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059 コニーさんといっしょ

 


 治癒院兼孤児院を開院し、何故かコニーにめっちゃ怒られた日から早2週間。


 現在俺は、またしても何故か一緒にいるコニーと共に、バスの中。


「皇帝って暇なの?」


「忙しいわボケ!」


 言葉の悪いおじさんだな。

 子供相手に大人げない…。





 ネイルサロンは完全に夫人に丸投げし、めちゃくちゃ大繁盛している。


 ネイルもだけど、待ち時間に食べられるケーキセットが人気となっている。

 セット内容は「本日のケーキ」と「ドリンクバー」。


 ケーキは朝の内にアテナとダヴィデが手作りしたもの。

 ドリンクバーは【異世界ショップ】でドリンクバーの機材や中に入れるシロップなどを買って、ファミレスのごとく提供している。


 もちろん本格的なお茶を御所望なら、【異世界ショップ】産の茶葉も本格作法に則って提供している。


 アテナとダヴィデは親であるシェヘルレーゼとアーシュレシカが学んだ事はなんでも出来る。


 なのでネイリストとしてもパティシエとしてもバリスタとしても茶師としてもソムリエとしても活躍中だ。


 所作も一流で見た目も美しいので大人気。


 そんな二人の人気や物珍しさもあっての盛況ぶりだと夫人から報告が上がっている。


 治癒院兼孤児院も良い感じに世間に浸透している。

 今では腰痛関節痛神経痛はもちろん、ちょっとした怪我でも来院する人が増えている。


 銅貨一枚で治るなら、と。


 銅貨1枚すら払えない人は、治ったその場で銅貨一枚分稼いでもらっている。

 孤児院の子供が結構増えてきているのでその面倒を見るとか、掃除や洗濯、皿洗いなんかをしてもらう。


 子供たちには年齢に合わせて勉強を教えている。

 学べる事に子供たちは大喜び。

 文字に計算を基本に、やる気がある子には魔法や武術も教えることにしている。



 教会や人族至上主義の回復術師からは猛反発を食らったが、地域の方々からはそれほど反発はされていない。


 他の善良な回復術師にも何か言われるだろうと思っていたが、そうでもなかった。


 ウチの治癒院に入れない人がそれなりにいるので。


 なので客数に変化はあまりなかったようだ。

 住み分けみたいなのが出来てむしろ感謝された。


 うちの治療院に入れる人って基本スラムや貧乏人、獣人や亜人だし。


 冒険者ギルドでも感謝された。

 冒険者の人達は一応遠慮して来ないようにはしているらしい。

 けど一定数入れない人はいるものの、冒険者ギルドの回復術師が魔力切れなどで席を外している時など重宝されている。

 入れない人は大金払って教会の治療師にお世話になっているそうだ。




 で、話は飛んでしまったがこのおじさんこと北大陸大帝国の皇帝様であるコニーが何故俺と一緒にいるか。


 それは俺が貰った土地に行ってみると言ったら一緒に行くと言われ、断ったら泣き落としみたいな事されて仕方なく。


 ただの泣き落としなら無視したけど、たまたまいたハルトとマモルが「おじさん可哀想だから連れてってやれよ」みたいに同情的に言うので仕方なく。


 文官さんも、コニーの久遠の騎士の配下がかなり使えることがわかってからは顔色もよく、ご機嫌にコニーに息抜きを進言してきたので仕方なく。




 貰った土地までは馬竜馬車でひと月と言われた。


 それを聞いて急にやる気が無くなった俺だったが、アーシュレシカに車の速度と俺の【堅牢なる聖女の聖域】込みで計算したら2~3日で着くと言われたので頑張ることにした。


 頑張るって言っても俺は大型バスを【異世界ショップ】で購入してそれに【堅牢なる聖女の聖域】を掛けた後はただバスに乗っているだけ。


 あとはシェヘルレーゼとアーシュレシカの配下のどちらかがバスを運転し、どちらかがバスの走行に乱れがないように、土魔法で常に道を作ったり整えたり修復しながら突き進む。


