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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
4章:夏は溶け、秋空に歌う彼女の恋
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4−27話:雪 side

美術部が展示を行っていた教室を出て、校舎内のホールを通り、螺旋階段を上っていく。

先に私が上って、その後ろを空色くしなが追いかけてくる。

ここは普通の校舎とは違って、大きな時計塔。なんていうか、教会みたいなところかな。使用するのは年に一度。普段は立ち入り禁止だけど、こういうイベントごとの時だけ解放される。


「大丈夫?」

「あ、はい。大丈夫です」


入学したばかりの1年生は当然ここに来たこともないだろうし、正直この階段を登るのはきついだろうなーと思うけど、下だと誰かが来てしまうかもしれない。大切な話をするんだし、誰にも聞かれたくない。


「はぁ、はぁ……」

「お疲れ様。ごめんね、こんなところまで連れて来て」

「い、いえ……わっ……」


この時計塔の最上階。螺旋階段の先にある空間には四方が大きなステンドグラスで囲まれている。まぁなんていうか、正直神秘的な空間というか、ムードはあるよね。


「素敵ですね」

「気に入ってくれたみたいで良かった」


遠くから聞こえる人の声。この建物に響く音は私たちだけ。大丈夫、ここにいるのは私たち二人だけ。誰にも邪魔はされない。


「聴いてくれてありがとう」

「え……」

「歌。しかも一番前で」


あれだけはちょっと予想外だった。まさか特別席にいるなんて思わなかったし。でも、正直嬉しかった。空色が目の前で私の歌を聴いてくれたのが。


「とても素敵でした」

「ありがとう。最高の一曲だったよ」


あぁ……空色、すごく緊張してるな……それに、なんだか恥ずかしそうだ。

ちょっとは雰囲気を察してくれてるのかな……。

私はゆっくりと空色に近づき、彼女の顔を覗き込んで尋ねた。


「伝わった、かな」


空色が紡いだ言葉。それを私の声で歌う。

ただの歌詞じゃない。彼女が私に伝えようとした言葉を、今度は私が彼女に伝えた。

ねぇ、空色……あの涙は、どういう涙だったの?

少しだけ不安を感じながら、私は彼女の返事を待った。


「伝わり、ました」


顔真っ赤にして、少しうつむきながら空色は強く頷いた。

うん、やっぱり可愛い……本当にそんな反応されると感情が抑えられなくなる……


「私、空色のことが好きだよ」


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