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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
3章:春過ぎて、来たる夏は彼女とともに
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3−14話:空 side

 お姉ちゃんたちの話し合いも何とかまとまり、またメンバー内での話が始まった。

 私は何もできなかった。何というか、本当なら氷華ひょうかちゃんが言っていたことを私が言わないといけないと思った。

 ただ見てるだけ。何も発言できなくて、ただ見てることしか出来なかった。情けなさすぎる……


「はぁ、お腹いっぱいー」

「ファミレス久々だったなぁ。結構お腹いっぱいになった」


 しばらくして、私たちはお昼を済ませた。氷華ちゃんは、しっかりと食後のデザートも食べたけど。


春歌はるかさん」

「ん?」

「他に何かありますか?」

「んー、今は特に何もないかな。とりあえずは、意見を掘り下げてまとめないと」


 わずかに小さな口論はある。でも、それでもしっかりと自分の意見を出して、さっきみたいな険悪なムードではなかった。


「なら、私たちは帰りますか?」

「そうだね。何かあったら、連絡してください」

「あいよー。お疲れ」


 三人で声を揃えて「ごちそうさまでした」といえば、バンドの皆さんがお礼の言葉を口々に言って下さった。

 


 帰り道、氷華ちゃんが満足そうな表情で前を歩き、私はその後ろを先輩と並んで歩いていた。

 特に会話はなかった。私は少しうつむき気味に、先輩は前を歩く氷華ちゃんを見ていた。


「話がまとまってよかったね」

「へ? あ、はい。そうですね」

「どうかした?」

「いえ、大丈夫です!」


 急に話を振られたから少しびっくりしちゃった。別に二人で帰ってるわけじゃない。前には氷華ちゃんもいる。平常心平常心……


「でも、少し時間かかりそうだね。あの様子だと、先に軽音楽部の方をやったほうがいいかも」

「そうですね。私もそれでいいと思います」

「テストも終わったし、近いうちに打ち合わせしようか」

「はい」


 軽音楽部の依頼してきた恋の曲。一応素直な気持ちで書いたものもあるけど、恥ずかしすぎて、新しいものを書いていた。

 漫画や小説からの情報を元に製作している歌詞。まだ形には出来ていないけど、もう少ししたら出来そうだった。


「ねぇ、桜和おうかさん」

「あ、はい」


 先輩に進捗のほどを聞こうと口を開いた時、先輩が私に声をかけてきた。


「明日出かけない?」


 そのお誘いの意味を理解するのに、私はしばらくフリーズしてしまった。


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