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奇妙な転校生

作者: ヒーヒィ

ある日、高校1年生であるタカシのクラスに転校生がやってきた。


先生『今日は、お前たちに新しい仲間を紹介するぞー』

その言葉とともに入ってきた少女を見て生徒たちは皆ざわつき始めた。


先生『ほらっ! 自己紹介しろ!』


???『はじめまして~、私の名前は花森ゆずと言います。

これからよろしくお願いしますね!』ニコッ


そう言って彼女はとびきりの笑顔で挨拶をしたのだ。

その笑顔はまるでアイドルのように可愛らしく輝いていた……


いや、待てよ・・・あの顔どこかで見たことあるような気がするんだが・・・


するとアイドル好きの鈴木が叫びだす。

鈴木『嘘だろ!?

ハッピーフラワーのゆずぴぃじゃん!!!!!』


そうだ!今人気のアイドルグループの1人じゃないか!!

でもなんでそんな子がうちの学校に?まさか芸能人も通う学校ってここの事だったのか!?

うちのクラスにアイドルが転校してきたことで

俺にも春が来たかと思ったのだが、

まさかそれとは真逆の波乱な生活が始まることをこの時の俺は知る由もなかった……





先生『知っての通り彼女は今話題沸騰中のアイドルグループのメンバーだ。

みんな仲良くしてあげてくれよ〜』ニヤリ


生徒「はーい!」

生徒一同(うぉ〜マジかぁ)




先生『みんなちょっと待て、実はもう1人転校生がいるんだ』

(えぇ〜また増えるの?)


先生『入ってきなさい』



ガラガラ ドアが開くと子供のような体形の得体の知れないヤツが入ってきた。


??『やぁ!ボク、ポコンちゃんだよ!みんなよろしくねー!』

意味不明な存在にクラス中が静まり返る……


この謎の生物は何者なんだ……

どう見ても人間ではない。宇宙人なのか?


先生『えーと、このポコン君は特別にうちの学校に通うことになったんだ。

まぁ仲良くしてくれ』


ポコンは黒板の前でニコニコしている。

いや・・・こいつの正体は何なんだよ。

というかあいつが気になってゆずちゃんのこと忘れてたじゃねぇか!


先生『よし!これで朝のHRは終わりだ。次の授業の準備をしておくように』

そう言うと担任の教師は教室から出ていった。



そして休み時間が始まると皆がゆずちゃんの周りに集まっていた。

キラキラした目をしながら彼女の周りではしゃいでいる。


女子A『ホント可愛いよね〜』


男子B『おい!お前ゆずぴぃと知り合いなのか?』


鈴木『もちろん!ライブには何度も行ってたし握手もしてもらったこともあるぜ!な?ゆずぴぃ!』


ゆず『えーっと・・・すみません誰ですか?』キョトン


鈴木『嘘だろ・・・俺覚えられてなかったのか・・』


男子B『ギャハハ!鈴木どんまいw』


男子C『それにしてもやっぱり本物の方がかわいいなー』


女子A『当たり前じゃない、今大人気のアイドルよ。

可愛いに決まってるわ!』


男子D『確かにな!』





そんな光景を俺は横目で見ていた。

タカシ『なんか騒がしい奴らだな・・・』



そしてふとあのポコンとかいうやつを見ると

俺と同じくその光景を見ていた。


しかし様子がおかしい。

顔が怒っているように見えるんだが・・・


するとゆずの元へ向かった。


ポコン『キミたちうるさいなぁ・・・!みんなの迷惑になるでしょ!』


男子B『あ?なんだよこいつ初日から説教かよ!』


女子A『そうよ!あんた何様よ!』


ポコン『そんなこと言うなんて悪い子だなぁ・・・!!』


そういうとポコンは女子Aの腕を掴む。


女子A『キャッ痛い!離してよ!!』


ポコン『キミみたいな悪い子にはお尻ペンペンしなきゃ!』


そういうとポコンは女の子のお尻に手を当てて思いっきり叩いた。


ペシッ!ペシッ!


