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プロローグ
この世界は三界によってなり立っていた。
それは「天界」と「下界」と地獄。
史実の様に、伝承や記述によって伝来し、あたり前に下界の人々に言い伝えられた。
大陸の基盤となったその考えは、いくつかの系統を経て形は変わったが、根本は大きくは変わらない。
だが、源流として謳う大陸随一の宗教。
その経典には他には見られない記述があった。
『曰く、天界に御座す神々は、新たな神の継承儀式として、下界の大地に立ち、彼の大戦をなぞえて六片の英雄を求めし旅路に出る』
唯一神をあがめる者からしたら怒髪天を衝く話ではあるが、これは事実であった。
新たな神を決める儀式。
そして、今ここに新たな旅路に出んとする若葉が二つ。