 人の住めなくなった土地なんかはただまっすぐ道を作りながら進めばいいだけになったので、揺れることもない。


 おかげでコニーさえ無視すれば快適なバスの旅となっている。


 久遠の騎士達にとくに疲れはないが、バスに乗っているだけでも結構疲れる俺達は、所々でバスから降りて休憩を挟み、夜も外で野営だ。


 野営と言っても野営地に【異世界ショップ】で買った大きなコテージを出し、【堅牢なる聖女の聖域】を張ってそこで休む。


 今回は広いからコテージを使うが、それほど広くない野営地なら前に使っていたコットンテントを使う予定だ。

 と言っても道を作りながら進んでいるので、野営の際もコテージを出せるくらいの広い場所を作ればいいだけなんだけどね。


 コテージの中は既にシェヘルレーゼによって全て整えられた状態だ。


 俺達の身の回りの世話や給仕なんかも久遠の騎士達がしてくれるので何の苦もなく休むことが出来る。

 それにコニーの従者も久遠の騎士を除いて2人ほど付いてきているし。


「なんだかお前の久遠の騎士の方が俺の久遠の騎士より洗練されている気がする」


「夫人の教育の賜物だね」


「……そういうことか。で?今日の夕食はなんだ?」


 今日一日ですっかりジャンクフードの虜となった皇帝さん。


 朝は緑茶とおにぎりを食して見た目とおいしさのギャップに感動を覚え、昼はハンバーガーとポテトとコーラという背徳的なメニューのそのおいしさに腹いっぱいになるまでバカ食いしていた。


 結果、夕食に物凄く期待を寄せるコニー。


 そんな期待されてもなー。


「野菜の足りない一日だったのでお鍋にします」


 独断でメニューを決めた。

 野菜やキノコ、魚に肉という結構バランスのいいよせ鍋にした。

 豆腐や白滝も入れて締めにうどんをブチ込めば腹も膨れる。


 早速大きな土鍋を2つ用意して同じように具材や調味料を入れて煮込む。


 それを大人しく、興味深げに覗き込むコニー。


 海底にいる時なんどかお世話になったメニューなのでシロネも子供らも慣れっこで、久遠の騎士達がした準備したカットした野菜や食材を鍋に入れていく。


「随分豪快に野菜を使うんだな。だったらもっと品数を増やして華やかにすればいいんじゃないのか?こんな鍋ひとつにブチ込むなんてもったいなくないか?」


 野菜が結構貴重な帝国ではたとえ皇帝だろうともこの料理は贅沢に思えるらしい。

 もったいないとか言ってるし。


「帝国ではもったいないかもしれないけど、これは俺の地元で採れた野菜だからそこまで値の張るものじゃないよ」


「…おまえの【アイテムボックス】はどうなってるんだよ、全く」


【アイテムボックス】と言うよりは【異世界ショップ】にものをいわせた感じなんですけどね。


 なんだかんだと言って、おいしく煮えたお鍋はよほど気に入ったのか最後の締めまで、スープも全部飲みきるまでコニーはおいしそうに平らげた。


 ちなみに久遠の騎士達は食事は必要としない。

 強いて言うなら大気中の魔素だと言っていた。

 味わい、食べる事は出来るらしいけど、よっぽど食料が余って仕方ない状況でない限りはなるべく控えたいという謙虚さだった。




 爆走しつつ、たまに休憩を挟んでのバス旅2日で目的地付近に到着。


「この山から向こうの盆地、さらにはこの山を含む、盆地を囲う山々を含めお前の土地になる」


 地図を広げて教えてくれるコニー。

 山を含めると結構広い土地だが、農地として使えそうなのは山に囲まれた盆地。

 個人の土地としては広大だが、ここが昔どこかの貴族の領地と考えれば、あまり人は住めなかったんじゃないだろうかと思えるような感じだ。


 盆地部分は農地として使うとして、山も果樹とか植えたりしたら使えるかも?


 その辺はシェヘルレーゼ達の農業センスに任せよう。


「その前にこれだけの数の魔物がいるわけだが…ホントに豪農とかするのか?」


 ここまでの道中でも既に手がつけられないほどの魔物がいた。

 数はもちろん恐ろしいほどいたが、レベルも普通の高レベル冒険者では厳しいくらいの高レベルの魔物の群生地と化していた。


 それを【堅牢なる聖女の聖域】のゴリ押しでここまで来たわけで、それもあって少しうんざり気味のコニーが呆れ顔でたずねてくる。


「ここまでわざわざ冷やかすために付いてきたならさっさと帰ってどうぞ」


「いやいや、一応この国の皇帝としてこの国の果てがどうなっているのかこの目で確認しておきたくてな。マモルに聞いたらお前に付いて行くのが一番安全だと聞いたし、それは事実だったし」


 一応ただ政務に疲れて城から出たくてついてきてみた、というわけでなく、一応公務も絡みつつここまで来たってことみたいだから…っと、危ない危ない。

 危うく「コニーも皇帝として頑張ってるんだな」とか思うところだった。


 たぶんいろいろこじつけで「この国の最果てがどうなって…」とか言ったんだよな。


 はじめは魔物の脅威度と数に驚いて、しかも俺の結界でそれらが簡単に避けられていく。それにも驚いて、そのうち驚くのに疲れてうんざりし始めて、それからちょっと変な感じのハイテンションになったコニー達だった訳だが…。


 今はちょっと楽しそう?


