126 ボーナスステージの向こう側
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宝箱を回収して奥の扉を開いた。
「ミニデュラハンまみれかよ」
天井支える柱とか所々なくて平気なのかな? と心配になるほどの石造りの広い部屋。広くて広い。全容が見えない。
そこに先ほどよりもかなり良心的な大きさのデュラハンがたくさん。密集しているわけではないけど、パッと見ただけでも数百はいそう。下手すると千以上。
どれも馬込みで五メートルくらいか。
先ほどのデカデュラハンと違って馬は茶色のやつがほとんどで、何体かに一体は黒馬だ。ユニークってやつかな。
「普通の冒険者や探索者ならここで力尽きますね」
「ああ、ここまで連れてきてくれたアーシュレシカには感謝してる」
マップ情報誌やスキルもあったけど、やっぱりあの人力車のおかげで精神的云々を除けばとくに苦もなくここまでこれた。
「そういうことではないのですが、恐れ入ります。セージ様の御力があってこそでございます」
謙遜しつつもちょっと顔を赤らめて嬉しそうに? しながらもじもじするアーシュレシカ。
久遠の騎士の感情力進化が止まらない。俺より感情表現豊かになってない? てか俺は退化してる気がする。帰りたい。
そんなのんきなことを考えたりアーシュレシカと会話をしている間にも俺達に気づいて攻撃を仕掛けてくるミニデュラハン、というかノーマルデュラハン。
攻撃が【堅牢なる聖女の聖域】に触れた瞬間フワアァァっと光って消えていくデュラハンたち。
消えたあとには買い物かごサイズの宝箱が残る。所々に色の違う宝箱が。
それを【アイテムボックス術】で回収。回収した宝箱をひとつ出して中身を確認。
「わお。さっきの宝箱の中と同じ」
「こちらはユニークデュラハンの宝箱です。虹星硬貨だけがたくさんはいってます」
アーシュレシカのほうも色の違う宝箱を出してみたようだ。
「見た目的に華やかなのはこっちの宝箱だけど、そっちの方が価値あるんだろうな」
宝箱自体もこっちのはきらびやかだけど、ユニークデュラハンの方は地味だ。いや、シックなデザインと表現しとこうか。価値はあっちの方が上っぽいし。
「このすべてのデュラハン宝箱になったら莫大な財産になりますね」
いい笑顔のアーシュレシカ。
だけどな。
今現在でも充分莫大な財産もってるんですけどね?
あれははした金でしたかね?
アーシュレシカもシェヘルレーゼも俺のためになるものを買って揃えてくれてるのはわかるけど、常識外の散財なんだよなー。
俺の常識とか気にしない前提な。
ああ、基本情報が俺だからか?
いや、まさかね?
数分ほどで目に見える範囲を宝箱化できた。安定の【堅牢なる聖女の聖域】を広げたら一瞬だった。
今はアーシュレシカが【アイテムボックス術】を駆使して広大なフィールドの宝箱集めしてる。
最初から【堅牢なる聖女の聖域】に【アイテムボックス術】を組み込んでおけばよかったと少し後悔してる。すまん、手間をかけてしまった。
俺はテーブルセットを広げてお茶しながらマップ情報誌を眺めてる。
袋とじではまだ二階ほど下の階層がある。それからいよいよラスボス部屋を経てダンジョンコアへとたどり着く、となっている。
この先に進んでもいいけど金策はもういいかなと思っている。
スキルで隠し部屋探してみたけど反応ないし。マップ情報誌にも書かれてないし。
宝箱集めしていたアーシュレシカが戻ってきた。
「この階層すべてのデュラハンを倒しきったようです。下層への階段を見つけましたがいかがいたしましょう?」
「【異世界ショップ】用の金策できたからもういいかな。飽きた。ここは本当にカネに関するものしか出ないんだな。たまには魔道具とか魔法薬とか不思議アイテム出たほうが面白いのに」
「ここの探索を終了して他のダンジョンに移りますか?」
「うーん。ここはこのまま探索終わりにして、あとはしばらくダンジョンはいいかな。北大陸組次第で予定きめるかな」
彼らが帰るっていうなら北大陸にすぐ送ってくか、もうしばらくここにいたいというなら、その間宿でゆっくりするかかな。
俺の予定はばーちゃんが自国に帰り次第動く感じか。
それまでは暇なんだよなー。
ばーちゃんの感じでは俺達がもとの世界に戻る方法が、可能性は低いもののあるかもしれないらしい。
その可能性だけに頼って撃沈するのも嫌なので他も探してみるけどさ。ハルトもマモルも世界をウロウロして探し回ってくれてるし。
しかし旅にはカネが必須。
今回は俺を探す他に金策の意味もあったようだ。
やっぱ世の中カネっすよね。
ってことで、これからは俺がみんなのパトロンになろうと思う。
ここまでこれたのであとはまたカネがなくなったらここに【聖女の願扉】で来てデュラハン狩りすればいい。……狩りというより成仏させてる感じがしなくもなかったけども。
ハルトやマモルなら普通の魔物に対応できるけど俺のスキルではアンデッド系にしか通用しない。
というのは言い訳で、やろうと思えばゴブリンやオークも倒せなくはない、はず。
ゴブリンの頭上に【アイテムボックス術】から岩なんかを出せばいいはずだし、今までほとんど使ったことのないスキルを使えば多少の戦闘はできるはずなんだよ。
その場合、【職業:男子高校生】や【※男子高校生仕様】がどう関わってくるのかわからないのがこわい。
変なペナルティーついたら嫌なのでおとなしく仕様の範囲でできることをする。
俺は帰りたい派なのでできるだけ仕様に沿いたい。
できるだけ。そう、できるだけ。
宿に戻ると誰もいなかった。
部屋付きのメイドさんはいたけど。
「2、3日前から誰もおみえにならなくなったので心配しておりました」
困ったような笑顔で出迎えてくれたメイドさんにそういわれながら部屋に入った。
とりあえずダイニングで部屋付きメイドさんが淹れてくれた紅茶を飲んでまったりする。
アーシュレシカはスマホでシロネ達のスケジュール確認をしているのを「スマホってやっぱ便利だなー」と思いつつボーッとながめる。
「なるほど、承知しました。ではお気をつけて」
確認が完了したらしく、アーシュレシカがこちらに向き直る。
その表情がなんか微妙そう。
「ティムトとシィナは北の冒険者達とダンジョンに潜っているそうです。シロネはアリストリア様と共に領主城にて監禁されている、と」
わー。




