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027 旅路16 港町での休日1

 


 現地の人達にとってゲテモノとされている海虫バーベキューを終えた俺達は、これからどうするかという話になった。


 バーベキュー道具を片づけながら、みんなが話しているのを聞く。


 使用した物は全部【クリーン】で綺麗になるし、エビやウニ、貝などの殻もゴミ袋に回収して【アイテムボックス】にいれて【異世界ショップ】のアイテムチャージにかけた。


 子供たちは一部の海虫は食べられる事を知って、これからはあまり飢えることもなさそうだと喜んでいた。


 バーベキュー中にゾーロさんから聞いた話では、明後日までここで休みを取るとのことなので、明日また今日と同じ海虫を取ってきてくれれば買うと話したら、子供たちはまた喜んでいた。


 仲間がもう何人かいるので、その子たちにも声を掛けるそうだ。


「明日はもっとたくさん獲っとくからにーちゃん達もたくさん金用意してきてくれよな!今日はありがとな!」


 と言われてしまった。


 明後日にはこの町を出ると言ったら、「明日一生分稼ぐ!」と張り切って言って子供たちは帰っていった。


 一生分ってどれだけだろう。


 買うと言ったの早まったかもしれない。

 本日2度目の後悔をした。


 ハルトはゾーロさんの話を聞いて、明日は冒険者ギルドで依頼を受けてこようと話していた。


 ゾーロさんは明日と明後日もまた商売するんだとか。


 この町にゾーロさんの店の支店があるので、そこの商品補充と、大市への臨時出店。

 それからせっかく今回気合いを入れて帝国帝都まで足を運ぶということで、最近自分の商売が波に乗っていることもあり、この機に帝国にも支店を出す準備をすると興奮気味に話しているのをきいた。


 それとゾーロさんの店の従業員で、この旅でもずっと一緒だったジックさんの話では、定期船には運よく全員乗れそうだと言っていた。


 ギリギリだったらしいが、乗れるならそれに越したことはないだろう。


 それに定期船というからには航海には慣れているだろうし、なにより語感が安全ぽいし。


 定期船は一日置きに出ているので、明日行こうと思えば行けるらしいが、そうすると全員乗れないっぽいので、余裕を持って明々後日の便にしたそうだ。


 なので俺に売れるだけの商品を売ってくれとシロネに言っていた。


 ゾーロさんはあれだけたくさんの物を彼に売った俺が、まだ物を持っていると確信でもあるのか、ゆるぎない熱い眼差しを俺に向けていた。



 ゾーロさんの話を後かたづけが終わったバーベキュー会場で聞いていると、それを見つけたフルプレート姿の騎士二人がやってきて、俺達に声を掛ける。


「失礼します。セージ様、マモル様、ハルト様、ゾーロ殿の御一行でありましょうか」


 おっさん騎士たちではない。

 声からしてもう少し若そうな騎士だ。


 問いかけに、代表してハルトが返事をする。


 こういうところではハルトは勇敢なる者なんだよなー。

 マジ勇者ありがたい。


「そーですけど」


 受け答えは敬語に自信のない男子高校生ですが。


「遅くなって申し訳ありません。これより本日の宿にご案内させていただきます」


 ちゃんとした騎士っぽい態度にこれほど安心したのははじめてかもしれない。


 やっていることは騎士とは違うかもしれないけどさ。

 宿までの案内って…。


 騎士たちに宿へ案内してもらおうとなったところで


「あのー…」


 とゾーロさんが申し訳なさげに声を出す。


 自分の店があるので、そこで商品を卸したいし、支店の従業員とも話しておきたい。

 ホントは自分の店に泊まるべきなんだろうか、こういうことでもない限り、高級宿には泊まれそうにないので、ずうずうしいだろうが、一緒に行っても良いだろうか、というお願いだった。


