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038 シロネ5 海底ダンジョンをひたススム

 


 割っても激甘なアムリタのレモン水割。


 あれ、もう少しアムリタ少なめでしたらもっと美味しく感じるのでは?


 セージ様、半々で入れてましたよね?


 というのを心にそっとしまい、ワタシとシュラマルはセージ様が作ってくれたアムリタレモネードをおいしくいただきました。


 後味の甘だるさを感じながら2階層へ進みます。


 1階層と同じ光景が広がっています。

 なので、進み方も同じです。


「あ、でも今回はMP回復薬になるんだって」


 多少の違いにちょっと嬉しそうなセージ様。

 景色は変わらないのですが、変化があればいいらしいです。


 そして辿りつく2階層の階層主部屋。


 はい、もう魔石化してアイテム落としてる状態っ。


「今度は何だ?」


「食べ物がいいなー」


 ドロップアイテムと宝箱の中身を確認するセージ様の手元を子供らが見に集まります。


「ドロップ品がスキルブック?で宝箱のはユニークスキルブック、だって」


 語感的にまたドエライモノですね


「なんだー。食いもんじゃねーのか」


「お腹すいてきたもんねー」


「じゃぁおやつにするか」


 スキルブックよりセージ様の「おやつ」発言に子供達大喜び。


 本日のおヤツは「たいやき」だそうです。

 お魚の形をした表面カリカリの、あんパンに似た何かでした。


 あんこが入ったものもおいしかったですが、クリーム、チョコ、チーズが入ったものもとても美味しかったです。

 どれもお魚の形をしていました。


 セージ様、今日はお魚の気分なんでしょうか?

 お菓子までお魚にするとは…。


 おやつを食べながら聞いたセージ様の説明によれば、スキルブックは、中に書かれているスキルから一つ選ぶと、それを覚えられるらしいです。ユニークスキルブックも同じように。


 中を見てもセージ様自身が欲しいようなスキルがなかったらしいです。

 子供たちが見てもそれほど興味を引く物はなかったようです。


 ワタシとシュラマルは見るのを遠慮しました。

 何か間違って使ってしまったら大変なことになるので。




 おやつで小腹を満たしたらまた探索です。


 探索というか、ただのお散歩というか…。


 1階層から5階層まで同じようなフィールドで、3階層が毒消しの薬草で4階層が状態異常回復薬で、5階層が万能薬でした。


 6階層からは景色が変わり、なにもない空間が広がります。


 なにもない事はないですね。魔石とドロップ品と数個の宝箱が点在する空間です。


 ドロップ品はシュラマルの親指程の小瓶に入った精力剤が7割、それに混じって手のひらサイズで平べったい薬壺に入った万能傷薬が3割ほど転がってます。


 既に薬として完成された物が転がってます。


 それらを例のごとく回収していきます。


 前の階層までは薬草の緑が広がっていたんですけどね。

 こう何もない土地に味気なく無数のドロップ品が転がっているだけというのもある意味壮観ですね。


 7階層はHP全回ポーションと子宝の果実。

 8階層はMP全回ポーションと性転換薬。

 9階層は毛生え薬と万能ポーションでした。


 10階層ではちょっと変わって、魔物の魔石の他、3割が水の魔石と、1割で氷の魔石。そしてたぶんユニーク個体から出ただろう、1割未満で水の魔石の上位互換とされる創水の魔石。

 残り5割と少しが


「『満腹レーション』?1つ食べればすぐ満腹。優れた栄養バランス。個包装紙にくるまれている限り、悪くなることはない。プレーンタイプ…?あ、こっちはミルク。リンゴにぶどうにオレンジ、チーズ、ハチミツ…ん?あぁ、こっちはベリーだって。いろんな味があるんだ…」


