145 きっとそれはロマンだよ。たぶん。
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「なにはともあれ、いずれにしろ南大陸に行く途中なにかあるわけだし、セージの航海云々は今から身構えたってどうしようもないし、これだけ大きな船なんだから海に落ちることもないわけでしょ? 操船してるのは久遠の騎士なんだし」
「なにはともあれ」とか「いずれにしろ」とか「云々」とか連続的にマモルから聞くと、ちょっと年齢差を感じてしまうのは気のせいではないよな。ハルトも微妙な顔してるし。いや、ハルトはこれからおきるだろう何らかの航海トラブルにワク……じゃなくて微妙に思っているのか。
でもあれだな。マモルですら久遠の騎士に絶大なる信頼を寄せているんだな。安心したよ。
「うん。あと俺、船から出ないようにするから。そしたらたぶん大丈夫だと思うし」
「セージの話を聞く限りではセージは海と、それから港とも相性よくなさそうだよね」
そういわれると海関係は鬼門なのか、俺。
現在は海、船の上、それから……海エルフ。
……あんまよくねえな、こりゃ。
「どっちにしろ南大陸行くまで船に乗ることは必須なんだろ。なるようにしかなんねーよ」
やれやれみたいに言われる。
まるでダメな子を相手にするみたいにしないでくれよ。
いや、まるでダメな子でしょうけども。船に乗ってなんかやってる感出したいとか言いましたけど。でもどうしてもというなら陸地の宿に引きこもることも吝かではないですよ?
みんなの迷惑になるなら、そこまでみんながいうならこちらとしても善処しますけど。
……ぶっちゃけ別にどうしても船に乗っていたいわけでないし。
目が泳ぐ俺をよそに、「しょうがねえな」みたいな空気になる。
そんな中、じろりと俺に視線を向ける強者がひとり。
その強者がそそそっと俺のとこにきてこそっと確認してくる。
「ねえ、ほんとに大丈夫なんでしょうね?」
外交要員エルフのカジュ。ばーちゃんとこの国の貴族のご令嬢で俺の元牢屋仲間だった見た目少女のとっても年上の女性だ。
「んー、たぶん? ちゃんと職業勇者と職業賢者がいるんだから大丈夫だと思う」
それでも初めての航海時はアレでしたけど。
まあそれは俺の不用心からでたことだったからしかたなし。
「……」
「少なくともやつらと一緒に行動している限りは大丈夫だ。離れるとそれなりにしんどいから絶対離れるなよ」
「しんどいって……まあ、デタラメなあなたならそれで済むんでしょうね」
そういってため息つかれた。でたらめなのはスキルであって俺じゃないよ?
「それに今回は周囲を久遠の騎士で固めているから問題ない。そうだ、カジュにも一体進呈しようか?」
「妖精族のそういうところ、よくないと思うわ。久遠の騎士って気軽に人に贈るものじゃないの、知っているのかしら?」
どういうところ? あと俺を妖精族というのやめてくださる?
何度人族だといっても信じちゃくれない。「はいはいそうですか人族にみえるみえるー、わーすごいー」みたいに流される。
あと、ちょっとバカにしてくる。それでいて妖精族に対して敬意があるというのだから驚きである。どうせバカにしてくるのならいっそきちんと人族として接してほしい。
エルフって不思議な種族だな、と改めて思う俺なのでした。
結局久遠の騎士のプレゼントはしっかりきっちり辞退されてしまった。ばーちゃんは喜んでいたのに、とこぼすと「王族と一緒にしないで!」と言われた。王族の扱いよ。
それからカジュたちは俺ではオハナシにならないとばかりにマモルと話をすることにしたようだ。
さらっとハルトは避けられたということはハルトもオハナシ相手として不足だと看破でもしたのかもしれない。正解だよ。
賢い人は賢い者と賢いオハナシしてくれたらいい。あとでかみ砕いて教えてね。
「よし、じゃあ俺は……」
部屋に行ってお昼寝しよう。
……の前に久遠の騎士箱をいくつか開けてサポートや教育育成などを任せられるちゃんとした久遠の騎士になってもらわんと。
ということで早速部屋に行き、【アイテムボックス】から久遠の騎士が入っているシックで豪華な宝箱を三つ、どどどーんと出す。
宝箱を開け、設定を……設定……。
あ、だめだ。めんどくせえ。ハルトやマモルはこれはロマンだとか言っていた。
けど俺はこんな詳細設定とか性に合わない。かといって前回同様とするとシェヘルレーゼやアーシュレシカの二の舞だ。二人がダメというわけではないが、もっとこう、さっぱりしたテンションの頼れるお兄さんやお姉さん的な存在が必要なんだ。体操とか、歌とかの感じの。
どういうわけか子供の面倒をみる機会が多いような気がするから、きちんとした知識を有したシッターさん的存在が切実に必要気味。カウンセリングなんかも任せたい。
「前回と一緒でいいか」
結局はそういうことにした。詳細設定の設定項目に心が折れたともいう。
性別設定、年齢設定、性格設定、表情設定、顔、髪色、目の色、声、口調、体格、ステータスポイント割り振り、などなど。パッと目についただけの項目だが、他にもズラリとたくさんある。
それらを設定すれば理想の久遠の騎士になるんだろうけどその分、出せる配下久遠の騎士が少なくなってしまうというのもイマイチだし、うん。いいんだよ。シェヘルレーゼたち同様、オリジンタイプとかいう久遠の騎士でいこう。
パパパッと《任意》と《許可》のお任せ項目にチェックを入れてサササッと起動。
今回も人に近い人形タイプ。無難が一番。天使タイプや悪魔タイプもあったが、中二心がほんのりする前にさっさと決めた。
例のごとく一気に人と変わらない大きさになり、素っ裸状態で「「「主より命を授かりましたドール、壊れて動かなくなるその日まで、久遠の騎士として主に忠誠を」」」とシェヘルレーゼとアーシュレシカの最初の時のように跪かれたので、「あ、うん。よろしく」と言ってすぐに用意していたタオルを速やかに被せ、同じく用意していた服に着替えてもらう。アーシュレシカに着替えのサポートをまかせた。
「名前はココ、オーリ、ジュートだ」
動きやすそうなストレッチ素材を使ったスーツに着替えた三体。見た感じは三体とも俺と同年くらいなので若干学生服に見えなくもなくなってしまったがまあいいか。あとでもう少し異世界風な感じのやつを用意しよう。
おかっぱ銀髪の青目くんがココ、くせ毛ブルネットのポニテでオレンジ色目さんがオーリ、黒髪長髪ぱっつんの赤目くんがジュートだ。
今回は髪が長い系さんでそろったね。おかっぱが肩につくかつかないかなので長いというくくりで。
あと名前、被ってたらごめんね。
名前をつけたら早速三体を我が農地に【聖女の願扉】でホイッと送る。
そこでたくさん学習して立派な教育者、指導者になってくれ。
もちろんマモルにもらった簡易版【ミニチュアガーデン】になっている魔道具の中で勉強してもらうので数日で仕上がると思う。そしたらその配下久遠の騎士を各地に派遣してもらおう。
よし。これでしばらくは俺の平穏は保たれる。
しばらくは船室内でだらだらごろごろして、あきたらまた船内ぶらぶらしよう。船外に出ないように気をつけて……。
立てるまでもない予定を立てていたらいつの間にか寝てしまった。




