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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
3章:春過ぎて、来たる夏は彼女とともに
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3−22話:雪 side

ギラギラと照りつける日差し。劈くほどのセミの鳴き声。

 7月に入って、もうなんだか夏真っ盛りになってしまった。

 額からは汗がにじみ、日の場所に出れば肌はやけ、日陰にいてもやっぱり暑くて、それでもやっぱり日が当たる場所よりはましだった。


「暑い……死ぬぅ……」


 午前の授業が終わってお昼を食べた後の授業は体育で、外でソフトボール。

 今は私たちのチームの攻撃なので、私とクラスメイトの子は自分の出番が来るまで日陰に避難していた。


「夏空で体育は本当に死んじゃう……」

「そだね……」


 暑さのせいか、みんなあんまりやる気がないなー、とぼんやり眺めていた。

 クラスメイトは隣で唸り声をあげたり叫び声をあげたりと忙しそうにしている。というよりも、無駄な体力を消費しているように感じる。

 冬生まれのせいなのか、暑さには弱くて本当に頭がうまく回らない。早く涼しいところ行きたいなぁ……


(あっ、桜和おうかさんだ)


 ふと目を向けた校舎の一年生のクラス。窓際に座っている桜和さんの姿が目に入った。

 真面目な横になんとなく目を惹かれて、その姿をじっと見つめていた。


「最近あの子と仲良いよね」

「えっ、あぁうん」


 急に隣のクラスメイトにそう言われて、変な声で返事をしてしまった。


「どういう接点?」

「妹と仲がいいの」

「へぇー。でも、雪凪せつな普通に仲良いよねあの子と。妹ちゃんいなくても会話してるところ何度も見たし」


 周りに仲良しだと言われるのはすごく嬉しい。だけど……


「先輩してるねー」


 少しからかうような彼女の言葉。褒め言葉のはずなのに、先輩後輩としてみられるのがどうしてか、酷く嫌だった。


「ん、雪凪?」


 少し不機嫌になりながら、私はもう一度桜和さんの方を向いた。

 ちょうど当てられたのか、彼女は席を立って教科書を持って何かを言っていた。流石にこの距離からじゃ、何の教科はわからない。


「攻撃と守備交たーい」

「うへぇー……出たくなーい」


 ちょうど入れ替わりの声が聞こえて、クラスメイトがぼやく声が聞こえてグラウンドに目を向ける。


「行くよ」

「へーい」


 彼女の背を叩き、二人一緒に日の当たるグラウンドに早足で入っていった。


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