 片手で握り込んだら見えなくなるくらいの大きさの丸い団子のような何か。


 半透明な紙のような、何かの皮のようなもので包まれている何か。


 その紙のようなものでくるまれている限り悪くなることはない、と言うことは、そのままにしておけばずっと取っておけると言うことでしょう。


 それにセージ様の手元を見ている限り、包装紙は簡単にはがれるようなこともなさそうです。


「なにそれ?」


「おいしいの?」


「んー…携帯食、みたいな感じかな?これ一個食べるとお腹いっぱいになるらしい」


「ふーん。じゃぁにーちゃんと離れた時とかひとりで遭難した時とかはいいかもな」


「にーちゃんいれば腹いっぱい食わしてもらえるし」


 子供と言うのは現金ですね。

 でもわかってしまう自分が恨めしいです。


 そうなんですよね。

 セージ様といられる限り、おいしい物がお腹いっぱい食べられるんですよね…。


 まぁ、そんな卑しいワタシの感慨などは置いとくとして、このフィールドのドロップアイテムも根こそぎ回収には変わりありません。


 そして今日はこのフィールドの階層主部屋前で一泊です。


 ダンジョン内の階層という広いフィールドを、全てのアイテムを回収して1日で10階層とかどんなおとぎ話でしょうか。


 しかも海底です。


 本来なら暗くて寒くて海水の中で、しかも物凄い水圧がかかった状態で探索しなければならないとマモル様が言っていた、とマーニがスマホのメッセージで教えてくれました。


 えぇ。

 今さらですね。


 余計な事を考えてしまいました。

 ワタシはただセージ様のお役に立てることが出来ればいいのです。


 セージ様の手足となり、身を粉にして働きたいです。

 尽くしたいのです。


 シュラマルなどはどう思っているかは分かりませんが、現時点で大人しくセージ様の為に働いているのでまぁ良しとしましょう。


 セージ様に存分に尽くすといいですよ。



 夕食をいただき、まったりくつろぎ、お風呂に入って寝ます。


 ダンジョンって、なんなんでしょう。




 翌朝は階層主からスタートです。


 でも大丈夫。

 もういません。


 大きな魔石とドロップアイテムと宝箱を拾ったら次の階層です。


「わー!草だ!」


「カラカラだー!」


「緑色のまま乾燥してる感じか。ドライフラワーみたいな。あ、種ついてる。これがドロップアイテムっぽいぞ。【マジックバッグシード】だって。へー。便利そうだな!」


「マジックバッグとカンケーあんの?」


「魔石も結構おっきいの落ちてんな!」


 セージ様の説明によると、【マジックバッグシード】とは、このフィールド一面に生えている、ワタシの胸あたりまで生えている、植物の茎についている種。


 その種に水を掛けてから好きな鞄などに入れれば翌日にはその鞄は魔法鞄と化すらしいです。


「便利じゃん!」


「魔法鞄ほしい!」


「じゃぁどんな鞄がいい?」


 そう言って色々な種類の鞄を見せてくれるセージ様。


 ワタシとシュラマルも選んで良いそうです。


 各々が選び終わるとマジックバッグ化させるために、種に水を掛けて選んだ鞄に入れます。


 これは一晩置かなければならないのでセージ様の【アイテムボックス】には入れずに各自持ちます。


「あ、これ水筒とかに入れたらたくさん水が入るってことじゃない?」


「えー、にーちゃん知らないのか?水って腐るんだぜ?」


「あぁ、こっちの種は大丈夫だ。時間停止するタイプの【マジックバッグシード】らしいんだ。でも…そうだな、ここの5割は時間停止しないタイプだな」


「えっ、じゃぁ今作った方は?」


「時間停止する方だ」


「よかったー!すっげーやつのほうだ!」


「容量は?」


「いっぱい入るぞ」


「どのくらい?」


「『フィールドの広さと比例する』ってなってるから、このフィールドくらいの容量だな」


 セージ様の説明によると、


 高級宿がすっぽり入るサイズの普通の魔法鞄の種が3割

 このフィールドサイズの魔法鞄の種が2割

 荷車1台分の容量がある時間停止機能付き魔法鞄の種が2割