女子A『キャァア!!』


クラスメイト全員『なっ!?』


いきなりの出来事に全員が驚く。

なっ!?何をやってるんだこいつは!?


ペシッ! ペシッ!


女子A『痛い!やめてええ!!』


男子数名が止めに入る。


男子『お前何やってんだよ!!頭おかしいんじゃねえのか!?』


鈴木『そうだそうだ!!暴力反対!!』


するとポコンは振り向いて言い放った。


ポコン『ボクはおかしくないもん!悪い子はこうしないとダメなの!!』


鈴木『いやいや!!普通に考えてもありえないだろ!!』


ポコン『うるさいなぁ・・邪魔しないでよ!』


男子『いいからやめろってんだよ!』


1人の男子がポコンの腕を掴んだ。

すると……


グググ・・・

ドサッ!

男子『ぐあっ!!』


鈴木&女子達『えぇ!?』


掴んだ腕を逆に捻りあげられてしまったのだ。

そしてそのまま地面に叩きつけられた。


ドゴォン!!

男子『うぅ……』


鈴木『大丈夫か!?』


ポコン『・・・・邪魔しないでって言ったよね?』


ペシッ!!

そう言って今度はもう片方の手で彼の頬を思いっきりビンタした。

殴られた男子は勢いよく吹っ飛び壁に激突して意識を失った。

男子『ガハッ』


鈴木『ひいっ』


クラス中が凍りついていた。

俺は気づけばゆずちゃんのところへ向かっていた。


タカシ『花森さん、危ないから逃げよう!』


ゆず『え?どうしてですか?』


タカシ『とにかく早く!』


彼女は訳がわからない様子だったが無理やり手を引っ張っていく。

そして屋上へ続く階段まで来たところで一旦止まった。


タカシ『ふぅ・・・ここまで来れば安心かな・・・』


ゆず『あの・・・どうして逃げたんですか?』


タカシ『そりゃ逃げるに決まってるだろ!あいつはヤバい奴だよ』


ゆず『そうなんですか?あの子はただ騒がしくしてた人を注意しただけだと思うのですが……』


タカシ『違う!あいつは異常だ!

それに得たいが知れなさすぎるよ』


ゆず『そうかなぁ?私は仲良くしたいなぁ~。

せっかく同じクラスになれたんだから!』


なんだこの子・・・名前だけじゃなく頭もお花畑なのか?