 ゾーロさんも実は勇者なのかもしれない。


 それを考えるそぶりもなく快諾した騎士もマジ騎士だった。


 快諾されたゾーロさんはとても嬉しそうだった。


 ゾーロさんは「この先一生こんな機会は無いかもしれないので」とも言っていた。

 強いハートの持ち主だと心から思う。




 ゾーロさんのお店の支店はこぢんまりとしたとてもつつましやかな店だった。


 近所の床屋さんくらいの店内。


 奥はプライベートスペースになってるようだが、それでも小さな店だ。


 2階建てで、上が住居スペースなのか倉庫なのかは分からないが、作りはしっかりしているし、丁寧に管理されているのか、清潔感もあった。


 店内の壁は棚が何段か打ちつけてあり、店の中にもアイランド型の陳列棚が2つ置かれてあった。


 それらにはこの世界で作られている石鹸や蝋燭、火打ち石などの日用品や生活雑貨が並べられている。


 俺達が店に入った時は丁度お客がいたようで、じーさんが1人、買い終えて出て行くところだった。


 俺達全員が入れば店はいっぱいになってしまった。


 ゾーロさんはハルトに声をかけ、アイテムバッグに入れ運んでもらっている荷物の、酒と穀物以外を出してもらうように頼んでいた。


 従業員には荷車に積んであるほとんどの荷物を出すように指示しているのが聞こえる。


 ここでシロネが気を利かせて手伝ってくると言いだし、ついでに商品を卸すっぽい。


 帝国とこのシャローロ・ラ・スヴィケ王国ナチュピケとは定期船が出ているだけあって、ここで何かを仕入れるようなことはしないようだ。


 仕入れるにしても帝国まで行って自分の目で見て何かを仕入れ、サイネラや俺達が召喚されたあの国や、西の大陸で売るんだとか。


 帝国へは、あの国で買ったリンゴ酒とこの国の農村などで買った葡萄酒や穀物を売りに行く。


 帝国ではとにかく酒が売れるんだとか。


 この国でいくら定期船で運んでも着いた傍から売れていく。


 それが少し遠くの国のワインなんてあれば、高値で売れるらしい。

 それをハルトがアイテムバッグで運ぶ話を聞いて急いで買えるだけ買ったというのだからすごいと思う。



 しばらくして、ハルトとシロネが戻ってきた。


「一応ここまでの荷運び分貰ったぞ」


 と言って俺とマモルに3等分して渡そうとしてきたので、俺もマモルもそれは断った。


「お前が運んだんだろ。それはお前だけの」


「そーそ」


「んー。そか。じゃ遠慮なく。んじゃこれが荷車の護衛分だ」


 護衛分と言われる分だけは俺もマモルも素直に受け取った。

 そういう条件のもと、商隊に入れてもらえたという建前があるので。


 3人で分けると銀貨十枚ずつだったので、護衛料金は銀貨30枚だったんだろう。


 基本働いていたのはシロネ達だけど、シロネは従者ということで今は一旦俺が銀貨10枚を受け取っておく。


 これはシロネ貯金として貯めておいてあげよう。

 そのうちシロネがどこかのギルドでカード作ったら入れといてあげればいいよな。


 それから数分後、ゾーロさんもこちらに戻ってきたので改めて宿へ向けて出発となった。




「改めて見ますと、とてもすごいですねぇ」


 圧巻だと言う様子のゾーロさん。


 俺達の目の前にはこれまで見た以上に立派な建物があった。


 本日泊まる宿で、この国で一番大きな宿らしい。


 王都なだけあるこの港町は、帝国のある大陸からの客がやこちらの大陸から帝国へ行く客が必ずまず立ち寄る町となるから、という理由らしい。


 もっとVIPで国王と親しい客は王宮にとまるらしいけど。


 で、そんな立派な宿の一番いい部屋に案内された俺達。


「おぉ、やっと来たか」


「おっせーよ」


 そこにはあのおっさん騎士たちが既にいた。

 なんか台無し感があるのは俺だけだろうか。


「きいたぜ?お前らゲテモノ食ってうまそうにしてたとか。言ってくれれば俺らも参加したのによー」


「アレ食うとかその発想なかったわー。盲点てか、想像しただけで寒気がするってか、あんなものまでよく食べようと思ったなーとか思うわけよ。特にそこの回復術師くんとか偏食じゃん?」


「うわ、もしかして虫が好物とか?うわー」


「人それぞれとはよく言うが、よもや虫かー。イモムシぐらいなら俺らも食うけど、アレはないわー」


 散々ないいようである。


 そして偏食ってのはマモルではなく何故俺?!

 食わず嫌いの代表って言ったら俺らの中ではマモルなんだけど。


 なんとなく俺がみんなと一緒に飯食べないからそう思われてるのか?


 いや、普通に皆と食べているけどなー?


