011 出発
朝、商業ギルドへ行って、都合よく明日出発する隊商の商人のひとりの護衛としてついていけることが決まって以降、俺達の予定はもうなかった。
とりあえずこの王都と呼ばれる町での買い物はしないとマモルが言うので、することもない。
旅に際しての準備もクソもなかった。
「じゃぁあとは自由行動ってことで」
とマモルは言って、どこかへ行ってしまった。
それに続いてハルトも
「んじゃオレもその辺見てくるし」
なんて言ってどっか行った。
じゃぁ俺はどうしようか。
いや、そんなの決まってる。
「宿に戻って寝るか…」
ひとりごとを言ってしまった。
「では自分もご一緒します」
シロネが反応してくれた。
「あ、でしたらわたしも」
「…私も共に」
マーニとシュラマルも宿に戻って休むらしい。
よかった。
宿までひとりきりってのはちょっと不安だったところなんだ。
ハルトとマモルには、はじめに掛けた時からずっと【聖女の守護】を掛けっ放しにしてある。
シロネ達にも昨日からハルト達同様にずっと【聖女の守護】を掛けっ放しだ。
もちろん自分はパッシブスキルの【高潔なる聖女】で守りは万全なんだけど、心細さっていうか?
ここで別行動をとっても危険な事にはならないだろうけどさ。
【聖女の知識】的にはどのくらい離れていても、取り消さない限りはずっと掛けっ放しには出来るとはあるのできっと大丈夫…なハズ。
特に話すこともなく、アメリんちの宿に着く。
また同じ部屋を今度は素泊まりで一泊。
アメリ母に食事の事を聞かれてしまったが、シロネがうまく言い訳してくれた。
シロネさんてばなんて素晴らしい人なんだろう。
鍵を貰ってまた同じ部屋へ。
シロネ達も入ってきた。
「あの…自由にしてくれていいんですよ?」
「えぇっと…ハルト様方が居られない時はセージ様の護衛ということでしたので」
「建前ですよ?今は誰も見てませんし」
ダメだ。
奴隷さん相手についうっかり慣れてもいない敬語になってしまう。
ハート弱すぎな俺。
うっわ、1対3とかどうすればいーの?!
助けて勇者!助けて賢者!自由人共め!
「あはは、自分らすることないッスから。便乗させていただいたって感じッス。お気になさらず」
なるほど。建前を建前とした暇潰しか。
頭いいな。今度使わせてもらおう。
ちなみにハルトとマモルには素泊まりで同じ部屋をとった事はSNSの俺達3人だけのグループチャットに連絡を入れておいた。
昼になってもハルト達は戻ってこなかった。
なので俺はシロネ達と4人で昼食をとる。
シロネとマーニは昼食をとることに驚いていた。
シュラマルは特に反応もなかった。
朝はまだ【異世界ショップ】のレベルの関係で出せなかった種類のパンやおにぎり、飲料、パックサラダ、それにかけるドレッシング、シロネ達用にフォークと俺用に割り箸を【アイテムボックス】から出す。
商品自体は【異世界ショップ】のレベル上げの為に買っていたので【アイテムボックス】に入れてあった。
「あれ?セージ様は箸ッスか?」
「そうだけど…知ってるの?」
「はい。旅芸人時代に使い方を覚えてから、使い勝手の良さにずっと使ってたッス」
「わたしも…東の大陸では大体の人が使えます…よね?」
マーニが最後、シュラマルに確認をとる。
「はい。私の居た地域でも箸は使っておりました」
「じゃぁみんな箸の方が使いやすいのか。こっちにする?」
と聞くと、三人とも頷くので割り箸を配った。
あとはシロネとマーニが適当に話題を振っての食事になったおかげで、皆黙ってモソモソと昼食をとることにならなくて一安心。
こちらからの話題は無いが、この人数で黙って食べるのも気まずいからね!