確かに可愛いけどさ・・・ あんなことがあった後に

あの化け物と関わろうとするなんて正気の沙汰ではないぞ・・・

とにかくゆずちゃんが心配だ・・・

なんとか俺だけでも近くにいて守らないとな・・・




------その頃教室では


ポコン『みんないい?もう悪いことしたら駄目だよ?』

ニコニコしながら言っている。


鈴木『うん・・・』


他の男子生徒『分かりました・・・』


女子A『ごめんなさい・・・』


女子B『すみませんでした・・・』


女子C『ホントに反省します』


とりあえずは収まったみたいだな。

しかしまだ油断はできない。

今は大人しいかもしれないがいつまた暴れ出すかわかったもんじゃない。

俺はポコンの動向を注意深く見守る事に決めた。



昼休みになったので俺は職員室に向かい、

担任にあいつのことを報告することにした。


担任『なるほどな・・・』


タカシ『先生、彼は何者なんですか?』


担任『実は彼は以前、

別の町で子供達の安全を守る為に活動してたらしいが

ちょっといきすぎた正義感のせいで町を追放されてしまったようだ』


タカシ『そんなことが・・・』


担任『しかし彼はそれでも自分を正しいと信じている。

だから自分と同じ過ちを繰り返す人達を放っておけないんだろう。困ったものだな』


タカシ『それなら警察に任せればいいのでは?』


担任『それが前の町で悪いことした子供をこらしめるために彼が暴れてしまってな。

それを警察が止めに入ったが全員手がつけられなかった。

その結果子供は入院する程の大怪我を負ってしまった。

それ以降誰も彼に近づかなくなったんだ』


タカシ『酷い話ですね』


担任『ああ、だから彼をあまり刺激しないように頼むよ』


タカシ『わかりました』


そういうことだったのか。

一度火がついたら止まれないタイプってことだな。

警察でも手がつけられないとなるとどうすればいいんだろうな・・・




キーンコーンカーンコーン♪ 放課後になった。


ポコンは帰る準備をしている。


鈴木『おい、一緒に帰ろうぜ!』


ポコン『うん!いいよ!』


鈴木とポコンは並んで帰っていった。

鈴木のやつもう馴染んでやがる。

でも大丈夫だろうか・・・

俺はこっそり後をつけることにした。




しばらくすると2人は公園の前を通りかかった。


ポコン『ねぇ、鈴木くんは何か好きなことあるのかい?』


鈴木『そりゃもうアイドルを追いかけることさ!』


ポコン『へぇー、アイドルっていえば

ボクと一緒に転校してきたあの子もアイドルらしいね』


鈴木『そうなんだよ!ゆずぴぃっていって超絶美少女なんだよね!!

ファンクラブもあるし!』


ポコン『そっかぁ、アイドルを追っかけるって例えば

何をしてるんだい?』


鈴木『まあそうだな、グッズ買いまくったり

CD何枚も買って握手会に参加したりとかかな。

お金は掛かるけど彼女の笑顔の為だったら全然平気さ!』


するとその言葉にポコンがムっとする。


ポコン『むぅ~、親御さんからもらったお小遣いを

そんな無駄なことに使うなんて許せないよ!』


鈴木『は?お前に関係無いじゃん!』


ポコン『だってキミの彼女でもなんでもないし』


鈴木『お、お前に俺の気持ちなんかわかるか!

とにかく彼女はすげえかわいいから推せる!

それだけで十分だろ!ゆずぴぃのどこが気に入らないっていうんだ!?』


ポコン『そうやって現実から逃げてばかりではダメだよ!

もっとちゃんとした目標を持って生きていかないと!』


鈴木『うっ、うるせえ!』

鈴木はポコンの胸ぐらを掴んだ。


タカシ『(ま、まずい・・!)』

タカシは急いで現場に向かった。


タカシ『お、おい!喧嘩はやめろ!』


鈴木『田端、止めんじゃねえ!こいつが

ゆずぴぃのことを悪く言うからだ!!』


ポコン『いい加減目を覚ましなよ・・・』

ポコンは鈴木の腕を捻じ曲げた。


グググ・・・!


