3−1話:雪side
あっという間にGWが終わり、先日中間テストも終わって6月。
制服は夏服に変わり、梅雨の時期ということもあって外は雨。嫌いではないけど、なんだかこの時期は気持ちがどんよりしてしまう。
GW初日の出来事から、私は桜和さんとやり取りをしながら、春歌さんの学園祭演奏に向けて作曲活動を行っていた。
しかし……
「大丈夫かなぁ……」
あれからおよそ1ヶ月経っているが、いまだに完成していない。というのも、春歌さんのバンドメンバー二人がどうも揉めている。まぁバンド内でよくある、音楽性の違いというものだと思う。
なので、今は手が止まっている状態。
「はぁ……」
雨のせいなのか、気分はだだ下がりで、私はそのまま机に肘をつきながら窓の外を眺める。
雨音とクラスメイトの話し声がなんだか心地よいBGMに感じてうとうとしてしまう。やばい……四時間目寝そう……
ブーッ!ブーッ!ブーッ!
不意にスマホが震えてびくりと肩が上がる。まずい、マナーモードにし忘れてた。
慌てて設定をマナーモードにして、メッセージの確認をした。送り主は氷華だった。
【家庭科の授業でお菓子作ったから、お昼一緒に食べよ】
私はその文面を見て「1年生はいいなぁ」と思いながら【了解】と送った。
あれから、私は桜和さんとの交流も多くなり、氷華のおかげもあって、たまにお昼を一緒に食べたり、下校することもあった。ホント、妹様様だよ。
「なんだかご機嫌ですな、雪凪さん」
そう言いながら、クラスメイトの一人がニヤニヤしながら近づいてくる。
「お昼、一年とこ行くの」
「GW明けからよく行ってるよね。妹ちゃん?」
「うん。と、妹の友達の三人」
「ふふっ」
「え、何?」
急に笑われて驚いてしまった。クラスメイトは「いや、ごめん」なんていうけど未だに笑ってる。私、変なこと言ったかな?
「だって、なんか今まで見たことないくらい嬉しそうだから、ちょっと可愛いって思っちゃった」
「へ?」
私、そんな笑ってた?というか、逆に私って普段からそんなに笑ってないのかな?
それを聞けば「雪凪はクールキャラって感じだからね」と言われてしまった。
別にそんなつもりはないけど、周りにはそんな風に思われていたんだなぁ……もう少し、氷華とか桜和さん見習ったほうがいいかな?
「おーい、席つけ」
ちょうどその時チャイムがなり、担当教師が教室に入ってきた。
「日直、挨拶」
「きりーつ」
何はともあれ、この授業が終われば昼休み。すぐにお弁当持って1年の教室にいかないと。
さっきまであれだけ暗い気持ちだったのに、今は少しだけ幸せに感じた。
「で、ここの数式は……」
足を少し揺らしながら、窓の外の雨を眺める。
早く授業、終わらないかな……




