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138 魔王の所業と目的地

誤字報告ありがとうございます!

 


 急な登場もそこそこにばーちゃんはシロネと合流し、お偉いさんたちとおしゃべりしていろいろ何かが決まって現在集落のみんながお引っ越し作業をしている。

 俺の周りにいた三人のロイヤルキッズもたたたーっとどっかに行き、てててーっと申し訳程度の手荷物を持って俺んとこに戻ってきて近くにちょこんと座ってこちらの様子をうかがっている。すでに準備万端のようだ。


 俺はばーちゃんとお話し中。


「んふ。上のダンジョン都市、簡単に制圧できちゃったからここまできちゃったの」


 都市を簡単に、制圧。

 制圧って言葉は知ってるけど、なかなかリアルで聞かない言葉だよね。

 しかもダンジョン都市。結構な大都市よ?


「あ、うん」


「なーに? せーちゃん。制圧、興味ないの?」


 逆に俺が興味あると思っているばーちゃんよ。


「これまで日常で出てこなかった単語だなって不思議に思っただけだよ」


「まあ! そゆことね! こっちではねー、よくあることなのよ?」


 わー、よくあるんだって。異世界マジさつばつー。


「おぼえとくよ。で、これからどうするの?」


「やーん、孫がつれなーい。おばあちゃんね、もっと孫と戯れたいお年頃なのよ?」


「なにいってんだよ。ばーちゃんはギャンブルに沼るお年頃だったんじゃなかったのかよ」


 他国のカジノに入り浸る祖母を見たときはちょっとしたショックを受けたものだが、今となってはいい思い出だ。……いい、わけはないか。悪くないだけで。


「いやんっ、せーちゃんってばツン? ツンツンね? あとはデレるだけね! デレデレせーちゃんにおばあちゃんメロメロしたいわ! さあ、デレて! こっちよ!」


 腕を目一杯広げて「さあこの胸に飛び込んできなさい!」の姿勢を見せるばーちゃん。


 やべえ。ばーちゃんの情緒がクラッシュしてる。

 いつも以上にテンション高えな。

 チラリとシェヘルレーゼを見ると、心得たとばかりに頷いて簡単に説明してくれた。


「戦争関連でストレスマックスで癒やしがほしいそうです」


「なるほど。ばーちゃん、癒やしがほしいなら俺では役に立てないと思う」


「なんで?! せーちゃんはおばあちゃんを見捨てるの?!」


「そうじゃなくて、ばーちゃんはほら、ギャンブルの人じゃんか」


 改めて諭すように同じようなことを言う。

 てか、ギャンブルに諭すってどういうことよ俺。

 でもほら、俺ってお年頃じゃん? 祖母にベタつかれる恥ずかしさったらないわけよ。だったら北大陸のなんとかって皇帝が治めるなんとかって帝国の公益ギャンブル施設に【聖女の願扉】から放り込んだ方が被害が少ないわけよ。俺の。


「はっ!! そうね! この鬱憤は孫イジりじゃなくてギャンブルね! カジノね! スロットにルーレットにポーカー!!」


 最大の気づきを得たっぽいばーちゃん。

 チョロ……。

 てか孫をイジって癒やされる気だったのかよ! とかは突っ込まない。

 すぐにギャンブルに飛びついたことも突っ込まない。

 ……きっとお疲れなんだよ。とても。


 ひとりギャンブルの予定にハスハスしているばーちゃんはほっとくとして、シェヘルレーゼにこれからの予定を聞いといた。


 とりあえず俺がこれからすることは、この前一瞬ちらっと入ったことのあるばーちゃんの国のあの国境近くの森にここの人たちを全員【聖女の願扉】で送る。

 あとはばーちゃんの部下の人がなんとかしてくれるということらしい。

 やったね。なんとかなったよ。

 で、皆を送ったあと俺はばーちゃん達に制圧されたダンジョン都市で予定通り過ごせばいい、と。

 予定なんてあってないような……あったようななかったような。ああ、あれだ。一緒にダンジョン都市まで来てくれた北大陸の冒険者たちと合流して、ダンジョン都市を満喫した彼らを北大陸に送ればいいだけかな?