鈴木『ぐわぁ・・・!!』


ポコン『現実からの逃避はやめようね?わかった?』

ポコンは去っていった。


タカシ『おい!鈴木!大丈夫か?』


鈴木『ああ、なんとかな・・

くそ!あいつだけは絶対許さない・・・』


タカシ『お前喧嘩売る相手は選べよ。

今日あんな騒動あったばかりだろ?』


鈴木『すまん、ゆずぴぃを侮辱されて

つい頭に血がのぼってしまってた・・・』


タカシ『まあいい、今日は帰って頭を冷やせ』


鈴木『そうさせてもらうよ・・』


その晩タカシは家で考え事をしていた。

タカシ『今度あいつに話かけてみるか・・』


---次の日 教室に入るとポコンとゆずちゃんが話していた。

ゆず『おはよう、ポコン君!』

ポコン『おはよう!えっと、ゆずちゃんだったっけ?』

ゆず『あ、名前覚えててくれたんだね!』

ポコン『クラスメイトなんだから当たり前だよ』



タカシ『おっす、鈴木』


鈴木『おう、田端。昨日のことは誰にも言ってないだろうな?』


タカシ『言えるわけないだろ・・・』


鈴木『それにしてもあいつゆずぴぃと気安く話しやがって!』


タカシ『まあまあ、怒らすとやばいからあんまり刺激するなよ?』


鈴木『わかってるよ』


タカシ『それならいいけど』


様子を見るとゆずちゃんは自分の席に戻っていた。


タカシ『花森さん、おはよう』


ゆず『あっ、田端くんおはよー』


タカシ『ねぇ、さっきはポコンと何話してたんだ?』


ゆず『別にたいしたことじゃないよ。ただ挨拶しただけ』


タカシ『そっか・・・』


タカシは少し気になったがこれ以上追求するのはやめておいた。


放課後

俺はまたポコンの後をつけていた。

するとポコンは公園に入った。

そこにはタバコを吸っている学生3人が居座っていた。


ポコンは3人の元に向かう。


ポコン『あーー!!学生なのにタバコなんか

吸っていけない子だなぁ!』


不良A『なんだ、テメェ?』


ポコン『ボクはそういう悪いことが許せないんだ!』


不良B『チビの癖に説教かよw』


不良C『調子乗ってんじゃねえぞオラァッ!』


ブンッ! 



パシッ!

突然不良が殴り掛かったと思ったら

その手を受け止められていた。


不良C『なに!?』


ポコン『馬鹿だなぁ、キミ達がボクに勝てるわけないのにさ』


俺はその様子を見て驚いた。

あの小さなな身体のどこに

あんな力があるのか。



ポコン『えいっ!!!』

ドン!!

ポコンは不良をぶっ飛ばした。

その勢いで他の2人もボコった。


ポコン『もうタバコなんか吸っちゃダメだよ!いい?』


不良達『ひぃ!?化け物だぁーー!!』

不良達は去っていった。


タカシ『お、おい!ポコン!』


ポコン『あ、タカシ君じゃないか!』


タカシ『見てたよ、お前凄いんだな』


ポコン『ボクね、悪い子を見ると放っておけないんだ』


タカシ『それはいいことだな』


ポコン『ありがとう』


タカシ『いつもこういうことしてるのか?』


ポコン『まあね』


タカシ『なんでそんなことするんだ?』


ポコン『この町の平和を守る為だよ』


タカシ『そっかぁ・・俺時々正義って何なんだろうなって

思うことが有るんだけど、ポコンはどう考える?』


ポコン『うーん、難しい質問だね・・・』


タカシ『例えばこの世に悪者がいたとする。

でもポコンはそいつを本当に悪人だと思う?』


ポコン『悪いことをしていたらそれは悪人だね』


タカシ『そうだね。じゃあ仮に自分の大切な人を人質に取られて

悪事を手伝うように強要された場合は?』


ポコン『・・・・』


タカシ『もしもの話だけどね』


ポコン『そういうケースも考えられるかもね・・・』


タカシ『色々考えてみることも必要かなと思うんだ』


ポコン『なるほどね・・・キミの意見もごもっともだと思うよ。

でもボクはボクの信じる道を行くだけだから』


タカシ『そうか・・・』

(こいつなりに信念を持って行動しているんだろう)


