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143 よろしくお願いします

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 どうやって船に乗り込んだかはわからないが、マモルが来た。

 俺たちのことが心配だったから来たとかではなく、若返りの実が必要だからきたっぽい。

 なんてヤローだ。


「違うからね? ちゃんとセージ達が心配だから来たんだよ。転移魔法でね。ピクシー=ジョーがこっちいたから、緯度経度を確認して転移できたんだ」


 俺もハルトも心ない視線をマモルに向ける。


「うっ、ほ、ほんとだよ? とりあえず読みたかったラノベや魔導書は網羅したからしばらくは余裕を持ってセージ達と行動できるよ?」


「魔導書とラノベを同列にしてるとか、賢者こえええ」


 おもくそ勇者が賢者に引いている。

 俺はそこじゃないと思う。と、心の中だけで突っ込むことにした。


 帰宅のための帰り道探しはどうしたよ。

 なんかこいつらすっごくこの世界満喫してやがる。

 片手間でもいいからせめて元の世界へ帰る方法、探そうぜ?

 俺はもちろん帰りたい。聖女としてメイン召喚された女子達の何人かももしかしたら帰りたいと思っているはずだ。まずそういったやつらを帰してからはっちゃけたっていいと思う。

 などという正論っぽいことは言えない。

 じゃあ帰りたいヤツだけで帰る方法探せば? ってな話になってくるからな。こうして一緒になんとなく探してくれるだけでいいんだ。ありがたい。


 ところでいまごろ女子達は中央大陸の支配という名の魔境化に成功したのだろうか? そもそも聖女活動とかしてなさそうだよね。聖女する暇あったら恐怖政治してるよね。うん。あっちは放っておくことにこしたことはないよね。こればっかりは下手に口に出して「じゃあ連絡とってみる?」なんてことになって何らかの陰謀に巻き込まれたら恐い。賢い俺はあちらに関しては黙っておく。きっとそのうち時間が解決してくれるだろう。


「そういやシュラマルが見当たらないけど」


 いろいろ考えて、結局なんて返していいかわからなかったので話題変更してみた。結果、なんも考えてなさそうな質問をしてしまった。いいんだ。こっちもこっちで気になってたしさ。


「そういやそうだな。いねーな」


 勇者ってアレなのかな。勇者になると脳筋になるのかな?

 戦略的にかわいさをアピっていたあの頃のハルトが懐かしいな。人って変わるんだね。将来同窓会とかあったらこんな風に思うこと……え、このままの状況が続いたら同窓会もなんもあったもんじゃないよな。……いや? そもそもうちのクラスのヤツらが普通に高校を卒業できたとして同窓会とか出席するわけがない。俺も多分そうだからこんな風に思うことってきっとないはず。なら今こうして感慨深くなっといてよかったよ。うん。


「あ、うん。さすがに【ミニチュアガーデン】で数十年過ごしたあたりで奴隷から解放させてもらったよ。数十年分のお給料とボーナスもつけて東大陸に送ってきたら、今頃故郷に帰れているかも?」


 さっきまでのマモルを見るに、マモルのスキル【ミニチュアガーデン】内ですっごい時間早めて過ごしていたんだろーなー。ここの一分で【ミニチュアガーデン】内だと一日とかやってそう。そしたらあっという間に数十年経つかー。賢者の精神やべーな。

 そんなマモルに付き合い続けたなんてシュラマルはよく頑張った。そんなに絡むことはなかったけど、いままでありがとうシュラマル。心の中で感謝と奴隷からの解放の門出を祝っておく。


