3−15話:雪 side
翌日の土曜日の駅前。私はいくつもある円状の花壇ベンチ……正式名称はわからないけど、その一角に座ってスマホをいじっていた。
昨日桜和さんに出かけないかと誘った。一瞬キョトンとしてたけど、すぐに顔を真っ赤にして、目を大きく開いて驚いてた。今思い出してもあの時の表情はつい笑ってしまう。だって、可愛いと思ってしまったんだから。
「氷華とは違うんだよなぁ……」
もう一人妹ができたような感覚なんだけど、氷華とはまた違う感覚。確かに可愛いと思うし、守ってあげたいと思う。だけどそれは、“妹”とは違う。
「雪凪先輩!」
不意に、名前を呼ばれて私は振り返った。そして、その人物にひどく目を奪われた。
「すみません、お待たせしてしまって」
ハット型の麦わら帽子にナチュラルな淡い色のワンピース。ひらひらとしたとても愛らしい服装だった。パッと見夏っぽい服装だけど、袖が少し長めになっている。春でも夏でも着れそうな服、そんな感じだった。
「先輩?」
「え、あ……大丈夫だよ。私もさっき来たところだから」
あまりに可愛くてついつい固まってしまった。氷華はあまり着ない女の子らしい服装だったからかな……にしても、よく見たら本当にお人形みたいで可愛いな。
「えっと……急に誘ってごめんね。迷惑じゃなかった」
「い、いえ、そんなことないです。む、むしろ嬉しかったです……」
「それは良かった。んー……」
ちらりと駅に設置されている時計に視線を向けて、いまの時刻を確認した。
「12時少し過ぎてるし、先にお昼食べようか。何か食べたいものとかある?」
「あ、でしたら行って見たいお店があるんです」
「じゃあそこに行こうか」
「はい」




