物乞いのタロス
「お久しぶりですね?タロス爺さん。」
「金くれっ!金くれっ!?なんじゃお前アレか?ワシの哀れさが分からんのかコラッ!?」
「相変わらずのクソジジイですねぇ?あいさつも出来ないなんて、首をへし折ってその哀れな人生ってのを楽にして差し上げましょうか?」
この小汚い物乞いの爺さんはタロスという人間だ。
以前この道で行く人に商品を売ろうとしたら、皆さんの前で品を盗もうとしたので少し捻ってやったのです。
周りの方々が物乞いをいたぶるのは可哀想だと仰るので許しましたが、反省してるかどうかは分かりません。
その恩赦を今日取り立ててやろうという訳で。
「貴方、これ読んでくれますか?」
私は封の空いた手紙を渡した。
「なんじゃ?ドラグニールの紋章?どこで手に入れたんじゃ?金をくれっ!」
「黙って読んで下さい。殴りますよ?」
タロス爺さんは近くの首領が治める街で過剰な物乞いをし過ぎて放逐された。
その図々しさが、私には清々しく思えた。
「んっとじゃな、老眼で良く見えんのじゃよ。」
「じゃあ読めないんじゃないですか。もういいですさよなら。」
私は手紙を掴み、先を急ごうとした。
「待て待て待て!ドラグニールの紋章ならわかるぞい!どこに行けば良いかも!」
タロス爺は『金をくれ』のフォームのまま食い下がった。
「お前さんこの先は始めてじゃろ?ワシなら案内出来る。シルバーピーチまでじゃ!」
確かにそうかもしれないが、、、
「分かりました。あなたを追い出した街まで連れて行きますよ。」