3−21話:空 side
「はぁ……」
家に帰ってご飯を食べて、そのままベットにダイブした。
なんだか夢でも見ていたかのような感覚に襲われる……
「夢……じゃ、ないよね」
スマホには、今日先輩と買ったお揃いの猫のキーホルダーがつけられている。それをみると、先輩とのお出かけのことを思い出して思わずニヤニヤしてしまう。
「今日の先輩かっこよかったなぁ。制服しか見たことなかったけど、私服かっこよすぎてやばかったぁ」
自分とは違うすらっとした体。正直、声をかけるのに少し抵抗があった。だって、遠目からでもわかるぐらい、先輩は綺麗でかっこよかった。私じゃ、どう頑張ってもあんな風にはなれない。
「あー、隣一緒に歩けた。ご飯も一緒に食べたし、デートだよね。やっぱりあれデートだよね」
思い出すだけで胸の奥がぎゅっと苦しくなる。
ずっと、手紙でしかやり取りしてなくて、急に話すようになってどんどん先輩との交流が深まっていく感じが嬉しくて……息苦しく感じる。
コンコン
「空色、お風呂沸いてるよ」
「あ、はーい」
今日のことを思い出していると、あっという間に時間が過ぎてた。
勉強と作詞作業もあるから、パパッと入らないと
ピコンッ
「ん?」
お風呂の準備をしている時、スマホにメッセージが届いて、慌てて内容を確認した。
「あっ、先輩からだ」
《ちゃんと帰れた?》
《はい。大丈夫ですよ》
先輩、意外と心配性なんだな。別れるときも、家まで送るって言ってくれたし……私、子供って思われてるのかな?
《今日、すごく楽しかったです》
《私も、すごく楽しかったよ》
あぁ好きだなぁって何度も思うほどの嬉しさ。胸がぎゅっと苦しくなって、その場でピュンピュン跳ねたくなってしまう。
「くーしーなー」
「あ、今いく!」
お姉ちゃんの声に、私はスマホをベットに置いて慌てて部屋を出ていった。




