4−39話:空 side
「よし、準備できた」
お風呂から上がって、髪もしっかり乾かしてあとは寝るだけ。
私は今再び先輩の部屋に来てる。
今夜寝る部屋について話が出た時、氷華ちゃんが「え、雪ねぇの部屋じゃないの?」という一言で決定してしまった。確かにそう、そうなんだけど……
「それじゃあ私はお風呂行ってくるね」
「あ、はい。いってらっしゃい」
「うん。あ、ベットは空色が使っていいからね」
ニコッと笑みを浮かべて、そのまま部屋を出ていった。
パタリと扉が閉まって、遠くなっていく足音。しんと静まり返った部屋の中で、私は先輩から言われた言葉を声に出していってみた。
「先輩のベットを、私が使う?」
自然と視線が先輩のベットに向かう。
普段先輩が使っているベット。当然、先輩の匂いが染み付いている。呼吸をするだけで先輩の匂いが……。
「む、無理無理無理無理!」
そんな、先輩が使ってるベットで寝るだなんて無理だ!
(折角服を回避したのに!)
お風呂に入る前、着替えのことで氷華ちゃんに服を貸して欲しいと言ったら……
「え、雪ねぇのじゃなくていいの?」
もちろん全力否定した。嫌というわけじゃなく、先輩の服を着るということは先輩に包まれてるのと一緒。そんなことになったら私容量オーバーで倒れちゃいそう。
なんとかそれを回避して、氷華ちゃんの服を借りたというのに、このまま先輩のベットで寝てしまったら意味がない。
先輩の部屋ってだけでも緊張するのに、ベットで寝るだなんて、どんな仕打ちだろうか……。
「戻って来たら断ろう」
流石に立ちっぱなしは疲れるし、とりあえず床に敷かれている布団の上に腰を下ろして、先輩が戻ってくるのを待つことにした。