我がままチキンでごめんよ。
昼食の後はゴミをゴミ袋にまとめて【アイテムボックス】へ片づけた。
後は宿に戻ってきてからもずっとやっていた【異世界ショップ】のレベルを上げつつ、スマホのゲームアプリで遊ぶ。
【異世界ショップ】のレベル上げに飽きてスマホいじりでアプリを開いてみたら、普通に今までやっていたオンラインゲームが出来た。
ちなみに課金は出来そうでまだ出来なかった。
課金の項目は何故か微妙に異世界仕様になっていて、銅貨2枚から使えるようになっていた。
まだ1商品につき銅貨1枚までしか使う事の出来ない俺には無理だった。
スマホ自体も異世界仕様になっているようで、料金関係は全てこちらの金に換算されていた。
けどこれはあまり深く考えるだけ無駄っぽいのでそういうモノだと受け入れた。
そうやってアプリで遊びつつ、【異世界ショップ】のレベル上げをしていると、ハルトが戻ってきて、その小一時間後にマモルも帰ってきた。
おやつ時だった。
二人は観光してきたらしい。
その間俺はゲームと片手間に【異世界ショップ】のレベル上げ、シロネ達は同じ部屋でじっとしていたりたまに室内をうろついてみたり、ガラスの無い窓から町を眺めてみたりしていた。
ハルトは町の中を適当に歩いてみてまわってきたらしく、感想は「つまんねー町」。
マモルは市場価格を中心に調べつつ主に店を回ってきたらしい。
まだ最初の町なので特に感想は無かった。
で、俺はゲームしながらとは言わず、報告。
「ショップレベルが10になった。そしたら“アイテムチャージ”って項目が増えた」
なるべくキリっとした顔で言ってみる。
「語感としては使い勝手良さそうな雰囲気だな」
「試してみた?」
そう。
ついに【異世界ショップ】レベルが10に上がった。
そしたら買えるアイテムや使える単価が増えるだけでなく、【異世界ショップ】で出来ることが増えた。
これにはちょっと感動した。
同時に達成感もあった。
もっと【異世界ショップ】のレベル上げかんばろうと思えた瞬間だった。
「うん。試した。スキルの説明見る限りでは“アイテムチャージ”はアイテムをチャージすると査定額が出て、ショップで使える金としてチャージされる」
「そのまんまだね。売れないアイテムをコツコツチャージしていけば金貨を使うことなくショップで買い物ができるってことだよね」
「で、なにチャージしたんだ?」
「うん。ゴミをチャージしてみた」
「え、嘘だよね?」
「マジかよ…」
「昨日からのゴミをまとめて“アイテムチャージ”に掛けてみたら、鉄貨2枚になった」
鉄貨がまだどのくらいの価値なのかは分からないが、とりあえず銅貨以下らしい事だけはチャージされた画面を見てわかったことだ。
「ゴミを出してお金取られるどころかもらえたってこと?」
「マジかよ…」
マジだったんだよ、勇者くん。
俺もびっくりしたさ。
「うん。で、ショップレベル的には一気にグレードが上がって、コンビニで買えそうな物は大抵買えるようになった」
そうこんな感じ。
――――――――――
【異世界ショップ】Lv.10
コンビニ解放
単価上限解放
アイテムチャージ解放
――――――――――
「すっげ…」
「漫画や雑誌が買えちゃうね!」
マモルが気になったポイントはそこらしい。
「そう思って買ってみました。この国の観光マップ誌!」
さっと【アイテムボックス】から二人の前に観光マップ雑誌を出す。
カラフルな写真やイラストがあって、おすすめ観光スポットやお土産などの記事も掲載されている。
誰がこの記事書いたり撮影したんだろうと思えなくもないが、それは謎のままそっとしておく。
「わお」
「【異世界ショップ】ヤベェな」
「それから朝に聞いた、これからの旅で行く予定の国の分の観光マップ雑誌も買っときました」
「さすがセージ。こういうことに関しては抜かりないね」
限定的な方面に対しての絶大なる信頼を得ていたらしい俺。
ちなみにこういうことってどういうことだよ?