タカシ『そろそろ帰るか』


ポコン『うん、じゃあね!』

プシューー

そういうとポコンは背中からジェット機みたいなものを出して飛び去って行った。


タカシ『・・・あいつ空も飛べるのかよ』

タカシは家に帰って考えた。

タカシ『あいつの言ってることは一理ある。

俺だって自分が正しいと思ってることをやってる。

正しいと信じた道を突き進むことが大事なのかもしれないな』


数日後、

休み時間にて

ヒソヒソとクラスの女子たちが話をしていた。


『なんかゆずちゃんって愛想悪いよね』


『ほんと、アイドルだからもっとノリがいいと思ってたのに』


『私ちょっと苦手なタイプ』


『ねぇ、ポコン君に聞かれたらやばいよ・・』


タカシはその会話を聞いてしまった。

タカシ『まずい、このままだとクラスの雰囲気が悪くなってしまう・・・』

タカシは心配になった。


タカシ『何かしてやれることはないだろうか・・・』

タカシはゆずちゃんに話しかけることにした。


タカシ『花森さん、おはよう』


ゆず『あ、田端くん。おはよう』


タカシ『最近みんなとあまり話してないけどどうかしたの?』


ゆず『別に・・・特に何もないよ。気にしないで』


タカシ『そうなのか?もしかしてアイドル活動大変だったりとか・・・』


ゆず『えっ・・・どうしてわかるの?』


タカシ『なんか元気なさそうに見えたし、

それにみんなと話してるときより笑顔が引きつっているように見えたからさ』


ゆず『すごい観察眼だね・・・。まぁ正解といえば正解なんだけど』


タカシ『やっぱり大変なんだな。よし!俺が相談に乗ってやるよ』


ゆず『本当!?実は学校で悩みがあって困っていたところなんだ。

良かったら聞いてくれる?』


タカシ『もちろんだよ!なんでも言ってくれ!』

タカシ(これで少しはクラスの雰囲気が良くなれば良いのだが)


タカシは放課後カフェで話を聞いていた。


タカシ『花森さんはどうしてアイドルを目指そうと思ったの?』


ゆず『最初はお母さんの影響で始めたんだ』


タカシ『そうなんだ』


ゆず『だけど、やってみると意外と楽しくて、

ファンの子たちに感謝されるのが嬉しくってね。今では結構楽しんでやれてる』


タカシ『そっかぁ。それはよかったな』


ゆず『うん!それでね、最近はテレビにも出るようになってきて嬉しいんだけど、

その分学校では色々言われることも多くなってきたんだよね・・・』


タカシ『たしかにあれだけメディアに出てればアンチも多いだろうな』


ゆず『うん、正直疲れる時もあるんだけどね・・・。

でも、わたし頑張るって決めているんだ。

これからも応援してくれる人たちのためにも一生懸命頑張っていくつもりだよ』


タカシ『偉いなぁ・・・』


ゆず『ありがとう。田端君はどうなの?将来やりたいこととかあるの?』


タカシ『俺は将来警察官になりたいと思っている』


ゆず『へぇ、なんでまたそんなことを?』


タカシ『世の中には力を持った悪人がたくさんいるんだなってね。

そういう奴らを取り締まるには警察という組織が必要だと思ったんだ』


ゆず『たしかにそういう人たちは怖いね。』


タカシ『あとはあいつの影響かな』


ゆず『あいつ?』


タカシ『ポコンだよ。最初はただの危ないやつだと思っていたんだ。

でも、話していくうちに色々考えることが増えてきてね。

今はまだ漠然とした考えだけど、いつかはポコンのような正義感を持った大人になるのが夢なんだ』


ゆず『そっかぁ、たしかにポコン君優しいよね。

学校でも唯一話相手になってくれたし。

あの子もきっと素敵な人になれるよ』


タカシ『俺もそう思うよ。あいつなら絶対に大丈夫だと思う』


ゆず『二人とも仲良しだね!』


タカシ『いやー、あれは仲いいって言うんだろうか・・・』


ゆず『あははっ!確かに仲良く見えるかもね』

タカシ(こうして話していると普通の女の子に見えるんだけどな)


タカシ『花森さん、俺に出来ることがあったらいつでも相談に乗るからな』


ゆず『本当に!?ありがとう!

それじゃ、早速一つお願いがあるんだけどいいかな?』


タカシ『おう!なんでも言ってくれ』


ゆず『実は最近仕事が終わった後誰かに後をつけられている気がするんだよね・・・』


タカシ『え!?それは本当かい?』


ゆず『うん・・・。

家に帰るときとか夜遅くなったときにつけられているような感じがして怖くて・・・』


タカシ『うーむ・・』

タカシ(まさかストーカーか?)