 このフィールドサイズの時間停止機能付き魔法鞄の種が1割

 ひと種につき10平方メートルの空間拡張の種が2割


 この空間拡張というのは、魔法鞄を作るのと同じように使うらしいです。


 違いは生き物も入れるということでしょうか。


 使い方のたとえとしては、一人用のテントに使えばテント内が拡張され、3人は余裕で入れるようになるらしい……


 ということです。

 恐ろしいですね。


 なんだか世界が混乱に陥りそうな予感しかないです。


「すっげー!」


「楽しみー!なに入れっかなー」


 セージ様も子供達も、とてもワクワクした笑顔でとても恐ろしい事を言っています。


 え、このフィールドに広がる植物の種、全てが魔法鞄の素なんですか?!


 しかも時間停止機能ありの魔法鞄なんて国宝級ですよね?!

 空間拡張の種?

 伝説の魔法が種化してるんですか?!


 それに魔法鞄の容量もおかしいです。

 最低容量が荷車サイズ?

 鞄5つ分とかじゃなくて?

 最大がこのフィールドサイズ?

 ぶっこわれてませんか?


 そんなぶっこわれ性能の種がこのフィールド全てを埋め尽くしている枯れかけの植物全てに…


 考えるだけでチビリそうな数ですね。


 もう世界中の鞄が魔法鞄化出来そうなんですけど。


 こんな小指の爪の先ほどもない小さな小さな種が、一本の茎に20~30はついているのですが…。


 それが地平線がまで広がっています。


 セージ様は早速、楽しげに種の回収を始めています。

 地道に手作業です。


 これ、何日かかるんですか?

 この人数で無理じゃないですか?


「でも今回風魔法じゃ厳しいかなー?」


 子供達も全回収の無謀さに気付き始めます。


「あ、無属性魔法で行けるな…」


 セージ様が物騒な事を呟きます。


 何かに気付いた模様。

 色々試してついに、


「あ、これめっちゃ便利」


 先ほど呟いていた無属性魔法ではありません。


【アイテムボックス】の魔法陣を地面に大きく広げ、そのまま上にズササっと持っていくと


「ドロップ品と宝箱を指定したら行けた。あぁ、茎もドロップ品だったのか!それに【アイテムボックス】内で仕分けもされてる…便利すぎるんだけど…」


 とはしゃいでおられます。


 セージ様の【アイテムボックス】により、掬いあげられた広範囲の場所には何も残ってません。


 例のあの土がむき出し状態。


 要領を得たセージ様はどんどん回収していきます。


 お城が丸ごと入るくらいのとても大きな魔法陣を出し、【アイテムボックス】に収納しまくります。


 その間、我々にすることはありません。


 ただただセージ様について行くのみです。



 12階層。

 木の実が成っている木です。


 セージ様が言うには、この木もドロップ品らしいです。


 なのでセージ様はまた【アイテムボックス】で無双します。


 木の実はベリーのような味です。


 見た目は大粒のブルーベリーでしょうか。

 色合いはもう少し薄いです。


 一口で食べてしまっても皮や種は気になりません。

 甘みと酸味が程良く、いくつでも食べられてしまいます。


 とても美味しいです。

 どんどんいけます。


「あ、これ若返りの実だって」


 ぶっふぉっげほっ、ごほっ


「シロネ、大丈夫?」


「だ、大丈…いえ、ヤバいッス。自分結構食べちゃったッス…!」


 セージ様や子供達もおいしいおいしいと食べていたので、大丈夫なのだろうと食べてしまいました!


 シュラマルも同じです。


 くっ!

 不覚でした。


 ダンジョンの下層のドロップ品。

 ただ美味しい木の実な訳がありませんでした!


「あはは、大丈夫。いくつ食べても一日1歳しか若返らないらしいから」


「んじゃ今日は好きなだけ食べてやるっ!」


「ねぇこれ、孤児院の隣の教会の若づくりババァに一粒金貨1枚で売ったら物凄い数買うんじゃない?」


「たしかに!でもこれすぐ悪くなんねぇ?持って2、3日だろ?あのババァが3歳若くなってもかわんねーじゃん」


 子供というのは辛辣ですね。


 そのうちワタシもババアと言われるのでしょうか?