 と同時にハルトはマーニを、俺はシロネを見る。

 マーニは困った顔をし、シロネは蒼白な顔をして首を横にゆるく振る。

 マーニはまあわからなくもないけど、シロネの感情がわからない。

 ま、いいか。


「じゃあオレもマーニ先生から卒業するかー」


 この世界の常識を教えてほしいという体での奴隷だったから一応卒業ってなるか。

 そうなると俺はどうするか。二人に合わせてシロネを奴隷から解放する一択だな。


「シロネ……」


「嫌ッス! 自分、セージ様の奴隷であり続けたいっす!」


 いつも抜群な雰囲気把握能力を発揮するシロネさんにあるまじき発言。

 どうしたシロネさん。俺別に鈍感系主人公とかじゃないからわかるよ。君、別に俺を慕っているとかじゃないよね。ではなぜシロネさんは奴隷からの解放を拒否るのか。

 さっぱりわからない。

 わからなすぎて……だんだん引いていく自分がいる。


 俺の引き具合に気づいたシロネが慌てて言葉を重ねた。


「あの、違くて、えーっと、そうっす、その、ほら、アレッすね」


 おもっくそ中身がなかった。


「……」


「え、もしかして? シロネまさかセージに」


「それはないっす!」


 ハルトがゲスの勘ぐりを入れるも食い気味にシロネが真っ向から否定。

 え、そんな真摯な顔で大声でかぶせ気味に否定されると本当に何もないのになぜか俺がフラれた感じになってません? 大丈夫?

 あ、大丈夫じゃない。ハルトとマモルが痛ましそうな視線を俺に向けている。なんならマーニとハルトのハーレム要員さん達も。最悪だ。

 ここで俺も否定したり言い訳をするとさらなる勘ぐりがあるだろうからやめておこう。

 ならなかったことにして会話を進める? それも白々しさがある。ならここはいったん受け入れて次に行ってしまおう。


「うん。そういうことだからみんなしてそんな視線向けないでくれるかな。たぶんほら、シロネには商売押しつけたし、それで守銭奴になっちゃったから奴隷から解放されたら金を稼ぐ楽しさがなくなっちゃうとか考え」


「あ、それもないっす」


 普通に真顔で落ち着き払った感じにこれまた食い気味に否定された。


「あ、そっすか」


 皆の前で得意げに推理を披露しやがった数秒前の自分が恥ずかしい。恥ずかしすぎて素直に引き下がるしかない。


「……じゃシロネはどーして奴隷のままがいいの? もしくは奴隷のままのほうがなにか都合がいい、とか?」


「えっ、それは……うまく言えないっすけど、なんか安心感があるってーか、っすね」


「あっ、それはわかります」


 しどろもどろなシロネにマーニがナチュラルに同意。


「ふーん? 普通奴隷から解放されんのって嬉しいんじゃないのか? オレも退職金とボーナスみたいなの出すし、解放されたからってすぐに路頭に迷うことはないだろ? 前よりレベル上がって戦えるはずだし、装備もいいはずだろ?」


「退職……金? というお金や今のこの装備をそのままいただけるというのはびっくりです。嬉しいです。でもそうではなくてですね、奴隷でいると主とのつながりを感じるんです。私の場合はハルト様ですが、ハルト様の感情の安定が感じ取れるので、落ち着いていられるというか、何があっても恐くないって思えるといいますか。最初の頃は細い繋がりでしたが、最近では強いつながりを感じ取れて、そうですね、安心感があります」


 え、それ大丈夫?

 勇者の強靭な精神耐性に侵食されてない?

 心配になり、うっかりハルトをジト目で見てしまう。

 俺の視線に「ん?」みたいな顔をするハルト氏。

 この勇者、大丈夫かな。俺、心配。


 って、人の心配してる場合じゃなかった。俺とシロネさんという奴隷さんのつながりもあるってことですよね?!

 えーっと、マーニが勇者ハルトの精神耐性のおかげで安心感があるっていうのならばですよ? 何の耐性も持ってない俺なんかと奴隷つながりしているシロネさんは不安で仕方なかったってことッスよね? ん? でもアレだな。耐性とかなくても耐性が必要な場面とか俺あんまなかったよな。ってことは、どうゆうことだ……よ?


「よし。んじゃマモル、よろしく頼むよ」


 問題なさそうなので、マモルに奴隷の解放をお願いする。

 賢者だし、そういうスキルあるんですよね?

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