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腰・肩・首・目が痛い。体中が痛い!

そういえば最近は、ハードカバーの本を1冊読んだ記憶がないな。

「ルシャル~。やっと戻ったわね。


もう何回声かけても反応がなくて、すごい勢いで本を読んでたわよ」


あーまたやっちゃったか。


私は小さいときから、何かに夢中になるとそればっかりになっちゃうことがある。


たまにね。たまにだよ?


でもこの本、面白かったなー。


怪人豚男がカッコ悪くて最高だった。


あれ、表紙が青くなっている。受け取ったときは赤かったのに。


なんかマズイことしちゃったかな?


「いいのよ。表紙が青くなった本は読み終わった証拠。


あなたに差し上げるわ。


それでその本はどこが面白かった?」


「は、はひ。


えーっと。魔法で王子様に変わった豚男が、悪役令嬢にもらわれていくのが面白かったです。


最後に出てきたドラゴンステーキって、やっぱり不死身の魔王のアレですよね?」


私は突然うしろからレイティアおねえさまに声をかけられ、ビックリしてさっき読んだばかりの本「恋の宙返り・豚男にキスはなしよ?」について熱く語ってしまった。


「ふふふ、その伏線に気づくのは大したものね。


ちゃんと読んでくれてうれしいわ。


こちらもおススメよ。


身体が痛いなら、回復魔法をかけてあげるね」


そういってレイティアおねえさまは美しく微笑み、また別の赤い本を渡してくれた。


「あ、ありがとうございます!」


私の体がホワンと一瞬淡く光ったと思うと、さっきまでの痛みが嘘のようになくなった。


やっぱり魔法ってすごいなー。


周りから『レイティアおねえさまに感想を聞かれたわ』『しかも回復魔法まで』『あの女何者?』とかの声が聞こえたような気がするけど、きっと気のせいだよね?


さあ、次はどんな本かな?


今度はちゃんと座って読まなくちゃね。


私は座りながら本の表紙を開き・・・。


ボスン、とクッションに座り込んだ。


「あ痛たたたた!また痛い!どうして!?」


クッションに座り込んだとたん、また腰・肩・首・目が痛い。体中が痛い!


「…ルシャル、あなた大丈夫?」


またお姉ちゃんだ。


でもいつもの「ちょっと変な妹を微笑ましく見る」という感じの視線ではなく、なんていうか本当に「家族ではない変な人」を見るような目つきをしている。


「お姉ちゃん、また痛いよ。体中が痛いの」


「…でしょうね。あなた、ついさっきまですごく変な恰好で夢中になって本を読んでいたのよ?」


「え、変な恰好?」


「何というかクッションに座る直前みたいな、体が宙に浮いた感じね。


その変な姿勢でずーっと本を読んでいたの。


ものすごい速さで。


私が話しかけても、まったく反応がなくて…我が妹ながら、ちょっと気持ち悪かったわ」


ええええ、ひどい!


お姉ちゃんヒドイ!


こんなに可愛い妹なのに!


私は2冊目の青い本を胸に抱きながら、体の痛みに耐えて「可愛い妹」アピールをしてみた。


でもなんかお姉ちゃんだけでなく、周りの女の人の私を見る目がちょっと変だった。気がした。

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