4−13話:空 side
「あ、雪ねぇー、くーちゃーん」
お姉ちゃんたちの演奏が終われば、お客さんたちはステージから離れて行く。
私と先輩も、そのまま人の波に流れて行くと、途中で氷華ちゃんと合流した。
「聴こえてた?」
「うん。かっこよかった!!」
「それはよかった」
氷華ちゃんのテンションは凄く高かった。ライブ、凄く楽しかったみたいだな。
「どうする?もう少し回る?」
「氷華ね、行きたいところ見つけた!」
「あぁやっぱりか」
実は私も、何箇所か行ってみたいところがあったので、申し訳ない気持ちを抱きながら申し出た。
「じゃあ、全部回ろうか」
本当に先輩は優しいな……
途中で人の波から抜け出して、また出し物を回った。
行きたいところはそんなに多くなかったから、あっという間に回り終わってしまった。
そのまま大学を出て、駅のホームで電車がくるのを待っている間に、先輩がお姉ちゃんにメッセージを送っていた。
「お姉ちゃんですか?」
「うん。帰る連絡。そしたら、改めてお礼させてってさ」
「氷華ご飯がいい!!」
私も帰ったらお姉ちゃんにお礼言おうかな。曲、凄くよかったし、学祭もすごく楽しかった。
「折角だし、三人でご飯食べようか。空色の最寄駅近くでいい?」
「賛せーい」
「え、いいんですか?」
私の駅でご飯って、それって二人が一回駅を降りるってことだよね……
それだと先輩たちの電車代がまた負担になって……
「そ、そんな申し訳ないです!!」
「あ、くーちゃん今、電車代のこと気にしたでしょー」
「え、なんでわかったの!?」
「気にしなくていいよ。折角なら、三人で食べたいし」
二人とも、笑ってそう言ってくれた。
嬉しくて、恥ずかしくて……ありがとうと言いたいのに、申し訳なさもあって、なかなか言えなかった。
「あ、ありがとう……ごっ、ございます……」
「気にしなくていいよ」
「くーちゃんは何食べたい?」
数分後、電車が来て三人で乗り込んで、私の最寄駅で降りる。
立ち寄ったお店は、近くのファミレス。
「何が楽しかった?」
「んー、氷華はねー」
注文を済ませた後は、学祭の話をたくさんした。
どれが一番楽しかったのか、こういう出し物は結構意外だったとか、いろいろなこと。
「氷華ね、絵の参考でいっぱい飾りとか、内装の写真とか撮ったんだ」
「あ、私もお菓子の写真いっぱい撮ったよ」
テーブルの真ん中に、私と氷華ちゃんはスマホをおいて画面をスクロールする。
氷華ちゃんの写真は、飲食店の内装デザインがメインで、私はケーキなどがメイン。
文化祭の参考用と同時に、今後のお菓子作りの参考用も含めて写真をとった。
「やっぱり大学生の作るお菓子はクオリティ高いから、新作のいいアイディアになる」
「なら、次の空色の新作、楽しみだな」
その言葉は、最近ではよく聞く言葉だった。
だけど、やっぱり何度言われても嬉しくて、私は少しはにかみながら
「頑張ります」