マップ雑誌を眺めつつ、ここ行ったらこれ買ってこれ見てあれやって…など皆でワイワイやっていたら夕食時。
夕食はサラダとコンビニ弁当とホットスナック。
これで後は風呂にさえ入れれば文句は…あぁ、ベッド問題ね。
風呂問題とベッドに不満を持ちつつ、その日を終えた俺達だった。
翌未明。
アラームの音と振動で目が覚める。
昨日寝る前、夜明け前に起きられるようにセットしておいた。
「おーい、時間だぞー」
とハルトとマモルを起こす。
昨日もなんだかんだないようであったためにかたいベッドでもサクッと眠ってグッスリだった。
「んー、おー、さんきゅ」
「ふあぁぁ…ありがと。よく早いのに起きれたね」
幸いにしてハルトもマモルも意外と寝起きが良く、素直に起きる。
「おう、アラームでばっちりだ」
「あぁ、なるほど。アラーム。忘れてた…」
「オレもすっかり頭になかった。アラーム設定しとくとかさすがセージだな!助かったぜ」
「褒めてもなんもでねーぞ…ほら、飴だ」
ショップレベル2で買えるようになる100円玉サイズのボール状の飴に棒が付いてるあの棒付きキャンディー。
コンビニでも50円あれば買えるが、スキルのショップでは1つ銅貨1枚(100円)と結構割高な飴ちゃんだ。
【異世界ショップ】レベル2から3にレベル上げしている時にいくつか買っていたのを数本、ハルトにあげた。
「なんだよ、出てくんじゃねーか。へへへ」
意外と喜んでくれた。
そんな感じで朝っぱらからじゃれながら身支度を整えていると、部屋の扉をノックする音とそのあとからマーニが小声で入室許可を求める。
ハルトが返事をすると、マーニ、シロネ、シュラマルの順で部屋に入ってきた。
三人とも装備まで整えて準備万端だった。
「おはようございます。お支度の方は整いましたでしょうか?」
一応服は着終わっている俺達。
俺はあとローブをすっぽり被るだけだが、ハルトとマモルは冒険者風装備をつけなければならない。
それを察したのかマーニとシュラマルがそれぞれハルトとマモルの装備を手伝い始める。
シロネも装備品の多いハルトを手伝うようだ。
装備を手伝ってもらう間、ハルトはマーニ達に何故早く起きることが出来たのか聞いていた。
マーニ達は俺のスマホのアラームが聞こえていたらしく、それで起きることが出来たんだとか。
獣人だけに耳がいいんだな。
と同時に、さっきのバカな会話も聞かれていたんだなと思うと恥ずかしくなったのは俺だけではないはずだ。
支度が終われば全員に【クリーン】を掛け、ついでに部屋全体にも【クリーン】をかけて2日間世話になった部屋を後にする。
階下におりれば既に人は働いていて、アメリもいた。
「あ!ハルトお兄ちゃんたちだ!おはようございます!」
「おはよう、アメリちゃん」
ここは完全にハルトに任せる。
「もう出かけるの?」
「うん。お世話になりました。よかったらこれ」
と言ってハルトはさっき俺があげた棒付きキャンディー全部をアメリ少女にあげた。
「わぁ、こんなに?!いーの?!」
「もちろん。色々教えてくれたりいい宿案内してくれてありがとうね」
「ううん!こちらこそ!家の宿ご利用いただきありがとうございました!でね、あのね、これ、父さんが皆さんにって!」
父さんと聞いて受付の奥を見ると、アメリの父と思しき男性がこちらを見て会釈している。
それに会釈を返し、アメリの手元に視線を向けるとそこには焼き立てっぽい黒パンにタマネギのスライスと生ハムのサンドイッチが人数分、カゴに入っている。
俺達の間になんともいえない空気が一瞬醸し出される。
が、ハルトは笑顔でそれを受け取った。
「わー、うれしいな!ありがとね」
すごいぞ勇者!
全然棒読みじゃない!
心がこもっている!
