死体漁り
「「カタカタカタカタ」」
私の行く道を塞ぐ存在。
スケルトン。
「邪魔です。もっぺん死んで下さい。」
そこらへんで拾った木でスケルトンをぶっ叩くと、なまくら剣を持った骨が、そこら中に散らばる。
スケルトンがいるという事は、人間がいたという事。
ここは、オーガの村から少し離れた、サイクロプスの森からも少し離れている土地。
スケルトンは1秒も相手にしたくない。
時間の無駄だ。弱いし、面白くない。
「人は通ったんでしょうが、、皆死んだんでしょうねぇ。。」
人間の遺体が続く、名も知らぬ道。
人は争って死ぬ。それ自体は良くある事だ。オーガの私は理由など知らないが。
私は基本的に風態を見破られない様に大きいマントで身体を覆い、笠を被り、頭巾で顔を隠す。
それは取引相手がオーガ以外というのもあり得るからだ。
そして、おそらくこの戦場跡には、人間相手になる稼ぎがありそうだ。
「なまくらでも、剣は剣だ。」
スケルトンと横たわる遺体から、剣を回収する。
「死体漁りは褒められたものじゃありませんが、資源は有効に使わせて頂きます。」
僅かながらの金貨、銀貨、銅貨。
なまくら剣、ナイフ。
酒、マファーナ。マファーナは恐怖と痛みを和らげる薬だ。使い過ぎれば腑抜けになる。
「おや?これは、、、」
貴族らしき遺体から、高級感のあるロケットを見つけた。
ロケットには女性を象った細かいモザイクガラスが埋め込まれていた。非常に凝った品だ。
「美しいお嬢様ですね。恋人でしょうか?他には何かないですかね?」
あとは一枚の、封の空いた手紙。
竜の紋章が捺印されている。
「致命的な事に、人間の文字が読めないんですよね、私。」
それ以外には何もない。
暫くしてから、私はこの死んだ人間達が来たであろう道を行く事にした。
「この先には、確か、物乞いのタロス爺さんがいましたねぇ。何か聞けそうですし。」