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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
2章:手にした水桜の彼女
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2−11話:空side

「はぁ……」

「もぐもぐ……もぐもぐ……」


 リビングに取り残された私と氷華ひょうかちゃん。

 さっきまで楽しくお話ししてたけど、話す話題が出尽くしてしまって沈黙。私はため息。氷華ちゃんはずっとお菓子食べてる……お腹いっぱいにならないのかな?いつも思うけど、氷華ちゃんのお腹にはブラックホールでもあるのかな?


「んっく……くーちゃん」

「ん?お代わり?」

「よかったね」


 たった一言を、笑顔で口にした氷華ちゃん。すぐにさっきと同じ表情に戻って、またお菓子を食べ始めた。

 たまに、何が?と聞きたくなるような言葉を投げかけてくるけど、不思議と納得してしまう。普段はふわふわしてて、授業も寝てる氷華ちゃんだけど、こうやって不意に確信を突くような、まるで相手の心の中が見えているんじゃないかって思う言葉を口にする。


「氷華ちゃんって、不思議だよね」

「ん?そうかなぁ?」

「うん。でも、それが氷華ちゃんのいいところだよ」

「よくわかんないけど、えっへん」


 胸を張る氷華ちゃんに私はクスッと笑った。同い年なのに、たまに年下っぽいなぁって思っちゃう。

 心を見られてるかもって怖くなることもあるけど、だからこそ氷華ちゃんには素直に話すことができる。私の話に嫌な顔一つしないで、聞いてくれて、一緒になって悩んでくれる。


「ねぇ氷華ちゃん。初めて話した日のこと覚えてる?」

「うん、覚えてるよ。あの日のくーちゃん、甘いお菓子の匂いがした」

「そうだね。緊張してた私の方を突っついて氷華ちゃんが「お菓子の匂いがするー」って言ったのが最初だったね」


 今でもあの日のことは覚えてる。だって、自己紹介よりも先に“お菓子の匂いがする”って言われたんだもん。


「くーちゃん」

「ん?」

「いつでも話聞くからね。後、協力もする」


 多くを語らない氷華ちゃんの側は、私にとってはすごく落ち着く。


「ありがとう」

「戻ったよぉ〜」


 私が口にすると同時に、リビングの扉が開き、お姉ちゃんと先輩が戻ってきた。


「わっ、もうだいぶ無くなってるね」

「氷華……あんたどんだけ食べたの?」

「んー?いっぱいだよぉ〜」

「あ、紅茶入れ直しますね」


 お姉ちゃんと先輩がソファーに腰を下ろすと、また四人でお茶会を再開した。ただ、先輩がお姉ちゃんのことを名前で呼んでいて、なんかすっごく仲良くなっていて……何があったのかかなり気になる……


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