4−9話:雪 side
「お、いらっしゃーい。高校生組」
一通り遊んだ後、三人できたのは春歌さんのクラス。
氷華と空色のクラスと同じ喫茶店だが、店内の装飾とかはまさにお店って感じのクオリティ。大学生ってすごいな……
「わぁー!!」
「春歌さんかっこいい!」
「似合ってますね」
「でしょでしょ。もっと褒めていいんだよ」
春歌さんのクラスは喫茶店は喫茶店だけど、男装喫茶。春歌さんだけじゃなくて、他の人たちもビシッと決まってかっこいい。
女の子だけのクラスなのに、お客さんは女性が多くて、少数の男性は、連れられてって感じ。
「この席にどうぞ。後、これメニューね」
「ありがとうございます」
「おぉー、メニューの量すごい」
「どれも美味しそう……」
メニュー表に書かれてる名前の量がかなり多い。
これを全部提供できるなんてすごいな……
こういうのが大好きな妹組は、目をキラキラさせてどれを食べるか迷っていた。
「おすすめは、パンケーキセットね」
「あ、じゃあ私はそれで」
「オッケー。飲み物は紅茶だけど大丈夫?」
「はい」
「あ、氷華もそれがいい。くーちゃんは?」
「じゃあ私も同じの。多くて逆に選べない」
「三人ともパンケーキセットね。それでは、少々お待ちください。お嬢様」
接客台詞なのか、春歌さんは軽く頭を下げながらそう言って、下がって言った。
氷華と空色は「おー」と声を出しながら小さく拍手をする。
だよね、新鮮というか、ぽいって感じで驚くよね。
パンケーキが来るまでは三人でおしゃべりしたけど、氷華は店内の装飾とかが創作意欲を刺激しているのか、辺りをキョロキョロしながら何かをブツブツ呟いていた。
空色は逆にメニューにクギ付け。写真は一部のものしか貼られていないから、気になる名前に「どんなのだろう」と考え込んでいた。
(二人とも楽しそうでよかった)
私は特に興味を惹かれるものもないし、ぼんやりと辺りを見ていた。
「お待たせしました。パンケーキセットです」
十数分後、頼んだパンケーキが運ばれてきた。
分厚いパンケーキに、生クリームとアイスが添えられていて、フルーツも結構乗ってる。本当にお店で出て来るような商品だ。
「んー、美味しい」
「生地もほんのり甘い……だからかな?生クリームはあんまり甘くないな」
「結構お腹にくるね」
もうこれがお昼ご飯でもいいかもしれないな、と思えるほどの量。
でも、意外とペロッと食べられた。やっぱり甘いものは別腹なのかな。
「お味はどうでしたかな?」
ちょうど食事を終えた頃に、春歌さんが声をかけてきた。だけど、衣装は私服に戻っていた。
「ライブの時間になると、ステージは人たがりができるから、前の方に行きたかったら早めに言ったほうがいいよ」
「了解!」
「わかりました」
「お姉ちゃん、練習?」
「うん。最後の調節。それじゃああたしは行くね。来てくれてありがとう」
軽く手を振りながら春歌さんは教室を出ていった。その背中を見送った後は、少しおしゃべりをして、お会計をして教室を出た。




