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087 死のダンジョンはさっくりと

 


 ロッジを出してからは各自自由に過ごす。

 ばーちゃんの護衛の数人と、おっさんと子供達とピクシー=ジョーとシエナは岩側の探索に出た。


 あと、シェヘルレーゼとアーシュレシカが1体ずつ配下を出した。

 食事の準備やロッジの使い方の説明などをさせる用にとのことだ。


 俺はダンジョンに行ってみることにした。

 シロネとシェヘルレーゼとアーシュレシカとで。


「うわ、どくろっぽい入り口ッスね」


 まんまドクロに見える入り口がダンジョンの入り口らしい。

 誰か入ったあとの様なダンジョンだが、踏破されてはいないよう。


 ダンジョンにつくまで、たくさんのアンデッドに遭遇したが、【堅牢なる聖女の聖域】の結界に触れた途端魔石に変わった。


 物凄く相性が良さそうだったのでダンジョン行きを決めたが、まさかここまで相性がいいとは思わなかった。


 今回も楽に宝箱集めが出来そうだ。


 ダンジョンに着いたらわらわらとダンジョンから出てくるアンデッド。

 それを【堅牢なる聖女の聖域】を広げることによって魔石へと変えていく。


 シロネが俺の護衛をして、シェヘルレーゼとアーシュレシカが魔石やアイテムを拾う係となった。

 二人は【アイテムボックス術】が使えるので、アイテムを回収するのにいちいち体を屈めて拾い集めなくていい。


 子供達もダンジョンに誘ったんだけど、アンデッド系のダンジョンと知ると拒否された。

 気持ち悪いらしい。

 あと食べる系の魔物がいないというのも楽しくないポイントっぽい。

 それに俺が結界一発で全部魔石に変わることも予想できたようで。


 ばーちゃんは配下久遠の騎士とともにロッジに待機。

 心配されたが、たまたまロッジ近くまで来たアンデッドを一発で倒したら後は何も言われなかった。

 スマホを渡したので、それでしばらくはばーちゃんもキャッキャしていられるだろう。


 ダンジョン内はアンデッドだらけだった。

 もうウジャウジャギュウギュウ。


「「うわぁ…」」


 俺とシロネのドン引き声がハモった。


 これは例のごとく階層全体を結界でヤッちまった方が良いな。


 そして【堅牢なる聖女の聖域】を1階層分広げた。


「あ、ほとんどの気配が無くなったッスね。自分がわかる範囲では何もいなくなったッス」


 レベル1000超えのシロネの索敵の精度は高いのでその言葉で安心。

 俺の【堅牢なる聖女の聖域】の感じでも何もいないと思う。


 なのでダンジョンを進むことにした。


「くっっっさ!」


 アンデッドの後に残っていたのは魔石とドロップ品だけじゃなかった。

 残り香もしっかりあった。


 もう一度【堅牢なる聖女の聖域】を掛け直す。

 今度は消臭効果を上乗せして。


 すると匂いは全く気にならなくなったので、宝箱探しだ。


 シェヘルレーゼとアーシュレシカはドロップ品集めで、俺とシロネが宝箱探し。


 宝箱探しはまた【聖女の輝道】の上を行けば問題なく辿りつける。


 このダンジョンの1階層は入り組んだ洞窟型なので、ちょっと歩きにくい。

 範囲も広いみたいだった。

 島の下がそのままダンジョンになっているような。

 結構広い島だったからなー。


 また何日もかかるかもしれない。



 宝箱は1階層にも関わらず、結構あった。

 探索などはされてなかったらしい。


 溢れるくらいアンデッドがいたから、探索はままならなかったのかもな。


 2階層、3階層と同じように進んでいく。

 なれて来たので一気に10階層まで結界の範囲を広げた。


【堅牢なる聖女の聖域】は聖域と名がついている通り、聖域結界なので、聖属性。闇属性にはかなり有効らしく、結界を掛けた後にアンデッドにも闇属性魔物にも遭遇していない。


