3−10話:空 side
「はーい、それじゃあ後ろから用紙回してー。特に報告することもないから、この後すぐに帰っていいぞー」
今日は期末テスト最終日。最後の教科は担任が試験官だったということもあり、すぐに解散になった。
「んー……はぁ、無事に終わったぁ」
「くーちゃーん。テストどうだったぁ?」
隣の席の子は担任の言葉と共に超スピードで帰っていった。その席に、氷華ちゃんが座って、ペタンとこっちを見ながらうつ伏せになった。
「んー、一応全部は埋めたよ。最後難しかった」
「あー、あそこ意地悪だったよねー。氷華もあそこだけは苦戦した」
氷華ちゃんは授業中寝たりしてるけど、成績は結構いい方。テストも、普通に平均80点超えしてる。ただ、生活態度……提出物はちゃんと出してるけど、寝たりしてるから評価が少し下がっちゃってる。すごく勿体無い。
「はぁ……早くお絵描きしたい……氷華の両手がすっごいウズウズしてるよぉ」
虚空をわしゃわしゃし始める氷華ちゃん。私も、テスト期間中はお菓子作らなかったし、早く作りたい。
「もうちょっとで7月だね」
「そうだねぇ。暑いのは苦手だなぁ。でも、雨がほとんど降らないから、お外でお絵描きできるから結構好きー」
「この時期だと、ゼリーとかアイスとか作りたくなっちゃう」
「いいねぇ。アイス食べたいー」
通常運転の氷華ちゃんはなんだか落ち着く。思わず頭を撫でてしまった。
「帰り、何か食べて帰る?」
「賛せーい。駅近くのカフェ行こう。ちょうどランチの時間だから」
「うん、いいよ」
そうだ。テストの答え合わせっていうか、ここどうだった?っていうのしたいな。結構自信ないところ多いし。
氷華ちゃんに尋ねると「いいよぉ。氷華も、二限目の古典でわかんなかったところあるから」と言ってくれた。
「暑くなると体育の授業はプールがあるね」
「うぅ……私泳げないんだよ……」
「くーちゃんは、基本的に運動苦手だもんねぇ」
「氷華ちゃんは泳げる?」
「うん。昔、よく雪姉ぇとプール行って、そこで練習したから泳げるよ」
「いいなぁ」
「教える時間があったら教えるよぉ」
「お願いします……」