 あ、いや、このおっさん達の事は少し避けていた気もしなくもないか。


 俺が黙っていると、ハルトとマモルが気を利かせてくれて、代わりにしゃべってくれた。




 部屋は一番いいと言っても、この宿で一番グレードの高い部屋は5つあり、そのうちのひとつが俺達、その隣がおっさん騎士たちで、その隣がゾーロさん達で使うらしい。


 おっさん騎士達は村の小さな宿ではない限り、別な部屋に泊まってくれていたので、俺達は町や王都では比較的部屋の中では自由に出来ていた。


 どうやら町などでは飲み歩いているらしく、ハーちゃんに気を使って別な部屋にしてるっぽい。


 ふつう、マモルにあれだけ言われたら酒を控えるという選択をしそうなものだが、このおっさん騎士達は、酒を優先させたようだった。


 騎士ネットワークでも使い倒しているのかわからないが、おっさん騎士たちが飲みに行っている間、別な騎士や兵士が宿の外で見張り番みたいなことをしてくれていたし。


 中堅ともなると若い騎士を自由に使えるということなんだろう。たぶん。


 おっさん騎士達とは帝国までどう行くかの話に移行していた。


 ゾーロさんが日程やどうやって行くかを話していると、ここでまた自由なおっさんたちが待ったをかける。


「それさぁ、こっちが用意した船に変えてくんねーかなー?」


「出発はそっちに合わせるし」


「用意した船、とは?」


「あぁ、それは気にしなくていいぞ。大型船だからどんなに荷物を積んだっていいし、こっちで用意した船だから、金も気にしなくていい。ただその分ちょっと…」


「「「ちょっと?」」」


 コニーが言い淀み、ゾーロさんとハルト、マモルが謎な感じに声がハモリ、きき返す。


「付き合ってほしいとこあってさ!」


「船で付き合ってほしいとこって、どこか違う大陸でも行くんですか?」


「島とか?」


 冒険の匂いを嗅ぎつけたのか、急にマモルとハルトが興味を示す。

 ゾーロさんは冷や汗をかいているが。


 マモルとハルトの反応を見て、気を良くしたのが、おっさん騎士達はにんまりする。


「まぁ、それはその時までのお楽しみってことで。必要そうな物資もこっちで用意するし、商人殿は容量気にせず好きなだけ商材積んでも良いってことで。それ以外そちらで用意してもらう物は特にないってこと」


 おっさん二人がこれまでにないにこやかさで言うのが逆に怪しさ満載なんですが、どうですかね?


 と、ハルト達をみると、冒険心をくすぐられたようで、キラキラした笑顔で頷いていた。


 物凄く俺は心配なんですけど。


 ハーちゃんを見れば、俺を見上げていた。


 …たぶん何も考えてないっぽい。


 テンちゃんは俺の足元で丸まって寝に入っている。


 まだまだ話し合いが続く中、戦力外の俺は仕方なく、部屋のダイニングテーブルまで行って椅子に座り、みんなが話し終わるのを待った。

 もちろんハーちゃんとテンちゃんも。





 この町では俺達はほとんど自由に過ごしていいみたいだった。


 騎士達も側にいない。


 部屋にはこの部屋専属のメイドがいたので、食事も部屋まで運んでくれるという至れり尽くせりな感じだった。


 部屋の奥へ行けばメイドと遭遇する事はないので、俺も安心してゲームに没頭できたし、ゲームを覚えたハーちゃんもパズルゲームなんかして遊んでいた。


 子供は覚えるのはやいなー。





 この世界では遅い時間だろう時間に起きて、まったりと朝食を食べると時間は朝9時を回っていた。


 8時に起きたが、既にハルト達の姿はなく、いたのはシロネとハーちゃんだけだった。


 ハルトとマモルはマーニとシュラマルと共に冒険者ギルドへ行ったらしい。


 ハルトはわかるがマモル達はなんで?と思ったら、マモル達も冒険者ギルドに登録して冒険者してみるらしい、とシロネが教えてくれた。


 元冒険者のマーニも、戦いに慣れているらしいシュラマルもいるし、きっと大丈夫だろうけど……勇者と賢者が揃って冒険に出るとか大丈夫か?



 シロネとハーちゃんは既に朝食を終えていて、俺が起きるのを待っていたらしい。


 後はまたぼちぼちゲームでもするかな、と思ったが、港の子供たちの事を思い出し、きちんと着替えて出かけることにした。




 昨日子供たちと会った付近まで行くと、子供たちから声を掛けてきた。


「おっせーよ!にいちゃん!来ねーのかと思ったぜ」


「これが噂の貴族時間ってやつだよ」


「金持ちはこれだから」


「貴族の女の子だ!」


「妹か?」


 時間とか決めてなかったと思うんだが…。


 そして貴族時間ってどんな時間??


 あとハーちゃんに気付いた、昨日はいなかった女子達がキラキラした目でハーちゃんを見ていた。


「早く、こっち来てくれよ!」


 ハーちゃんと繋いでない方の手を、いつも始めに声を掛けてくれる子がグイグイと引っ張り、俺をどこかへ連れ込もうとしている?!


 と思ったら、昨日バーベキューしたところに、また数人の知らない子供がいて、そこに連れて行かれた。


「こいつらが昨日言ってた俺達の仲間な。朝早くにみんなでまた漁に行ってきたんだぜ!にーちゃん来ねぇから2回も行ってきたぜ!」


 と仲間を紹介するのももどかしく、大量の海虫を網や桶や樽などに入れて用意していたっぽい。


 一応種類別にはしといてくれたようだ。


 そして昨日以上の量なんだが俺、大丈夫だろうか。



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