3−18話:空 side
「はぁ……」
お昼に待ち合わせして、先輩とご飯食べて買い物して、お揃いのキーホールダー買って、お父さんのことは恥ずかしかったけど、楽器を見ている先輩はすごく可愛かった。
歩き疲れたというのもあるけど、緊張疲れもあって、思わずため息のように息が溢れてしまった。
「ん、疲れた?」
「へ?い、いえそういうわけでは……」
「あ、ちょうどあそこにタピオカのお店あるから、買って近くのベンチに座ろうか。実は私も少し疲れちゃったんだ」
「あ、はい。それじゃあ」
気を遣わせてしまった。申し訳なさすぎる……こういうところ、自分でも嫌になる。もう初めてじゃないんだ、ちゃんとお話しできるようにならないと。それに「もっと仲良くなりたい」って、ちゃんと言ったんだから。
「桜和さんはどれにする?」
「えっと、イチゴミルクで」
「それじゃあ私は抹茶でお願いします」
今更だけど、周りからは私と先輩はどんな風に見られているのだろうか。
普通に先輩後輩か、姉妹か。友達か……まぁ敬語で話してるから、やっぱり先輩後輩だろうな。
でも、もし叶うのであれば……
「はい、桜和さん」
「……ありがとうございます」
恋人同士がいいな……
「近くに公園あるからそこに行こうか」
「はい」
そのまま買ったばかりのタピオカを飲みながら、私たちは公園へ向かった。
そういえば、他に色々種類あったけど、なんで先輩抹茶選んだんだろう……和菓子、好きなのかな?
「あ、あの先輩」
「ん?」
「ま、抹茶お好きなんですか?」
「うん。うち、おばあちゃんも一緒に住んでるんだけど、小さい頃によく和菓子いっぱいくれてね、それで好きになった。抹茶も割と好きでね」
「そう、なんですね」
なるほど、先輩は和菓子も好き。なら、もうすぐ暑くなってくるし、水羊羹とか作ってみようかな。あ、葛きりにきな粉かけて食べるやつとかあったよね。あれとかもいいな。
「桜和さんは?」
「へ?」
「和菓子好き?」
「好きです。けど、あまり口にしないので、洋菓子の方が好きです」
「あはは、素直だね」
あ、あれ?余計なこと言っちゃったかな?うぅー、せっかく勇気出して話題ふったのに、失敗しちゃったぁ。
「でも、最近は私も洋菓子の方が好きだよ」
「そ、そうなんですか?」
「うん。多分、桜和さんが作ってくれるからかも」
先輩はずるい。普通にそういう嬉しいことを言ってくれる。普通だったらその場で「ありがとうございます」と言えるのだけど、あまりの嬉しさと恥ずかしさで、顔が真っ赤になって何も言えなかった。




