3−20話:雪 side
公園で休憩した後は、また一通り街の中を歩き回った。桜和さんオススメの調理器具のお店に行ったり、お菓子屋さんに行ったり。私は特に行きたいところはなかったから、ついて行く形にはなったけどすごく楽しかった。
そんな時間もあっという間に終わりが近づいてきて、気づけば日が傾き始めてきた。
「今日はすごく楽しかったです!!」
そのままいつもの通り、駅前で解散することになった。
少し名残惜しい。だけど、桜和さんにそう言ってもらえただけで、今日誘って良かったと思えた。
「本当に、家まで送らなくて大丈夫?」
「はい。まだ明るいですし」
笑顔でそう言ってくるけど……やっぱり心配だった。
いや、多分これはいいわけだと思う。心配だっていうのは建前で、本当は……。
「どうしたんですか?」
「え! あぁ……うん、大丈夫だよ」
上目遣いで心配そうに顔を覗き込まれて少しどきっとした。戸惑って、思わず一歩下がってしまった。目、そらしちゃったし……へっ、変な勘違いされたりしてないかな……。
「じゃ、じゃあ私そろそろ行くね。本当に今日はありがとう、楽しかったよ」
「こちらこそ。せ、先輩がよければ、また……」
「……うん、また遊ぼう。今度は遊園地に行きたいね」
「あ、はい!是非!」
私はそのまま改札をくぐって振り返る。
いつものように控えめに手を振る桜和さんに、私は少し大きめに手を振り返した。
「帰ったらメッセージ送ろうかな」
ホームへの階段を登りながら、ポツリと言葉を呟いた。




