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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
3章:春過ぎて、来たる夏は彼女とともに
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3−29話:雪 side

雪凪せつなー」


 名前を呼ばれて顔をあげたら、そこには軽音楽部のメンバーがいた。

 地元のお祭りだからいても不思議ではないけど……仲良いなぁ。


「ウェーイ!」

「はいはい」

「雪凪先輩も来たてたんですね」

「まぁ地元のお祭りだからね、いるとは思っていたけど」

「一人なの?」


 近くなりいつものノリと会話。私も苦笑いしながら返すけど、私たちの隣を通り過ぎる人たちは少し迷惑そうにしていた。

 桜和おうかさんもいるし、今回ばかりは解放して欲しいところだった。


「あれ、後ろに誰か……」


 案の定、人見知りが発動して私の後ろに隠れている桜和さんに気づいてしまった。


「もしかして詩の子?」

「え、嘘嘘!」

「ひゃー!ちっちゃくて可愛い」


 大興奮状態のメンバー。だけど、桜和さんはあたふた状態。止めるように言っても聞く耳を持たずに、桜和さんに構い続ける。混乱か、怖がっているのかわからないけど、彼女が助けを求めるように強く私の手を握った。


「ホント、仲良しの先輩後輩って感じ。いいなぁ」


 その言葉に、我慢ができなくなった。抑えていたものが溢れて、イラついた。

 相手に悪意があったわけじゃない。本当にはたから見ればお祭りに二人で一緒に来るぐらい仲のいい先輩と後輩。

 だけど私はその言葉がひどく不快に感じてしまった。


「ごめん、私たちそろそろいくね」

「え、雪凪?」

「なっ、なんだか怒ってませんか?」

「怒ってないよ。それと、桜和さんは人見知りだから一気に声かけないで」


 私はすぐに彼女たちから桜和さんを引き剥がし、私の後ろに再度隠した。


「ここは人も多いし、止まってたら人の迷惑になるから、私たちはいくね。また連絡する」

「あ、雪凪!」


 そのまま桜和さんの手をとってその場を後にしようとした。呼び止められたけど、一瞬止まって彼女たちの方を見て、また歩き始めた。


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