「こちらこそ、高価なお菓子にお返しできるのがこんなもので申し訳ないのですが」
アメリ母が娘の声を聞いたのか、食堂からこっちに来た。
「でもこのサンドイッチ、うちで人気なんだよ!」
アメリ少女の眩しい笑顔がさく裂。
口に合わないという理由だけで食べない自分があさましく思えるのは、これも俺だけじゃないはずだ。
カゴのままくれると言うのでそのまま貰い、陽が昇る前だというのに賑やかな別れとなった。
アメリの家の宿から王都の外門までは歩いて30分ほどらしい。
その間に【異世界ショップ】で買ったおにぎりと水を皆に配って食べ歩く。
マモルだけはカロリーバーと水で朝食していたが。
アメリのお父さんから貰ったサンドイッチは全部ハルトの【アイテムボックス】に大事に保管された。いつか日の目を見ることを祈るばかりだ。
とくに急ぐことなく大通りをてくてくと歩き、30分。
集合場所である王都門前に着いた。
そこには既に多くの荷馬車や人がいた。
「えー…と、あ!ゾーロさん!おはようございますっ!今日からよろしくお願いします!」
ハルトが目的の人を見つけたのか大きく声を掛けた。
「はい、どうぞよろしくお願いしますね、ハルトさん。そちらがお仲間ですかな?」
ハルトに返事をしたのはハルトがゾーロさんと言った人なのだろう。
まだ暗くてよく分からないが、シルエットはガッチリめのぽっちゃり系、雰囲気は温厚そう。
「はい、こっちの背の高いヤツがマモルって言うんですけど、コイツは魔法が得意で、こっちの目立たないヤツがセージ。コイツは回復系を使えます。あとは俺達それぞれの身の回りの世話頼んでるマーニ、シュラマル、シロネです」
ハルトが俺達を紹介し、名前を出されたところで順番にゾーロさんに会釈をしていく。
ハルトが身の回りの世話と言ったところで一瞬ゾーロさんの口元が引くついた気がするのは気のせいではなさそうだ。
「み、皆さまもどうぞよろしくお願いしますね。それでハルトさん、例の件ですか…」
「あっ、はい!どれでしょう?」
「こちらがそうです。いやー、ありがたいです。本当に助かります!これがお任せする商品の一覧となりますのでどうかよろしくお願いしますね」
そう言ってゾーロさんがハルトに示したのは大量の木箱や樽。
アレがハルトが頼まれたっていう荷物なんだろう。
結構あるな。
「いえね、ハルトさんが【アイテムボックス】持ちということだったので、目的地が一緒なら同行させてくれるなら多めに荷物を運んで下さるというお話をいただいたものでね。それで何事もなく荷物を運ぶことが出来たら現地で報酬を。それまでは荷車一台の護衛と自分達の荷は自分たちで持つという条件のもとなら、と同行をお願いしたのですよ。本来なら護衛してくれるあなた方の食料の準備もこちらでしなくてはならないのですが、急に決まったことと、より多くの荷を運ぶということで出来る限り荷を積むことを選ばせてもらったので…はい、ハルトさんもそれで良いとおっしゃるもので、甘えてしまいました。調子に乗ってあれから急いで買い込んでしまいまして。追加の荷を選んでいる間に自分の商売の事ばかりで失礼したなと反省しまして。で、前金として少しばかり用意することにしました。あぁ、もちろん無事荷運びを終えれば予定通りの報酬はお渡ししますので!」
やべぇ。めっちゃしゃべる。
俺達がゾーロさんから説明を聞いている間に、ハルトはさっさと任された荷物をマーニやゾーロさんの関係者と思しき人と確認しながら【アイテムボックス】に収納している。
そんな様子を見ていた俺達の視線に気づき、ゾーロさんもハルトの方を見れば、きれいさっぱり荷物が消えていることに小声で盛大に感動していた。
一応夜明け前ということで周囲に気を配っているらしい。
そしてハルトのもとへ行き、また何やら話している様子。
