楽しみさに小走りになりながら夢屋に向かってしまう。

 パフェ食べるのが部活なんて夢みたいだ!


「予約をしていた花沢だ」

「お待ちしておりました! お席へどうぞ」


 案内されたのは外が良く見える窓際の席。やった!

 窓が見える方じゃなく、店内が見える方に座ろうとしたら達樹に睨まれてしまった。


「未来先輩と虎太郎さんはこっち! 言ったでしょ、あんたら無駄に目立つんだからなるべく顔見られない場所に座ってください!」


 手前側に、俺、竜神、虎太郎、奥の席に百合、美穂子、達樹になった。


「見て見て、ジャンボパフェ、総重量9キロもあるんだって!」

 お店のメニューを指さして美穂子が言う。

「9キロ!? ってことは一人1,5キロ食べなきゃダメってこと!? この6人から10人って表示間違えてない!? どう考えても6人じゃ無理だろ!」


「お待たせ致しました! 当店自慢のジャンボパフェでございます!」


 青ざめる俺を他所に、超巨大パフェが登場した!

 さすが総重量9キロ。店員さんが二人がかりで運んできた。


「おおおお――――!」


 出てきたパフェの余りの巨大さに、青ざめてたのも忘れ思わず拍手をしてしまった。

 なんといいますか、学校で使ってるバケツだ! あれと同じぐらいのサイズの透明な容器にぎっしりとフルーツとアイスと生クリームが詰まってる。


 上にはソフトクリームと沢山刺されたポッキー、メロン、マンゴー、キーウィ、さくらんぼ、バナナ、その他色々のフルーツ。オレンジアイス、ストロベリーアイス、ソフトクリームのコーン、挙句の果てはロールケーキやチョコケーキ、ワッフルまで乗っかってる。


「おわーすっげー、アレ、初めて見た」

「あんなに大きかったんだー!」


 周りのお客さんの驚愕の声も聞こえてくる。

 余りのでかさに大注目されてるぞ。


「未来と美穂子から好きなものを取っていいぞ」

「え、いいの? ありがとう!」

「ごめんな、皆」

「いちいち謝るなって」


 お言葉に甘え、好きなものを取らせてもらう。


「ケーキは避けときましょっか。アイスに飽きた時に食いましょうよ」

「そうした方がよさそうだな。アイスクリームと生クリームだけで7キロはあるだろうしな」

 達樹の提案でケーキ類が予備の取り皿に移される。


「いただきまーす!」

 それぞれ挨拶をして、超巨大パフェ攻略を開始したのだった。


「あれ……浅見虎太郎じゃない……?」

「ほんとだ! 生浅見超かっこいい……! スタイルすっごいいいね」


「……」

 背後から女性客の声が聞こえ、虎太郎が恥ずかしそうに椅子を動かした。

 ほかの客から顔を隠す微妙な角度に。


「……あのオネーサン達に、虎太郎さんは女と遊ぶより、池の淵に座ってメダカ見てる方が好きだっつー性格してますよって教えてやりてえ」

 達樹が苦々し気に言う。


「達樹君」

「なんスか」

「僕は金魚も好きだよ」

「だから何だよ」


「虎太郎も進歩はしてるだろう。花見の時も、竜神に未来以外の好きな女が出来たらその女を寝取ると宣言したぐらいだしな」


「ねと……!? そんなこと言った覚えないよ!?」


「え? 言ってたじゃねーっすか。竜神先輩が未来先輩以外の女を好きになったら、その女の子をどうにかするとかなんとか」


「あれは! 振り向いてもらえるように頑張って尽くして結婚して、その後一生幸せにするって意味だよ」


 かろーん……。

 誰かが取り皿の中にスプーンを落とした音が響いた。俺だったのかもしれない。全員だったのかもしれない。

「虎太郎君ドンドン引きだよドンドンドン引きだよ!!」

 一斉に沈黙し、一番最初に再起動したのは美穂子だった。


「ま、またドンが増えた……」

「これならまだ『俺の魅力で竜神が惚れた女を落としてやるぜゲヘヘヘ』ぐらい言ってくれたほうが安心だったよ……!」

 美穂子が両手で顔を覆って嘆く。


「そそそそんなこと言えるわけないよ! そもそも僕が竜神君に勝てることなんて何一つないし」

「山ほどあるだろ」


 巨大パフェからアイスを掬いつつ竜神が答える。


「未来もだけど、虎太郎も自己評価が低すぎるぞ。もっと自信持て」


「うーん……」

 って、なんで俺も?



※只今パフェ攻略中※


「これだけアイス食べてるのに水位が減らない……」

「未来、意外と頑張ってるな」

「うん、自分でも意外だよ。こんなに食べられるって思わなかった」



「おれ……パフェにフレークは邪道だって思ってたんですけど……、フレーク超うめーっすわ……」

「唯一冷たくない食べ物だもんね」



「生クリームの邪魔さと来たら……」

「美味しいんだけどね。こってりだから食べ続けてたらきつくなっちゃうね」



「あ、イチゴソースの層に到達したよ」

「よっしゃ! ……やっぱ、味変わると食べやすいっすね。イチゴソースうめえ」


「また生クリーム……!」


 百合の額に血管が浮く。俺と美穂子が食べたがってたから付き合ってくれてるだけで、甘い物がそこまで好きじゃないんだろうな。


「ホットコーヒーを注文しようか」

 頭を抱えた百合に虎太郎が苦笑して提案した。


「それが良さそうだな。すいません、ホットコーヒー6つとポテトをお願いします」

「ポテト頼んじゃうの!?」


「塩気が無いとやっとられん。竜神、パフェ攻略はお前の手に掛かってるぞ。3キロ行け」

「善処するよ」


 運ばれたホットコーヒーを竜神、百合、虎太郎はブラックで、俺、美穂子、達樹は生クリームを浮かべたりして飲む。


「う……ギブっす……」

「達樹がんばれ! まだ敵は残ってるぞ」

「私ももう限界……」

「美穂子まで!」


「残り少しだから大丈夫だよ」

「でもまだ水位が2センチ以上あるぞ。戦死者が三人もいたんじゃ戦えない」

(百合はかなりの序盤で没した)


「虎太郎はどのぐらい行けるんだ?」

「お玉2回分ぐらいかな……」

「未来は?」

「お玉1回が限界かも……」


 ちなみに、この時点で巨大パフェは完全に融解してしまってる。でろでろである。

 宣告した回数分だけ取り皿に入れてくれると、残りは全部、竜神が食べてくれた。


「おおおおお――――!」


 見事完食した瞬間、拍手した俺たちだけじゃなく、周りのお客さんからも歓声があがったのだった。


 かくして、我がパラダイム概念の学説史的意義と観察の理論負荷性テーゼ部、略してパラゼ部は、初めての部活動で、9キロのパフェを完食するという偉業を成し遂げたのであった。

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