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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
4章:夏は溶け、秋空に歌う彼女の恋
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4−17話:空 side

「あ、あわわっ」

「おぉー、ピッタリだぁ」


一通り学校内の出し物を見て回った後、クラスの様子を見に氷華ひょうかちゃんと立ち寄ったんだけど、なぜかクラスメイトの子たちに捕まえられて、出し物の衣装であるメイド服を着せられた。


「お願い二人とも。少しの間でいいの。手伝って!」

「任せろ!」

「え……わ、私接客は……」


氷華ちゃんはノリノリで受けてるけど、私は正直無理!!

手伝うのは別にいいんだけど、人前に出るなんて無理!!せめて裏方にしてほしい。


「勿論少しの間だから、ライブの時間になったら抜けていいから。お願い!!」

「で、でも……」

「まぁまぁくーちゃん。クラスメイトが困ってるし、少しだけ手伝おう」

「でも私、接客は……」

「何かあったらフォローするから。お願い!」


それでも、やっぱり接客は難しい。私人見知りだし、うまくできるかわからない。でも、ここまで頼まれてしまっては、断ることもできない。

氷華ちゃんもやるって言ってるし、私も頑張ってやってみよう。


「わ、わかった」

「助かるよ桜和おうかさん!!」


こうして、私と氷華ちゃんはクラスのお手伝いでウエイトレスをすることになってしまった。

女子校とはいえ、文化祭には当然男の人も遊びにくる。家族だったり、兄弟だったり、中学の友人、後は恋人とか。


「すみません、注文お願いしまーす」

「あ、は、はい!」


元々の人見知りで、受け答えも少しタジタジしてしまう。

対応しながら、お客さんがイライラしていないかと不安になってしまう。


空色くしな—、遊びにきたよぉ〜!」


その時、聞き覚えのある声が聞こえた。

寂れた人形の様に、ギシギシと音がなっている様な動きで振り返ると……


「あ、春歌はるかさん。ゆきねぇ。いらっしゃい」

「わ、氷華かわいい。写真とっていい?」

「どうぞどうぞ、好きなだけ撮ってくださいな」


そこには、お姉ちゃんと雪凪せつな先輩の姿があった。な、なんで二人が一緒にいるの!!は、恥ずかしい!!

今すぐ裏に引っ込んで隠れたい。これ以上先輩にこんな姿見せたくない……。


「ほら、くーちゃんも一緒に撮ろう」

「氷華ちゃんはもう少し恥じらいを持とうよぉ」


くっついてピースをするノリノリの氷華ちゃん。私はもう泣きたくて泣きたくて仕方がない……。


「こーら、二人とも。お仕事お仕事」

「おっと、ごめん委員長。じゃあ春歌さんたちはくーちゃんに任せるね」

「へ!私!」

「桜和さん、お願いね」


その場に取り残された私は、小さくため息をこぼして、少しうつむき気味になって二人を案内する。

お姉ちゃんには普通に対応できるけど、先輩は、恥ずかしくて目を合わせる事さえ出来ない……


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