 海底ダンジョンの時はまだ生きてる魔物もいたんだけど、ここでは【堅牢なる聖女の聖域】がめちゃくちゃ効果絶大らしい。


 ボス部屋っぽいところも、魔石とドロップアイテムがごろっと落ちてるだけだし。


 10階層までくねくねギザギザな道が続く。

 11階層からも同じだった。


 10階層ごとにボス部屋というのは海底ダンジョンや聞いた話では他のダンジョンでも同じらしい。


 景色も大体変わるみたいな話を聞いていたのだが、このダンジョンは変わらないようで、そのまま50階層まで来てしまった。


【聖女の輝導】と【アイテムボックス術】が便利すぎて、一日で50階層来ちゃったよ…。


 しばらく運動らしい運動してなかったからいいウォーキングにはなったと思う。


 一旦【聖女の願扉】でロッジに帰ることも考えたが、このままダンジョン内に泊まることにした。


 そうして数日ダンジョン内で生活し、一日あたり物凄いスピードでダンジョン攻略したら、200層を突破したら入り口に戻ってきてしまった。

 入り口のどくろも入る前よりいくぶん和やかな雰囲気となり、踏破済みダンジョンとわかる印が出ている。


「なんか、呆気なかったな」


「そうッスか?結構あったと思うッスけど」


 シロネが疲れた感じで言う。

 でも本当にただ歩いて宝箱探していただけなので、呆気なかったというコメント以外出てこない。


 ハラハラドキドキ展開なんて一切なかったし、レベルだってひとつも上がってない。

 スキルだって……………。


 ん?なんかある。


 魔物どころか虫一匹すら倒してないのにスキルが生えていた。


【付与魔法】?


 マモルが使ってたやつと同じやつか!

 便利そうなやつ!


 でも使える魔法が少ない俺にとって使い勝手が良いかと言われるとそうでもない。


 もしかしてシェヘルレーゼとアーシュレシカだったら、基本属性魔法が使えるから、この【付与魔法】がいい感じに使えるかもしれない。


 うん、きっとそうに違いない。

 そういうことにしとこう。


 ダンジョンにいる間は日に何度かばーちゃんに連絡していたので、安否確認は出来ている。

 けど実際本人を見るのとは別なようで、ロッジに戻ったら過剰に心配された。


 ばーちゃん達は何度か森側からの使者より接触があったらしいが、証文を盾に全ての提案を拒否。

 急に手のひらを返されても今さらだもんな。

 それに散々人種差別的な事を言われた後だし。


 岩側は子供たちとピクシー=ジョーによって魔物やアンデッドの類は全て駆逐されていた。

 ダメ押しにアンデッドを倒した後にきちんと燃やしたので大丈夫だと胸を張っていたので、子供たちの事は褒め、ピクシー=ジョーの事は労った。


 ダンジョンから溢れたアンデッドがポツポツとしか徘徊していなかったのは、夕方になると、島の岩側が、一度高波に襲われ、流されるからという報告も受けた。


 なので、島周辺には海の魔物も結構いるっぽい。

 アンデッドが落ちてくるのを狙って。


 アンデッドでも食料として需要あるんだと思ったのはアンデッドに失礼だっただろうか?



 とりあえずはこれで岩側は安全になったということでいいのではないだろうか。

 ダンジョンは全部の魔物を倒したと思うのでしばらくはダンジョンから魔物…というかアンデッドはあふれてこないだろうし。


 ってことは…


「することなくなったな」


「ひーまー」


「迎えの船いつくるのー?」


 俺の呟きにティムトとシィナが同意するように反応する。

 そしてアーシュレシカが解決案を出す。


「では、自前の船で海を渡ってしまいましょう。こんな事もあろうかと、購入していた船があります」


 なぜこんな事もあると思ったのか謎で仕方ないが、突っ込んだら負けなので何も言わないでおく。


 ちなみに最初から船を出さなかったのは一応周囲に気を使ったからということだ。

 周囲への気遣いという点は、シェヘルレーゼよりアーシュレシカの方が得意のようだ。


 島の周囲が浅瀬で船を浮かべることが出来ないので、久遠の騎士たちによって大型船が停泊出来るように整備される。

 魔法でガンガン作られる港。

 驚くばーちゃん達と偵察に来ている森側の人達。


 …ってか、俺らは森側に足を踏み入れてはダメなのに、偵察の人達はこちらの岩側に来ていいだなんてふざけてるね。

 あちらの言い分全て受け入れて文章にしたのでしょうがないけどさ。


 暗くなる前には立派な港が出来あがっていた。

 出発は翌朝にしようということに。





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