4−38話:雪 side
二人がお風呂に入っている間、私はお母さんと一緒に洗い物をしていた。
「あ……あ……」
「霜汰ー、それは食い物じゃないぞー」
「あー」
お父さんはテレビを見ながら、足元で遊ぶ霜汰の面倒を見ている。
おばあちゃんはもう自室に持っちゃった。まぁ、昼間はいっぱい霜汰の面倒を見てくれたからね。ゆっくり休んで欲しい。
「ねぇお母さん」
「んー、なーに」
「……いいの?」
特に何かを明確に言ったわけじゃない。だけど私がその三文字に込めたのは、恋人が女の子であることに対して。
同性の恋愛は、当然子供に恵まれない。正直、そこを心配されると思っていた。だけど、お母さんもお父さんもおばあちゃんも、みんな喜んでくれた。それは純粋に嬉しかった。嬉しかったけど、実際はどうなのだろうかと。
「なになにー、お母さんが偏見持ってると思ってるの」
「そういうつもりはないけど……というか突っつかないで」
「あはは、ごめんごめん。んー、そうね。仕事柄同性愛に偏見ないのは本当よ。それにね、貴女が幸せならそれでいいわよ」
「……孫の顔見せられないよ」
「やっぱりそういうこと気にしてたのね。別に、幸せなら子供なんていらないわよ」
そう言いながら、お母さんは頭を撫でた。
嬉しいけど、やっぱり申し訳ない。多分、私たち姉妹は両親に孫を見せてあげることができない。
氷華も多分、恋愛に興味ないだろうし、好きになっても男っていうよりは……
「ただね」
「ん……うん」
「大きくなった霜汰や、あっちの両親はどうかしらね」
ちょっとだけ、苦笑いを浮かべながらお母さんはそう言った。
霜汰のことは将来的なことだから考える余裕はあるけど……確かに空色の両親はどう思うだろうか。二人とも有名人だし、そこは少し敏感になりそうだった。
「……頑張るよ」
「ふふっ、何かあったらすぐにいうのよ」
「ありがとう」




