4−21話:雪 side
「お待たせ」
春歌さんと別れた後、一度教室に戻ってギターを回収して、そのまま軽音楽部の部室に足を運んだ。
「あ、雪凪先輩!」
「今揃ったところから大丈夫だよ」
私が最後だったみたいで、メンバーは全員揃っている。
ある者は楽器の調節を。ある者はおしゃべりを。ある者は買って来た食べ物を食べていたりと、教室の中は自由な空間になってた。
「本番まで時間ないし、最後の練習始めよう」
「はーい」
「やる気だね。なんかいい事でもあった?」
ニヤニヤされながらそう聞かれ、私は「なんでも」なんて言ったけど、口元は緩んでいただろう。
それが見えたのか、「察し」なんて言われてしまった。
私って、思っていた以上に顔に出るタイプのようだ。かなり今更だけど。
「雪凪もなんだかやる気いっぱいだし、最高のステージにしましょうよ」
「ですね」
「一番目立とうよ!!」
メンバーも大いに盛り上がり、部室で最後の通しを行った。
しばらく練習をした後、部室の扉がノックされた。
菫先輩が返事をして扉を開くと、メガネをかけた人がいた。
「流々ちゃーん」
「ん……はいはい、急に抱きつかないで」
「つれないなぁ……」
「副会長だ」
メガネをクイっとあげる彼女は、うちの学校の生徒会副会長。
そう言えば、菫先輩と仲良かったっけ?
「軽音楽部の皆さん、そろそろステージの準備の方をお願いします」
「流々ちゃんがわざわざ呼びに来てくれるなんて嬉しいなぁ」
随時ニコニコ笑顔の菫先輩。よっぽど好きなんだな。
「それじゃあ、準備しますか」
「外に台車をいくつか持って来ているので、必要なら使ってください」
「ありがとうございます、副会長」
持てる荷物は自分で持ち、運べない大きな物は台車で運んで、私たちはメインステージに向かう。
いよいよ、その瞬間が始まる。




