まぼろしだよ
エンドロールは
いつも
言葉足らずの愛をつかって
すべて
終わったように見せかける
よくあるSFみたいに
タイムリープした場所で
光線 緑・赤・黄
輪郭は夜の
ねばついた空気でつくろう
分解して再構築する
わたしを
再生産する
夜に
街の浅い場所で月と踊り
軽い鋼鉄製のからだを炭素で蹂躙しよう
生きとし生けるものみなすべて
細胞から生じ
鉄のなかに沈む
この鉄の街で
わたしが在る可能性の
ふたしかなぶんだけひずむ
世界とは認識であり
認識とは結果である
透明な水で洗い流す穢れ
時間がいま、ここに佇み
巻き戻さるる果てにわたしの影があった
まだ皮膚をもっていたころ
タイムリープした場所で
昨日見た夢を思い出している
肉体だ
いくらでもあるSFのように
それはまぼろしだよ