タカシ『わかった。俺が護衛してやるよ』


ゆず『ほんと?それは助かるよ!』


タカシ『まかせとけ!こう見えても腕っぷしには自信があるんだ』


ゆず『頼もしいね!よろしくね田端くん』


タカシ『ああ、こちらこそだ』


タカシはゆずの護衛をすることにした。

そして数日後の夜・・・


ゆず『今日も無事に帰れたね』


タカシ『今のところ何もないな』


ゆず『このまま何事もなく終わればいいんだけどね・・』

すると後ろに人の気配を感じた。


タカシ『後ろから誰か来るぞ!』


ゆず『え!?』


タカシは背後に振り返った。

しかし、そこには誰もいなかった。


タカシ『おかしいな・・・、見間違いだったのか?』




するとまたもや後ろに

人の気配を感じる。



タカシ『!?』




すかさず後ろを振り向くとそこには女子高生くらいの少女が立っていた。

顔にはニキビがあり、髪がボサボサでいかにも不潔そうな印象を受ける。

少女はニヤリと笑いながら言った。







少女「み~~た~~~な~~』

そういうと少女の体がグネグネと変形し始めた。


タカシ『うわあああ!!』

タカシはその場から逃げようとするが足が動かない。

その間にも少女の姿が変化していき、ついには異形の存在へと変貌した。





怪人コウシエン『コウシエーーン!!』

化け物はユニフォームのような衣装と手にバットを持っている。


タカシ『なんだこいつ!?』


ゆず『いやあぁぁぁぁぁぁ!!!』


タカシ(やばい、もうだめだ。俺はここで死ぬんだ・・・)



怪人は手に持っていたバットを思いっきり振り下ろしてきた。

タカシ『ひぃ!!』

ブンッ!!






その時だった。






??『危ない!!』

バキィ!!





誰かが怪人に蹴りを喰らわせて吹き飛ばした。


ズドオオオオン!!





タカシ『だ、誰?』

そこにいたのは高校生くらいの少女だった。


少女『大丈夫?怪我はない?』


タカシ『は、はい。なんとか』


ゆず『あなたはいったい・・・』


少女『知り合いからこの辺に禍々しいオーラを放つ怪物がいるって聞いてね。

いてもたっても居られなくなって来ちゃったよ!』


タカシ(なんだこれは・・夢でも見ているのか?)


少女『さぁ、ここは危ないから早く安全な場所まで避難して!』


タカシ『わかりました。花森さん行こう!』


ゆず『は、はい!』


二人は急いでその場から離れていった。


少女『さぁ、かかってきなさい化け物め!』


怪人『コウシエーーン!!』


少女『もう喧嘩はしないと誓ったけど

アンタみたいな化け物がいるなら話は別よ!』


怪人『コウシエーーン!!』

ドカン!!ドカン!!

怪人は手当たり次第に周囲のものを壊し始めた。


少女『やめなさい!!』


そう言うと少女は飛び上がって回し蹴りを放った。

ドゴォン!!!!

凄まじい音とともに怪人の体にクリーンヒットする。


タカシ『おぉ!!決まった!』


ゆず『すごい・・・』



しかし怪人が少女の足を掴み、そのまま地面に叩きつけた。

ズガァアァン!!!


少女『きゃあああ』


タダシ『ああ!!』


少女『くっ!なんて力してんのよコイツ』

少女は立ち上がり再び攻撃を仕掛けようとした。


少女『これでどうだ!』

今度はアッパーカットを繰り出すが空を切り、逆にカウンターでパンチを受けてしまう。

バシィ!!


少女『ぐふぅ・・・』

そしてまたもや壁に激突してしまう。


少女『げほっ!ごほぉ!』


怪人『コウシエーーン!』


少女『こいつ・・強い・・!』


タカシ(このままだとあの人が殺されてしまう・・・)








すると

??『えーーい!!』


プワプワプワ~~

突然黄色いビームが怪人に命中した。

怪人に命中し、吹っ飛ぶ。


怪人『コウシエーーン!?』





そこにいたのはポコンだった。


ポコン『おまたせ、遅くなって悪かったね!』


少女『ポコンちゃん、来るのが遅いのよ!』


ポコ『ごめんねー』


タカシ『ポコンじゃないか!』


ゆず『ポコン君!』


ポコン『あれぇ?タカシ君とゆずちゃんじゃないか、何してんの?』


タカシ『それはこっちが聞きたいよ!』


少女『話はあとよ、ポコンちゃんが来ればこいつは何とかなりそうね』


ポコン『任せて!』


そういうと怪人に向かっていった。

ポコンは再び頭のアンテナからビームを発射する。


ビューーーーン!!

