2−13話:空side
「はぁ……ついに先輩の連絡先を、ゲット……」
先輩と氷華ちゃんが帰った後、片付けを済ませてベットの上で横になっていた。そして、先輩の連絡先をずっと眺めていた。
もう嬉しくて嬉しくて何度も見てしまう。だって、憧れの先輩の連絡先だもん。絶対に手に入らないと思っていたのに……
「あー!!どうしようどうしよう!!」
こうやって、さっきからベットの上で転げ回ってる。お姉ちゃんに見られたら、笑われるか、冷たい目を向けられて「何してるの?」とか言われそう……
「あ、そうだ!先輩にメッセージ送らないと」
連絡をもらってからもう数時間と経ってる。こっちから連絡するっていったのに、しないのは失礼だ。
「えっと、なんて送ろう……こんにちは?いや、もう夜だしこんばんはだよね。んー……でも、こんなありきたりのメッセージでいいのか?」
氷華ちゃんとかお姉ちゃんならいいかもしれないけど、相手は先輩。しかも始めてのメッセージ。やっぱり第一印象が大事だよね。
ピロンッ
「ふわっ!ぁ、ととと!」
どうするか悩んでいた時に誰かからメッセージが届く。
誰からだろう……せっかく先輩へのメッセージで悩んでたのに……モヤモヤとした気持ちを抱きながらスマホの画面を見て、だけど私の動きがピタリと止まる。
【こんにちは。如月雪凪です。届いてますか?】
私がもたもたしてる間に先輩からメッセージがきてしまった。どうしよう……なんて返事しよう……突然すぎて、頭の中はパニック状態で、とりあえず届いたことを知らせないと。
【は、はい!届いてます!】
【あ、桜和空色です】
先輩がちゃんと名前を送ってくれたのに、自分は送ってないと思い、二つに分けてメッセージを送った。
変って思われてないかな……大丈夫かな……
しばらくすると、“安心”というスタンプが送られてきた。え、なんかすっごい可愛いスタンプ。
【曲以外のことでも連絡してきていいからね】
胸がじんわりと温かくなる。もう嬉しすぎて胸が苦しい。
最初のつながりは顔も知らない作詞家の関係だった。それからの進展……嬉しくて嬉しくて堪らない。
【ありがとうございます】
メッセージの後に頭を下げるスタンプを送り、既読を待つ。1分も経たずに既読マークがついて、先輩から仲が良さそうな姉妹スタンプが送られてきた。姉が妹の頭を撫でる可愛いスタンプ。
「ひゃー!!」
なんだか自分の頭を先輩に撫でられているって想像したら嬉しすぎて、またベットの上で転げまわった。