 あとは……特に予定はなかったはず。


「ダンジョン都市での予定が終わったらララリエーラ様の国の観こ……視察、それから東大陸へ向かってみる、というざっくりとしたご予定でしたが」


 テキトーなこと考えていたらシェヘルレーゼが俺の思考を察したのか、ゆるーく予定していたことを教えてくれた。

 視察と言い直したけど、観光とか何言ってんのさ。

 帰宅するための情報収集だろうが!

 ここ西大陸ではばーちゃんの孫たる俺に多少のアドバンテージがありそうだし、きっと帰宅への足がかりのなにかしらがあってほしいという希望がある。

 そうすると東大陸でもある意味同じような条件があるにはあるのか。父的な。でもあっちは国の中枢から少し離れた身分だからあまり情報はなさそうなんだよなー。

 情報あったらなんの音沙汰もなく母さん一人に俺たち育てさせるなんてことしないと思うしね!


「ああ、そうだったっけ。うん。それそれ。あ、でも先に東大陸に行ってたハルトからさらっと話を聞いたしもういいんじゃない?」


 ダンジョンでちらっと聞いたけどとくに元の世界に帰れる情報らしい情報はなかったっぽいんだけど。どの辺りの情報を集めたかもーちょい詳しく聞いとくか。


 ふむ。父を思い出してなんかちょっとモヤついて、同時に東大陸への興味をスンとなくした自分に気づく。

 内心でばーちゃんのこと情緒がどうとか言ってたけど、自分もそうだとふと気づいてしまった。

 ちょっと前の心の中のことなのにもう既に黒歴史をほのかに感じてしまう。そう、俺は多感なお年頃なのさ。


「いえ。東大陸に行く目的はセージ様のお父様にお会いするという……」


 父さんねー。正直もういいかなって思ってるんだけどなー。

 とかいう俺の感情を感じ取ったのか、あの強気さに定評のあるシェヘルレーゼが気まずそうな顔をしている。


「父さんとかしばらくいいよ。必要にかられたら改めて行くことを検討しよう。東大陸はハルトが行ったし、行ってさほど有力な情報を得ていない感じだったし、しばらくは……いや、まてよ?」


 父さんを避けたいから東大陸行きたくないみたいになっている。

 認めたくないけど、それは事実だから今はいい。認めたくないし認めたくないけど。


「南って何があるんだろう?」


 いやまてよ、とか言って東大陸に行くような感じを出しといて南をふと思う。

 あまり話題に出していなかった南大陸。目指した誰も彼もが帰ってこないと最初にシロネ達から聞いて探索することを除外していたけど、今の俺はそれなりに移動ツールを持っているし、足りなければそれを入手できるだけの資金力も戦力もある。


「帰らずの大陸、未開の大陸と呼ばれています。あまりにも情報がないため、ハルト様もマモル様も今のところそこへは手を出しづらいようです」


「なるほど。じゃあそこ行ってみよう」


 行くしかあるめえよ。

 だって予定、ほしいもんね!

 いくら心の中での自称皆のATMだって「なんかやってる感」ほしいじゃん!

 空回りだとしても、未開の大陸ってんなら闇雲に探せば何かしら情報は得られるよね。

 何もなかったとしても何もなかったという情報が得られるもんね!

 ということを俺は「心」に決めた。とくに宣言はしない。


 しかしうっかり「行ってみようかな」なんて言っちゃったもんだから近くにいたお子さまたちが反応。


「おれもいくぞ!」


 お前は仇を消し炭にしに行くんじゃないのか。


「僕もっ」


 お前は……ああ、うん。亡国だし予定とか無さそう……でもダメです。


「いっしょいくっ」


 いやいや、君はきちんと現役獣王様という親御さんいるからダメですよ?! 国際問題という単語が過っちゃうからきちんとおうち帰りなさいね。


「お子様は連れて行けません。おとなしく妖精さんトコの国でお世話されてなさい」


 名前長すぎて忘れたけど、ばーちゃんの国。妖精とエルフ多めの国っぽいらしいから妖精さんの国ってことでいいだろう。


「「やだー!」」


 魔王さんとこの子と亡国の転生幼児がハモって拒否。

 獣王さんとこの子はコクコクと頷いて二人に同意している。


 ……無理だよ? 

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