怪人『コウシエーーン!!』

ポコンの放つ光線は怪人の体を貫いていく。

すると怪人の動きが止まった。



少女『とどめよ!』


少女は高くジャンプをしてキックを放つ体勢に入った。


少女『必殺!!ミサキーック!!』

ズドォオオオン!!!


怪人『コウシ・・・』

ドガーーーン!!


怪人は爆殺した。



少女『やったわ!』


タカシ&ゆず『やったー!!』

タカシ(しかし、本当に現実か? まるでゲームの世界にでも迷い込んだみたいだ)


ポコン『二人とも無事だったかい?』


ゆず『うん、ポコン君とお姉さんとっても格好良かったよ!!』


タカシ『あぁ!あんな化け物を倒すなんてすごいよ!』


ポコン『良かったー。それにしてもキミ達に正体がばれてしまったみたいだね』


タカシ『どういう意味なんだ?』


ポコン『実はボク達、ああいう悪いヤツを懲らしめるために戦っているんだよ!』


ゆず『そうだったんですね!スゴイです!!』


少女『私もちょっと前に偶然ポコンちゃんと

出会って意気投合したのよ』


タカシ『そ、そういうことだったのか』

タカシ(ますますわけがわかんなくなってきたぞ・・・)


タカシ達はしばらく歩き続けた。


ポコン『正体がバレちゃったしボクはもうあの学校にいられなくなっちゃうかな』


タカシ『え、なんでだよ!俺達秘密は守るって!』


ゆず『そうだよ!』


ポコン『タカシ君ゆずちゃんありがとう。それじゃあ最後にこれだけは言っておくよ』


タカシ『ん?なんだ?』


ポコン『自分の夢を大事にしてね! いつかきっと見つかるはずだよ。叶えられるはずさ!

あと、鈴木君にも悪いこと言っちゃったから謝らないといけないね』


タカシ『わかったよ、ポコン!』

タカシ(俺の夢・・・か)


少女『私もね、ある人を待ち続けているの。

その人が帰ってくるまで町の平和を守るんだ』


ゆず『そうだったんですね・・・

会えるといいですね!』


少女『うん!それじゃあ私達はこれで失礼するわ!』


ポコン『バイバーイ!』


ポコンと少女は2人はどこかへ去っていった。







そして次の日からポコンが学校に来ることはなかった。


タカシ『あいつ・・・』


休み時間、鈴木に声を掛けた。


タカシ『よう』


鈴木『田端、どうした?』


タカシ『憧れのゆずちゃんには声掛けないのか?』


鈴木『あぁ・・・こんだけ近くにいるとなにかが違うというかさ・・・

応援席から見るゆずぴぃの方が可愛く感じるっていうか・・・』


タカシ『お前、贅沢だな』


鈴木『まぁいいや、それよりポコンのやつ来ないな』


タカシ『あぁ、あいつお前にこの間は言い過ぎたって謝ってたぞ』


鈴木『マジかよ!?アイツ謝罪できるんだな』


タカシ『あいつは言うほど悪いやつじゃないんだ』


鈴木『ほんとかねぇ・・・』


そして放課後、タカシが教室を出て帰ろうとした時 後ろから声をかけられた。


ゆず『タカシくん!』


タカシ『おう!どうした?』


ゆず『今日は一緒に帰れるよね?』


タカシ『ああ、いいよ』


ゆず『やったぁ!』



そして帰り道


ゆず『タカシくん、私あのお姉さん見て思ったんだ』


タカシ『何を?』


ゆず『私、あの人みたいに強くならなきゃって』


タカシ『え!?』


ゆず『だって困っている人を助けるんでしょ?格好良いよ!!』


タカシ『ははは、そうだな』


ゆず『だから、私も頑張ろうと思う。

これからもよろしくね、タカシ君!』


タカシ『ああ!』

タカシ(俺はこの笑顔を守りたいんだ)


タカシ『よしっ!俺達の夢を叶える為に前へ進もう!』


ゆず『うん!』


2人は笑っていた。

いつかポコン達の夢叶える為に。

END

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