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第6話 ゲームシステム

 徐々に視界に光が戻ってくる。


 画面には大きく『GAME OVER』と表示されている。

 ゲームオーバーって言う文字は宇宙共通なんかなとボ~としながら考える。

 ハッと思いたって周りを見渡した。


「ここは……戻って、これたのか?」


 ゲームが始まる前の、自分の部屋に戻ってきていた。

 あの子は……助かったのだろうか?

 ふと、部屋が随分薄暗い事に気づく。


 窓の外を見ると、すっかり日が落ちている。


「今までのは全部、夢……という訳じゃないよな?」


 時計を見てみると、ゲームを始めてからおよそ12時間ぐらいが経過していた。

 向こうでいたのと同じぐらいの時間が経っているようだ。

 オレは慌ててパソコンを立ち上げ、このゲーム機の転売元のページを開く。


『出品内容に規約違反が見られたため、アカウント停止処置をとりました』


 転売ヤーめっ、ざまあみさらせ!

 って、そうじゃない、これじゃ、これがなんなのか分からずじまいだ。

 そうだ、送り状に住所が乗っているはず!


 …………送付元が乗ってねえ、これ、違反じゃね? ああ、だからアカウント停止されたのか。


 ネットで色々検索かけてみたが、オレのような体験をしたという書き込みは見られない。

 これはいったい、なんなんだ?

 とりあえず紙に書いてまとめてみる。


 ・最初にキャラクターを作成する。

 ・作成したキャラクターでスタートすると、実際にゲームの中に入り込んでしまう。


 自分の意志で、自由に動ける完全バーチャルリアリティーなゲーム。

 ロールプレイングゲームが目指す、最終形態。

 ゲームの中のキャラを脳波で操っているようなものだ。


 そして中に入ってからのシステムは、


 ・痛みは感じない、疲労、空腹、眠気なども発生しない。

 ・モンスターは実体がないようで、血が噴き出したり、部位が欠損したりもしない。

 ・それはまた、自分自身も同じである。

 ・ただし、モンスター以外の人間は、普通に怪我もするし物も壊れる。


 最後に、


 ・ゲームの中で死ねば元に戻ってこられる。


 という事か。

 まあ、ゲーム内で死ねば、現実でも死ぬなんてデスゲームじゃなかったのは幸いか?

 問題はだ、あの世界が本当にゲームデータであったかだな。


 もし、現実として存在している、他の惑星か、あるいは異世界であったとしたら……

 あの美少女、あの後、助かったのだろうか?

 もう一度ゲームを始めれば、続きをみれたりするのかな。


「なにはともあれ、今は夜中だ。明日、起きてから考えるか」


 と、床に就いたのだが。


「寝られねえ……」


 目がさえて、全然、寝れそうにない。

 あの後、どうなったかというのが心配なのはもちろんあるが、まったく眠気が襲ってこないのはおかしい。

 もしかして、向こうに行っている間、こっちの体は時間停止でもしていたとか?


 そういや今日、昼も晩も飯食っていないのに腹減ってないな。


「仕方ない、やっぱ気になるし、続きをやってみるか」


 そう思い、ゲーム機を立ち上げる。

 さっき作ったキャラが選択できねえ……

 なにやらキャラクターがグレーになっていて、DEATHという文字が重なって表示されている。


 これ、死んだら、もう使えないのか?


 そういや、タイトルは読めない字なのに、それ以外は英語表記されてるな。

 タイトルに戻って画面をもう一度確かめてみる。

 やはり、見たことのない文字だ。


「ん? なにかボタンがあるぞ」


 ふと、タイトルの下にボタンらしきものがあるのに気づく。

 十字キーを押すと、そのボタンが点灯する。

 ×キーで選択する。(某ゲーム機は×が決定ボタンになりました)


『OPTION』


 という画面が表示された。

 そしてそこにはLangridgeという項目があり、選択がEnglishとなっている。

 ほうほう、もしかしてここを変えると日本語になったり?


 Japanieseという選択肢があったのでそれを選ぶ。

 すると文字が日本語になった。

 このオプションの画面では5つの項目を変えられるようだ。


 一つ目は先ほどの、言語だ。

 その次は、流血表現。

 そういや、アサシンなんちゃらさんでは、オンに出来なくて揉めてたな。


 なんでもリアル性を追及しているのに血が流れないのはおかしいとか。

 でも血が出るとむっちゃやりにくいぞ。

 今はオフになっている。まあ、オンにする必要はないな。


 というか、人間はドバドバ、血~出てたぞ?


 さらには痛覚。

 こっちはゲージ表現で、オフから超マックスまである。

 なんだよ超マックスって?


 だれがそれ選ぶんだ? きっとMなお方用に違いない。


 その次は保護モード。

 こちらもゲージ表現で、バーを移動させると謎の光が差し込み始める。

 もしかしてこれは……エッチなシーンに差し込む光を調整できたり?


 うむ、当然、オフだな!


 最後に難易度。

 イージーからヘルモードまで6段階ある。

 今は下から2段階目のノーマルモードになっている。


 これを変えると何が変わるのだろうか?

 敵が強くなる、というのは、NPCも戦うことを考えればないだろう。

 となると、自分が弱くなるか、アイテムの落ちる量が変わるか……


 とりあえずイージーに変更しておこう。


 オプションから戻り、キャラセレクトの画面に戻る。

 う~む、デス表示は変わらずか。

 おっ、新規作成のボタンがあるぞ。


 これで別のキャラを作ればいいのか?


 今度は魔法使いの職にしてみよう。

 それと見た目はなるべく今の姿と違うように。

 死ねば戻れる訳だが、ブレインロック現象という、夢の中で死ねば、思い込みによって現実でも死んでしまう可能性があるとか。


 ならば出来るだけ違う姿なら、それが起こる可能性も低いだろう。


 性別も変えて……年齢も変えて――――幼女が出来上がったぞ?

 まあいいか。

 そのままスタートボタンを押す。


 画面が真っ暗になる、そのまま何も映らない。

 いや、よく目を凝らすと、薄っすらと何かが映っているのが見える。

 それに意識を集中してみる。


 と、突然、照明の明かりが消える。

 なにやら、部屋中が闇に包まれたような気分になってきた。

 慌てて照明のリモコンに手を伸ばそうとしたところ、なにやらゴツゴツしたものに当たる。これは……木?


 ふと気づくと、真っ暗な森の中に立っていた。


 えっ、どゆこと? ココドコ? なんで森の中?

 もしかして、始めるクラスによってスタート地点が違うとか?

 えっ、あの後どうなった知りたかったら再ログインしたのに……これじゃ意味ないじゃないか!

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