 …いえ、既に言われている可能性も…。

 恐ろしいですね、子供って…。


 まぁ、今は気にしても仕方ありません。

 セージ様が今好きなだけ食べても大丈夫ということだったのでたくさん食べます。

 おいしいです。


「でもこれ、ジャムにして売ったら長持ちするから遠くに売ったり、買った後もしばらく食べ続けられるからいいんじゃない?」


 んぐっ、ぐふっ、ごほぁっ


 セージ様の何気ない呟き。

 恐ろしすぎます。


 それを手に入れるためにいったいどれだけの人、国、大陸が戦争し、多くの人が死んでいくのでしょう。


 そして早速機材を出してジャム作りをするセージ様。


「弱火で焦げないようにな」


 子供たちに任せてしまいます。


 そしてご自分は回収作業を続けます。



 お昼には完全に回収完了となり、出来あがったジャムをパンに塗って食べます。


「うんまっ!」


「煮るとちょっと味変わる!濃くなった!酸味もちょっと残ってるけど、程良い甘さと遠くでほのかな香ばしさがあってマジうまっ!」


「チキショー、今日だけしか食えないなんてっ!」


「来年また食べればいいだろ」


「そしたら俺達ずっと子供のままじゃんかよ!」


「たしかに、笑えるな」


「笑い事じゃねーって!それはにーちゃんだってかわんねーだろ!」


「それもそうなんだけどな。ま、これが食べられなくても、代用品があるんだよ」


「だいようひん?似たようなのがあんのか?」


「そ、これ」


 そんな事を言いながらセージ様が出したのは、美しい透明なビンに入った黒っぽい茶紫色のジャムでした。


「うげ、きもちわりー色」


「あれ?でもこっちのジャムと同じ匂いがするー」


 そう言って味見した子供達。


「あれ?ホントだ!同じ味だ!」


「これで明日からもおいしくパンを食べれる!」


 満足してしまいました。


 ワタシも後で食べさせてもらいましたが、確かに同じ味でした。


 色はアレですが、それ以外は全く同じ味なのですから、安全な方を食べた方がいいというモノです。


「でも5歳からはそれ以上若くならないらしいけどな」


 いえ、それでも充分脅威ですよ?!


「じゃぁハーちゃんお嬢様は食べ放題だな」


 ハーちゃん様、5歳以下の年齢ですものね。


「でも僕たちにはこれがある!」


 シィナくんはよほど気に入ったのでしょう。

 ジャムのビンに頬ずりしています。


 将来が心配です。


「だな!」


 ティムトくんも同意してしまいました。


 将来が心配です。





 あとはサクッと12階層の階層主の魔石、ドロップ品、宝箱、踏破ボーナスも手に入れて、出口に繋がる魔法陣からダンジョンを出ました。


 あとは黙々と北大陸へ向かって歩きます。


 やっと本来の道筋です。

 毎日マーニから心配のメッセージが届きます。


 ハルト様とマモル様もマーニから見せられてワタシが返したメッセージを確認していることでしょう。



 歩くとは言いましたが、厳密には歩いていません。


 セージ様が途中で何かを思い出し、乗り物を出しました。


『ママチャリ』なるものです。


 乗れるようになるまで少し苦労しましたが、ワタシもシュラマルも子供達も数時間の訓練でなんとか乗って進んで止まることが出来るようになりました。


 歩くよりは速いです。


 たぶん、我々のレベルの者が走ればもっと早いとは思いますが、セージ様が楽しそうなので、それで良いです。


 それに「自転車を漕ぐ」というのも悪くないです。

 座っているので楽ちんといえば楽ちんですし。


 そうして光る道の上を自転車を漕いで進んでいましたら、ダンジョンについてしまいました。


 あれ?

 おかしいですね。


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