 まぁいいか。

 コニー達は放っといて仕事しよ。



 ここまで来るのにもかなりの魔物と遭遇したが、【堅牢なる聖女の聖域】のおかげで戦闘になることなく、魔物が俺達を避けていたので安全なバス旅だった。


 けどここからは農地確保のため、邪魔する魔物は全て狩る。

 ここら一帯の魔物を絶滅させてもこの大陸中に犇めく魔物の数からすればほんのひとつまみ程度でしかない。


 それほどこの大陸には魔物が蔓延しつつある状況にあった。

 だからこその聖水だ、と、そこで聖水に繋がるらしいのだが、このバス旅で散々聞かされたのでもう考えたくない。


 聖水だって金貨一枚で売るのは構わないけど、金貨一枚でまともな聖水を売られて困る人達が何かと邪魔しに来ていたみたいだし。

 そういう人達をなんとかしてくれるならこっちだって快く聖水売るのに…とかいうのは当然愚痴りましたよ。


 …また脱線してしまった。

 きっとストレスですね。

 隣に皇帝なんているからだ。


「はい。じゃぁ、この山に沿って貰った土地を結界で囲むので結界内の魔物掃討戦をお願いします。倒した魔物は後で孤児院の解体の授業で使えそうな物は取っておくとして、残りは冒険者ギルドや商業ギルドで売れそうなのは売るのでなるべく回収してください。ではよろしくー」


 という言葉と共に、シェヘルレーゼの配下のメイド隊と、アーシュレシカの執事隊が一斉に散開し、サクッと土地を囲み覆った【堅牢なる聖女の聖域】内の魔物の各個掃討戦を開始する。


 子供らも楽しそうに魔物狩りを始めた。


 害獣感覚な魔物だけど、こうも一方的に狩られ始めるとちょっと可哀想になってくるな。


 俺達はまたバスに乗り込み、移動を開始。

 山にトンネルを掘りながら。


 山を越える道もあるみたいだが、それはなんか面倒だし、車酔いしそうだったのでトンネル作りをお願いした。


 バスのスピードに合わせて超スピードでトンネルが作られていく。

 しっかり地盤や周囲を固めつつ、掘り進められていく様をコニー達は口をあんぐり開けて呆けて眺めている。


 シロネは「また始まったよ…」みたいな顔をしてもう諦めの境地で目の前の出来事を受け流している。


 俺は元の世界の漫画やアニメの影響で、魔法ならこんな事も出来るよね!ウチの久遠の騎士なら魔力いっぱいあるし異世界知識もあるから平気だよね!

 の精神でリアルに魔法でトンネルが掘り進められる様を眺めていた。



 そうして30分くらいでトンネル開通。


 盆地だと言われていた場所に到達したら、山の外側以上に魔物がはびこりまくっていた。


「ダンジョン化しつつある状態に似ていますね。でもこれなら全ての魔物を倒して元凶の魔力溜まりを浄化すれば元に戻るでしょう」


「聖水の散布をお願いします。そうすれば魔物のリポップは防げます」


 状況を冷静に分析し、俺がどうすればいいかを俺にわかりやすく教えてくれるシェヘルレーゼとアーシュレシカ。


 その通りにしましょう。


 ということで、普通ならビンの中に閉じ込めるようなイメージで生成する聖水を、周囲に散布するイメージで作成。


 すると蒸気のように聖水が空気中に広がっていく。


 それをこの【堅牢なる聖女の聖域】内に充満するようにどんどん聖水を散布していく。


 その間にもメイド隊、執事隊が近場の魔物達を屠っていく。


 聖水でできた霧が土地一帯を覆っていた【堅牢なる聖女の聖域】内に行きわたったところで、それが霧雨となって周囲に降り注ぐ。


 すると嫌な空気だったり、シェヘルレーゼの言っていた魔力溜まりみたいなものが一気に霧散するようだった。


 俺には魔力の変化とかは全く分からないが、メイド隊と執事隊の動きが良くなったことからきっと効果があったんだろう。


「これは…すごいな。教会の聖水の比じゃない」


「それはどうも。せっかくだからここでコニーも少しレベル上げでもしたらいいんじゃないか?」


 ここで接待レベリングを提案してみる。


「いいのか?」


 結構良い食い付き方だな。

 コニーの従者も期待顔だ。


 魔物のレベル的には100~120程度なので久遠の騎士の前では脅威にはならないので大丈夫だろう。


「うん。アーシュレシカの配下2人を付けるから大丈夫。それにコニーにもコニーの従者さんにも結界を張るから危険はないから頑張って」


 ここで少しでもコニーのレベルが上がれば、レベルアップの影響でこれから待っている帰城後のたまりにたまった過酷な公務も頑張れるだろう。


「助かる!」


 俺の応援の意味を知ってか知らでかいい笑顔でレベリングに励みに行くコニーを見送り、俺はシェヘルレーゼとアーシュレシカにお茶とおやつを用意してもらってひとりまったり綺麗になっていく土地を眺めながらお茶をした。

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