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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
3章:春過ぎて、来たる夏は彼女とともに
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3−27話:雪 side

地元の夏祭りは結構人が集まる。

 可愛い浴衣を着た子だったり、親子連れだったり、友人と来ている人だったりが私の前を通り抜ける。

 お祭りだから浴衣を着てる子が多いけど、私は息苦しい浴衣よりも、ラフで動きやすい格好の方がいいから私服で来ている。


「すみません、お待たせしました!」


 ざわつく人の声やお祭りのBGMが辺りに響く中、少し慌ただしい下駄の音と、息を切らしながら見知った声が聞こえて顔を上げた。

 周りの人と同じように、浴衣を着ている桜和おうかさん。可愛い桜柄の浴衣を着て、髪も合わせて結い上げており、いつもとはまた違う雰囲気を醸し出していた。

 あの日。一緒に出かけた日と同じように、私は彼女の姿に見惚れていた。

 軽く身だしなみを整えながらニコッと笑顔を浮かべる姿も可愛くて、スッと顔をそらしてしまった。絶対顔赤くなってる。


「先輩?」

「あー……そろそろ行こうか」


 とりあえず気持ちを落ち着かせようと思って、そのまま歩き始めた。だけど「あ」という声とともに、そのまま片手を桜和さんに取られてた。

 突然のことで驚いて振り返ると、少し恥ずかしそうにしながら私の方を見ていた。


「手……繋いでください」


 氷華ひょうかもよくせがんでくるが、それとは違う感情。本当に嫌になるような、胸焼けしそうな甘い感情。


「ぁ、えっと。ま、迷子になっちゃうので……その……」

「いいよ」


 少しだけ申し訳なさそうにする桜和さんに右手を差し出す。

 恐る恐るという形だったけど、伸びた手を強く握りながら、下駄を履いている桜和さんに歩幅を合わせながら人混みに紛れている。


 少しだけ胸がドキドキと緊張しているせいか、わずかに繋いでる手に汗を感じた……。


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