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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
3章:春過ぎて、来たる夏は彼女とともに
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3−35話:雪 side

「はぁ……暑い……」


 本格的に夏休みに入って、今日は八月頭。私は今、バイト先であるライブハウスに来ていた。エアコンがついてるとはいえ、このライブハウスは地下にあるからやや蒸し暑さを感じる。


雪凪せつなちゃん、次こっちお願い」

「あ、はい!」


 額から汗が流れる。大事な機材に汗が落ちないように気をつけながら、黙々と作業をして行く。


「今日何組でしたっけ?」

「5組よ。ライブは夜だから、来るのは16時ぐらいからかしら」


 夏休みということでライブハウスを利用するバンドは通常よりも数が多い。人手不足で、いつもよりもバイトの数が多い。それにプラスとして軽音楽部の練習。なんというか、とても忙しいけど、なんだか充実した夏休みを送れている気がする。嬉しい気もするが、なんとも苦笑いが出てしまう。


「頑張ってるかな……」


 そんな忙しい日々なため、花火大会の日以来、桜和おうかさん……空色くしなとも会えていない。練習で学校に行っても、今のところ空色と登校がかぶることはなかった。


「雪凪、ここ終わったらこっちの手伝いお願いね」

「わかりました。すぐに行きます」


 だけど先日、久しぶりに彼女からメッセージが届いて、春歌はるかさんたちに渡す曲の詩が完成して渡したと連絡がきた。今は、文化祭用の作詞をしているらしい。

 メッセージをもらった時、楽しみ、という感情と同時に花火大会の日のことを思い出した。



【私の気持ち、全部込めます】



「あれって、どういう意味だったんだろう……?」


 今思い出しても、その言葉の意味を私は理解できなかった。

 空色の気持ち……彼女はいつも、歌詞に自分の感情を込めていた。きっと、詩をみれば、その言葉の意味を理解することができるかもしれない。


「雪凪、もう終わった?」

「あ、はい!すぐに行きます」


 今は考えないでおこう。とりあえず、詩が届くまでは自分のことに専念しよう。


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