交渉しているのかもしれない。
それからハルトに何かを渡し、他の商人達のもとへ行った。
それを見送ってからハルトが俺達のもとへ戻ってくる。
「いやー、ゾーロさんめっちゃ喜んでたな。前金で結構銀貨もらえたぞ。もしかしたら隣国付近に着いたらまた追加で荷物頼むかもって言ってた。その時も荷物に応じて追加料金くれるってさ」
マモルと俺はハルトの仕事の早さに寒気を覚える。
いくぶんコミュレベルが上がったマモルと言えど、俺達には到底まねできないコミュ力の高さだった。
ちなみにゾーロさんから何か渡されていた物は前金に貰った銀貨が入った小袋だった。
「へー。で、この荷車が僕たちが任された荷車?」
俺より早く気を取り直したマモルがたずねる。
「そーそ。出発して移動している間に手前の荷物の一覧作って、それをまた俺が【アイテムボックス】に突っ込めば俺達が乗るスペース作れるってさ」
「なるほど。なかなか商魂たくましい御方なんだね」
マモルが引くほどらしい。
「そーなんだろうよ?ゾーロさんも御者席に座る以外、いつもは徒歩だって言ってたし。久々に楽が出来る旅だってさっき喜んでたよ」
なるほど、遅ればせながらようやく俺もわかった。
俺達が荷車に乗りこむ分の荷物は【アイテムボックス】に入れる。そしたらその分の荷運びはタダだもんな。その空けられたスペースにゾーロさんも便乗する予定、ということか。
間もなくして夜が明け、門が開いたことで出発となった。
商人たちが自分達の馬車まで戻り、馬を動かす。
いや、馬じゃなかった。
馬っぽい何かだった。
薄暗い間はシルエットで馬だと思っていたが、夜明けで周囲が明るくなってくると、その姿がハッキリと見ることが出来た。
姿やタテガミは馬っぽいけど、その以外は爬虫類っぽかった。
俺達が知っている馬よりも足は太く力強い。
相応に尻尾も太く、オオトカゲのそれのよう。
コイツは馬竜と呼ばれる、人懐こい種類の竜種らしく、見た目も馬っぽいことから古くから人に親しまれている。それでも馬よりは高価なので、金持ちぐらいしか持つことは出来ていない。
正確には餌を用意出来れば誰でも買うことは出来るらしいが、一般家庭では難しいだろう。餌も肉らしいし。
姿は馬でも一応立派な竜種で肉食なのだ。
とは後でゾーロさんから聞いた話だ。
ついでにこの隊商は馬竜持ちのみの隊商となっている。
そんな馬だか竜に驚きつつ、ぞろぞろと隊を組む商人たちに紛れて俺達も移動を始める。
ゾーロさんの荷車は二台の幌馬車だ。前の荷車を俺達が、後ろの荷車をゾーロさんとゾーロさんの息子さんと、ゾーロさんの店の人、それからゾーロさんが雇った護衛、《煌めきの刃》という4人組のパーティーの冒険者でかためている。
早速俺達が任された荷車に向かい、ゾーロさんと俺達は集まり、荷物を整理していく。
「いやぁ、助かります、助かりますなぁ」
このお方、俺達を便乗させてくれるぐらいには人は良いんだろうけど、その顔は「この空いた場所にまたどのくらい荷物を詰め込むことが出来るだろう」みたいな計算が見え隠れする。
木札に荷物の詳細を書いて、それに沿ってまたハルトがその木札に書かれた荷物を【アイテムボックス】に入れ込んでいくと、荷車の半分のスペースを空けることが出来た。
そこに俺達は無事に乗り込むことが出来た。
広さで言えば三畳分くらいだろうか。
俺、ハルト、マモル、ゾーロさん、ゾーロさんの息子さんでギュウギュウだ。
俺達が預かる馬車の御者はシュラマルとシロネが交代で務め、マーニは荷車の幌の上で警戒にあたってくれることになった。
馬車の操縦のことまで考えていなかったので、シュラマルとシロネが出来る人でよかった。
そうして隊商の移動が始まってから数分後、俺達の馬車の番になり、王都の門をくぐり街道へと出た。




