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第9話

 隣のね~ちゃんが怪訝げな顔をしてオレの方を見てる。

 なにやら居たたまれない。


「テヘッ☆」


 とりあえず笑ってごまかしてみる。


「お前は良く分からない性格しているな。悲しんでいるようには見えないのにあんな行動を起こすし……」


 これは少し目を光らせておかないとダメだね、なんて呟きが聞こえる。

 なんか変な誤解を受けているようだが、とありあずはあのボスをなんとかしないと。

 おっ、通常攻撃は、杖がなくても発動できるのか。


 オレの前方に火の玉のようなものが浮き上がる。


「お前、それは何?」

「えっと、魔法、ですけど?」

「魔法? バカにしているのか?」


 ええっ、魔法、ないの?

 そういや、前回の戦闘でも魔法みたいなのを使っているのは見なかったな。

 ないのか、魔法、この世界には。


 じゃあ、この魔法職なんだよ!?


 なんで魔法が存在しない世界なのに、魔法が使えるクラスがあるの?

 そういやもう一つの職はガンナーっぽかったな。

 うん、どう見ても、銃なんてありそうな文明じゃない。


 宇宙人さん、世界観、ぶち壊しッスヨ?


 まあ、今は言い争っている時間はない。

 出来上がった火の玉を敵のボスに向かって飛ばしてみる。

 当たった瞬快、小規模な爆発を起こす。


 だが、ボスさん、平気な顔をしております。


 やっぱ杖がないとダメージにならないかぁ……

 それでも数撃ちゃ多少はマシだろうと、何度も作っては投げる。

 どうやらこの火の玉、いくつかストックできるようで、複数同時に発射できる。


 そうすることで多少ダメージが上がっているようだ。


 また、作ってから発射するまでの時間が長ければ長いほど威力も上がる。

 色が最初は赤色だが徐々に青色に近づき、最後は真っ白になる。

 そこまでチャージすれば、杖なしでも多少はダメージになっているようだ。


「人間はカラクリを作るのが上手いと言っていたが、なかなか面白いものを作るんだな。ソレ、私でも使えるか?」


 いや、無理なんじゃないですかね? だってカラクリじゃありませんし。


 敵のボスは全身甲羅で覆われたずんぐりむっくりなタイプだったので、足が短く移動は遅い。

 近づくまでに結構、攻撃を与えられたのだが……ピンピンしております。

 まあ、モンスターは見た目じゃ、どれだけダメージが入っているかは分からないんだけど。


 いよいよ山頂にまで近づいてきたので、エフェス様が槍を構える。


「お前は良くやったよ、後は私に任せな」


 そう言って飛び出す。

 ボスの胸に飛び込み、槍を突き出す。

 硬い甲羅を貫き、串刺しにした。


「ムッ、見た目ほど硬くはないのか?」

「油断しないでください! そいつらは見た目通りにダメージは入ってないです!」


 どんだけ体を貫こうが、首をかき切ろうが、一定のダメージを与えないと倒せない。

 見た目は本当に唯の飾りだ、倒れる寸前まで一切の傷を負う事もない。

 とはいえ、それがうまく伝わるはずもなく、油断したエフェス様はボスのカウンターを食らって吹き飛ばされる。


「くっ、なんだと!? あの攻撃でもダメージになってないのか?」


 オレは急いで、ボスの顔めがけて火の玉を撃ち込む。

 その目くらましが功を奏したのか、追撃を受けることなく距離を離すエフェス様。

 今度は慎重にヒットアンドアウェイでボスの体力を削っていこうとするが、逆に何度も反撃を受け、結構な傷を負っていく。


 あのボス、動きは鈍いが、きっちりカウンターを決めてくる。


 攻撃の瞬間にはどうしても隙が出来る。

 バカでかい体力でごり押しして、多少体を貫かれようが、そのまま反撃を加えてくる。

 現実で、あんなゲームみたいな戦い方をされると、戦いなれた戦士でも苦戦は免れない。


「ハアッ、ハァッ、クソっ、どうなってやがるんだ!?」


 オレは慌ててエフェス様の元へ近寄る。


「何をしている、こっちに来るんじゃない!」


 そして、回復薬を渡そうとボールを開く。

 ……なんだコレ? サンドイッチ?

 と、開いたのだが、出てきたのはペットボトルではなく、様々な具材が挟まったサンドイッチであった。


 なんでサンドイッチ? 場所によって物が変わるのか? いやそれより……これも不味いのか?

 飲み物ですら厳しいんだ、食べ物だと……

 恐る恐るソレをエフェス様に差し出す。


「お前……」


 なにやら感動した面持ちでオレの方を見てくる。

 いや、そんな感動するようなものじゃないんで。

 むしろ、怒られそう?


 エフェス様がそれを手に取る。


「うむ……旨いな」

「えっ?」


 オレもちょっとかじってみる。

 おっ、なかなかのお味じゃないか。

 なんで?


 最後にポンポンとオレの頭に手を乗せた後、ボスに向き直る。


 アレ? 傷が、治ってない?

 エフェス様の傷がまったくといっていいほど治っていない。

 コレ、回復薬じゃないのか?


 本当に、唯の食べ物。


 あっ、もしかして、イージーモード……

 よくあるゲームでは、難易度によって落ちるアイテムが変わってくる。

 より難しい難易度の方がいいアイテムが落ちるのだ。


 という事は、回復薬が落ちるのはノーマルモードから……?

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